関越道上り車線にある「寄居PA」は、日本初のテーマパーキングエリアとして知られています。
そのテーマは、フランスのサン=テグジュペリのあの名作「星の王子さま」で、パーキングエリアと名作がコラボレーションしたのです。

関越自動車道上り線の本庄児玉ICと花園ICの間にある寄居PAがリニューアルされ、「寄居 星の王子さまPA」として2010年6月30日にオープン以降、凡そ4年経過し5年目を迎える前となります。
高速道のパーキングが全国的にリニューアルされつつある昨今、特にグルメを中心としたリニューアルで各所とも人気を博しているのですが、パーキング全体を1つのテーマに統一するのは、ここが日本初の試みで、現在は東北道の羽生PAが「鬼平犯科帳」をテーマとしたPAの2箇所だけです。

関越道はよく利用する高速ですが、4月と5月の2回、このPAに立ち寄ってみました。
はたして4年経過した現在、初の試みのテーマパーキングエリアとはどんなものか、興味津々です。

星の王子さま

「星の王子さまを知っていますか」と聞かれたら多くの方は、「題名だけは」と答えられるのではないでしょうか。ま、私も一緒です。
で、どんな内容か簡単にあらすじを引用させてもらいます。

小さな星に住んでいた王子さまが世話をしていたバラとささいなことで言い争い星を飛び出し、いろんな星を巡ります。
出会った大人達は奇妙な人ばかり。命令ばかりしている王様や街灯を点けたり消したりしている街灯マン、旅行もせずに人の話だけ聞いている地理学者…
最後に地球にたどり着き、壊れた飛行機を修理している飛行士と出会います。そして、これまでのお話を聞いてもらうのです。
次に砂漠でキツネに出会い人生について教えられます。肝心なことは目にはみえない。心で見なくちゃということ…。
王子さまは小さな星で世話していたバラを想い出します。
「世話をすることは相手に責任を持つことだよ」と教えられ小さな星の一輪のバラのもとに帰る決心をします。
王子さまは星に帰るために金色の毒ヘビにかまれ、自分のからだを捨てて、小さい星に帰りました。
(c)"人間と性" 教育研究所

児童文学なのですが、大人へのメッセージなどが含まれたことで人気の傑作小説ですが、この世界観をどのように表現するかが実に興味深いわけです。

この星の王子さまの世界観は、「エントランス&ガーデン」「サテリット」「レストラン&ショップ」「トイレット」の4つのエリアで表現されています。
そしてその特徴は、サン=テグジュペルゆかりの地、南フランス・プロヴァンス地方の佇まいと風情の中に物語の珠玉のメッセージが散りばめられていることです。

でも、やはり物語を知らないから、とおっしゃる方も多いでしょうが、そういう方は先ずはこちらのパネルから見ていただきましょう。

ストーリー説明パネル

星の王子さま物語あらすじパネル

このパネルはPAの中央に掲出されていて、パネルの下に挿絵やメッセージの書かれた場所が書いてありますから、気に入った挿絵やメーセージなどがあればそこに行ってじっくり眺めることが出来、こうしているうちの物語を知ることが出来るという、結構、しっかりしたつくりになっているのです。
では、早速、その星の王子さまワールドを見ることにします。

エントランス&ガーデン

まずは「エントランス&ガーデン」を散策しましょう。

関越自動車道

見れば確かに高速道路のPA

本線からの側道から入ってくるPAだと思い出させてくれるのは、ここがPAであるのか忘れてしまうほど凝ったつくりだからです。
星の王子さまPA

エントランスのPAタイトル

エントランスには「Aire de Repos Le Petit Prince」と書かれていますが、「Aire de Repos」が高速道路の休憩所で、「Le Petit Prince」が星の王子さまなので、要するに「星の王子さまPA」と言うことになるわけです。

ガゼボの日本語

ガゼボの日本語

殆どがフランス語で標記されているところが、まさに王子さまワールドなのでが、端にあるガゼボは喫煙所となっていて、「喫煙所」「お手洗い」といった重要、緊急なところだけ日本語で記載されているのです。

このガゼボの面白いところは、そのネーミングです。

LA Fumee De Businessman Ne Vous Derange Pas? ビジネスマン

LA Fumee De Businessman Ne Vous Derange Pas?

