日本のウォール街と言われた兜町は、ニューヨークのウォール街、ロンドンのシティと並ぶ世界三大金融街と言われて久しいが、現在は香港にその地位を奪わつつあるのは、日本の凋落の表れであろうか。
日本の繁栄であれ凋落であれ、いずれにせよ日本経済の中心にあり続けているのは疑う余地のないところ。
そこで今日は、兜町のコアである東京証券取引所を中心に兜町の歴史、そして現在を探訪してみた。

兜神社と鎧橋

明治維新の恩賞として財閥の三井家が、現在の兜町周辺を下賜され「兜町」と名付けた。
一番古い由来としては、平将門の兜を埋めて塚にした所を兜山と云った説があるが、オフィシャルでは、源義家が奥州往きの途中に暴風に出会い鎧を沈めて竜神に祈って無事を祈った場所に、都への帰途兜を埋めて塚を築き埋めて神を祭ったという故事のようである。

この兜町に、明治3年、渋沢栄一らにより日本で初めての銀行である“第一国立銀行本店”が創設され、明治11年には“東京株式取引所(東京証券取引所の前身)”が設けられる。
この時、取引関係者一同の信仰の象徴、および鎮守として造営されたのが「兜神社」
創建は明治11年5月、ご神体は穀物の神である倉稲魂命から、いわゆる商売繁盛の稲荷神である。

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昭和44年、首都高建設に伴い御影造りの鳥居を残して旧社殿は解体され、46年に現在の鉄筋コンクリートの社殿が造営された。

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境内に安置してある岩は「兜岩」で、この岩がかつて源義家が東征の折、願を掛けたと言われている岩である。小さく名前が彫られているのは石柱であり、兜岩は後ろの大きい岩のほうである。
少々ややこしいが、意外と間違えることもあるようだ。

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社殿と兜岩の真ん中に東京証券取引所の建物が見えるのは偶然ではないであろう。

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小さな神社ながら、圧倒的な存在感を発揮している。
日本経済の凋落傾向を果たして食い止め、景気回復のご利益はあるのだろうか。。。

兜神社前の東京証券取引所沿いに東に向かった先に「鎧橋」がある。

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兜岩の由来同様、源義家の東征のおりの鎧を投げ込んだ場所で、以来“鎧が淵”と呼ばれた。江戸時代には下総との往来の渡し船が行き来し、“鎧の渡し”の跡地である。

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明治期に渡しは廃止され橋が架けられるが、江戸時代の風情は「江戸名所図会」に描かれており、俳句や狂歌にも唄われた。
「縁日に 買うてぞ帰る おもだかも 逆さにうつる 鎧のわたし」(和朝亭国盛)

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現実ながら風情を感じてしまう時代、とでも云えようか。

東京証券取引所

鎧橋の前が「東京証券取引所」
流石に日本経済の中心らしい堂々たる陣容を誇っている。

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いよいよ潜入だが、潜入というのも大げさで、実は平日は誰でも見学できる。
見学者の入り口は、兜神社方向の西入口で、それなりに案内がでているのは、少し緊張を解きほぐしてくれる。

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金属探知機を通るのだが、別に悪いことはしていなくても、どことなく緊張する。
案の定、チェックされるが、小銭入れのチャックに反応しただけで、無事に受付で記帳して見学を始める。
受付の左右には4つのブロンズ像が並んでいる。

旧東証の建物の銅像を復元したもので、商業、農業、工業、交通・通信業を表している。

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1階は「証券史料ホール」がある。

開設以来の歴史が、俯瞰できるのもここだけであろう。

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創設期の巻き軸や第一国立銀行の証券など貴重な展示物があふれている。

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流石に創設期は財閥がシンボルである。
そしてミスター資本主義である、渋沢栄一は外せない。様々な会社を興したことから、あまり良いイメージを持たれないケースもあるようだが、決して会社を私物化したようなことはなかったようだ。
名誉のために付け加えておこう。

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最近ではサンリオの株券などが、実に楽しいデザインになっている。
庶民に親しみやすいということか。

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2階は見学コース
意味は分からぬが、3つのメダリオンが出迎えている。

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ショーケースには記念のパネルが展示されている、誰だろうか。。。

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東証プラザは、株式を学べるコーナー
株式投資が体験できる端末や、30分のプログラムで株式の模擬売買が体験できる“マーケットエクスペリエンスコーナー”がある。
参加者は仮想の所持金1,000万円を元手にして、“キタハマ自動車”“かぶと銀行”“ドラゴンガス”といった架空3銘柄の株式を、為替や金利、海外の株式市場の仮想ニュースを元に売買をしていく、30分の体験コーナー。
株式売買がよくわかる、故にギャンブル性の面白さが理解できるかもしれない。

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2階は回廊になっている。
北側、南側回廊には歴史や上場企業などの写真が展示されており、幾何学的な壁のデザインも洒落ている。

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よく見る光景が“マーケットセンター”
上部のチェッカーが印象的で、取引の状況により回る速さが変わるとか。。。
世の中の動きと連動しているのを実感できる気がする。

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マーケットセンターは、東京証券取引所のマーケット部門が売買管理を行うエリア。円柱は直径17メートルあり、ガラス張りは市場の透明性と公正性をシンボライズしているそうだ。

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中央にあるのがVIPテラス。かつて立ち合い開始にならされた鐘は、現在、新規上場セレモニーで打ち鳴らされるそうだ。

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ほとんど見ることはない“メディアセンター”
市況情報を報道するためにNHK・民放の11社のスタジオとなっている。
ある意味、ここに来なければ絶対に見られない光景といえよう。

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このほか、このフロアには、場記念式典や会社説明会、セミナー等が行われる多目的なスペース“オープンプラットフォーム”、上場会社の招待者を対象に会社説明会や決算説明会、記者発表等が行われる“プレゼンテーションステージ”などがある。

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最後にミュージアムショップもある。
間違いなくここでしか購入できないものばかりなのだが、買うか買わないかはあなた次第。。。

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帰りがけに隣のみずほ銀行に寄っていこう。
ここが日本で最初の銀行「第一国立銀行本店」の跡地

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歴史的スポットの凝縮されたエリアである“兜町”は、過去の街なのか、未来への街なのか、これからの日本経済次第ということか。。。

2015.02.22記
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