王子が訪れた4つ目の星で、あまりに忙しくて煙草に火をつける時間も無いビジネスマンに出会ったことに由来するメーセージ「実業家の煙はお邪魔ですか?」と書かれているところウィットを感じます。

近くにお立ち台があります。

お立ち台

「俺に感心しておくれ」というお立ち台

お立ち台パネル

うぬぼれ屋のお立ち台説明パネル

これは2番目に訪れた星で出会った、ほめられると喜ぶうぬぼれ男の「ほめられる言葉だけが、うぬぼれ屋の耳に入ります」のメーセージが刻まれているのです。
このように物語の大まかな説明と、その場所が説明されていますから、パネルを見れば一目瞭然で物語とその仕掛けがわかるのです。

庭園をもう少し散策です。

象の貯蔵庫

有名な挿絵

お立ち台のそばの建物には「象の貯蔵庫」と書かれていて、例のうわばみが象を飲み込んだ挿絵が描かれており、もう一方には「ぼくの絵は、帽子ではありません」と書かれた、あの帽子の挿絵が描かれています。
物語のメインイラスト、シンボリックな建物ですが、実際はいわゆる物置です。

庭園の中央にある渡り鳥の習性を利用して星を出た王子に由来した「渡り鳥のプロムナード」を抜けます。

渡り鳥のプロムナード

季節にはバラが咲き乱れる「渡り鳥のプロムナード」

キツネのほこら

プロムナードの先にある「キツネのほこら」

この「キツネのほこら」は、リンゴの木の下から現れたキツネと王子の会話をイメージしていて、ほこらの隣に「遊ばないよ。飼いならされていないからね」というメッセージが刻まれているのです。

そしてその横に「星の王子さま」のスタチューがあります。

スタチュー

季節になればバラに囲まれるスタチュー

5月中旬頃には、このスタチューもバラに囲まれ、まさに物語りそのものの光景となるのです。
このように物語のメーセージ、挿絵とともに花にも囲まれた庭園をゆっくり散歩すれば、PAだということをすっかり忘れてしまうことでしょう。

庭園 庭園 庭園

花などの佇まいの良い庭園


サテリット

ガーデンを抜けた先は広場になっており、その先に「サテリット」と呼ばれる飲食外売店があります。

広場

スタチュー前の広場

メッセージ

塀に書かれた深いいメッセージ

広場の壁には「あの一輪の花が、ぼくには、あんたたちみんなよりも大切なんだ。ぼくが水をかけた花なんだから。」のメッセージが書かれています。
何の変哲も無い「たった一輪のバラの花」でも、自分の家族なら運命の大切な花という名言なのです。後世の「ナンバーワンよりオンリーワン」ってところでしょうか。

最初のサテリットがピンク色のショップで、ソフトクリームショップの「マニフィック・イマージュ」です。

マニフィック・イマージュ

ピンクで可愛いマニフィック・イマージュ

すばらしい絵

「すばらしい絵」の描かれた外壁

マニフィック・イマージュとは「すばらしい絵」という意味で、物語では、あの「うわばみの絵」を描くモチーフとなった、獣を飲み込もうとしている大蛇の絵のことで、まさにイントロに相応しい店なのです。

サン=テグジュペリ

サン=テグジュペリ

その隣にあるのがカフェ「サン=テグジュペリ」です。
文字通りの店で、一押しは「サン=テグジュペリ・オリジナルブレンド」で、1930年代の味を再現しているという一味違うカフェなんです。

シャセー・レ・プル シャセー・レ・プル

シャセー・レ・プル

隣の「シャセー・レ・プル」は、「鶏を捕まえて!」という意味の鶏と玉子のオムライス専門店で、物語のキツネがニワトリを捕まえるストーリーに由来しています。
メニューの中には「プロヴァンス風夏野菜のトマト煮」といった、サン=テグジュペリ所縁の地をモチーフにしたオムライスもあるのです。

シュブー・トゥ・ドレ シュブー・トゥ・ドレ

シュブー・トゥ・ドレ

サテリットの最後が「シュブー・トゥ・ドレ」で、王子の金髪をあらわした「金色の髪」というパン屋です。
パンバーニャ

パンバーニャ

自家製焼きたてフランスパンを提供していますが、特にお勧めが「パンバーニャ」で、こちらもゆかりの地プロヴァンス地方のサンドイッチで、新鮮野菜をアンチョビの塩気とオリーブオイルで味付けした、日本ではここでしか食べられない逸品です。

テラス

サテリットのテラス

テラスやゴミ箱でさえ、その世界観で統一されているサテリットは、飲食外売店といっても、安っぽい売店ではなく、ここだけでも美味しい料理やデザートが楽しめる充実した施設なんです。

レストラン&ショップ

サテリットから花壇を挟んでメイン施設があります。

ペーブメント

美しい花壇

標識

お洒落な標識なのに、
残念なお知らせ

この日は特に臭気は無かったので気になりませんでしたが、かなり気になるほどの臭気が漂うのでしょうね。折角の施設ですが残念ですね。

搭を持つ施設がこのPAのメイン施設です。

ル・プチ・プランス ル・プチ・プランス

レストラン「ル・プチ・プランス」

その名の通り「王子さま」のレストランで、搭がシンボルの建物です。
基本は南フランス・プロヴァンス地方の家庭料理を初めとしたカジュアルな料理がいただけるとのことです。

その隣にあるお店が「マガザン・カプリシュー」です。

マガザン・カプリシュー マガザン・カプリシュー

マガザン・カプリシュー

マガザン・カプリシューとは、「気まぐれ屋」という意味で、バラの花言葉から由来しています。
気まぐれに営業しているショップで、開いていればラッキーという触れ込みですが、営業時間も決まっているので、あくまでコンセプトということです。

ここの名物はなんといっても「うわばみ焼」です。

うわばみ焼

うわばみ焼

名称は結構どぎついですが、あの象を飲み込んだうわばみの絵です。 ある意味星の王子さまのシンボルで、当然ここにしかないお菓子ですので、実に貴重な一品です。
単純に奇をてらっただけでないところに好感が持てます。
所謂、人形焼なのですが、バターの香りの効いた外側がカリッとして、中がふんわり柔らかいという、一般的に知っている人形焼とは異なる、いわば洋風人形焼とでも言っておきましょうか、かなり美味しいお菓子でした。

この隣にあるのが、このPA自体のメイン施設と言えるものです。

サンク・サン・ミリオン・ドゥ・グルロ

ショップ「サンク・サン・ミリオン・ドゥ・グルロ」

ショップ「サンク・サン・ミリオン・ドゥ・グルロ」は、「五億の鈴」と言う意味で、《王子さまが自分の星に帰る最後の場面で語られる言葉》から名付けられたもので、日本では箱根星の王子さまミュージアムと2店しかないレアな専門ショップなのです。
因みに、アーチに書かれているのは、左が「僕は5億も泉を持つことになるし……」で、右が「君は5億の鈴を持つことになる」です。

サンク・サン・ミリオン・ドゥ・グルロ

品揃えも半端ではないショップ

ショップには、本をはじめ、ステーショナリー、アクセサリー、ストラップ、テーブルウェア、Tシャツなどのグッズと、PA限定のお菓子などがあり、自分用やお土産用に人気なのだそうです。

うわばみぬいぐるみ

やっぱりあった「うわばみぬいぐるみ」

サンク・サン・ミリオン・ドゥ・グルロ

細かいものも一杯

ぬいぐるみなどは説明しないと「うわばみのぬいぐるみ」だと判らないでしょうね。
サンク・サン・ミリオン・ドゥ・グルロ

女性にはたまらないのでしょうね

今回特に買ったものはありませんが、ファン、或いはファンならずとも女性にしてみれば欲しくなるグッズかもしれません。

このショップ前では、週末の土・日と祝日のPM3:00とPM6:00に時報を伝えるコーラスがスタッフによって行われています。

時報コーラス 時報コーラス 時報コーラス

時報コーラス


「飛行士」と「王子さま」が中央に居るのも微笑ましいですが、どうせならうわばみとか、きつねとか・・・、は無理でしょうね。
時間が限られているので、まあ、見られたらラッキーといったところです。

トイレ

最後はトイレですが、当然、綺麗で清潔です。でも、やはりそれだけではないのです。

ヒツジの箱

ヒツジの箱

説明パネル

説明パネル

トイレの壁に描かれたヒツジと中央にある箱は、物語ではとても重要なファクターで、飛行士と王子が仲良くなるきっかけの絵なのです。

探検家

探検家

男性トイレの壁には先ほどのヒツジが描かれていましたが、女性トイレの壁には「探検家」と太い文字で書かれています。そして、その上には「地理学者というものはいつまでも変わらないものを書くのだよ」と書かれ、ここでは6番目の星の地理学者とのストーリーが抜粋されているのです。

一番奥のエリアに「探検家」「地理学者」と言うのもウィットに富んでいますね。

このように星の王子さまの完全なる世界観と言ってもよいPAは、老若男女楽しめる施設です。

寄居星の王子さまPA

寄居星の王子さまPA


それは、他には見られないテーマPAという差別化はもとよりですが、施設・スタッフを通じてホスピタリティ溢れるところにあるようです。
大切なものは、目に見えない

大切なものは、目に見えない

東京オリンピック招致プレゼンで流行語にもなった「お・も・て・な・し」が、ここでは充分感じられる素敵なスポットでした。
目に見えない心遣いが、日本人の琴線に触れているのかもしれません。

2014.05.25記
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