ベルジアンビア・カフェ アントワープシックス

東京都中央区銀座8丁目2-1ニッタビル 1F  2013年4月17日訪問

ちょっと一言

ブログなどでは多くの方がグルメに関する記事を書いていらっしゃいます。
まあ、私もそのうちの一人と言うことになるのですが、特に感心させられるのが酒の席での記事です。よく飲みながらマメに写真を撮ったり、ネタを覚えているものだと。。。
私の場合は写真を撮るのも面倒になり、最近は年のせいか記憶もおぼろげといったことが多いので、殆ど記事にできなかったことがたびたびです。
今回もかなり近い物なのですが、奇跡的に写真を撮っていたことから、いつもとは違った形ですが記事を書いてみました。
まっ、少しは臨場感が届けられると良いのですが・・・。

魅惑のベルギービール

銀座コリドー街にある、ベルギービールの店「ベルジアンビア・カフェ アントワープシックス」は、150名程度入ることができるかなり大きな店です。
ビアホールとしては、「ライオン」や「ニュー東京」などが有名ですが、ビアホール“ベルギー版”と考えれば良いのかもしれません。 今回は部下の誘いで4名でやってきたのですが、水曜日と言う平日ながら店内も混みあっていてかなり賑わっています。
ベルギービールの世界を堪能しようと、スタッフにお勧めビールをオーダーし、とりあえずのツマミに「サラダ」「チーズ」とこの店お勧めの「ベルギー産フライドポテト」をまずは手始めにオーダーです。
チーズ盛り合わせ

そしてやってきたお勧めビールがこちら。
ベルギービールの最大の特徴のビールといっても良い「Chimay」ビールです。
Chimay
これはトラピストビールと言われるもので、文字通り“トラピスト会修道院”で作られているビールなのです。
ヨーロッパでは飲用に適した水を確保すのが難しい土地のため、代わりとなる飲料が発達し、修道院でも中世の頃から保存の利く飲み物としてビールやワインが作られたのです。
修道院でのビール醸造は11世紀頃にベルギーのシメイ街近くのスクールモン修道院で作られ出したのが始まりといわれており、多くの修道院で醸造されるようになったのです。
そして1962年にベルギー貿易通商裁判所が“トラピストビール”の名称を承認し法的に保護下のです。しかしながらこの名称が乱用され始めたことから、1997年には国際トラピスト会修道士協会(ITA)を設立し、基準を満たした商品にのみロゴが印刷されたラベルの使用を許可する取り決めをしたのです。

その基準とは、
◆ビールはトラピスト会修道院の手により生産するか、直接指導の元に行うものとする。また修道院敷地内の設備によって醸造されなければならない。
◆醸造所、醸造銘柄の選択や商品展開は修道院内のコミュニティーにより決定されなければならない。
◆ビール製造は収益事業ではなく、利益は修道院の運営や援助に使うものでなくてはならない。
といった厳しい条件ゆえに、現在世界に171あるトラピスト会修道院の内、トラピストビールと呼ばれるものを醸造しているのは7ヶ所しかないのです。
そのうちの6ヶ所がベルギーにあり、1ヶ所がオランダにあり、ベルギーにある6ヶ所の中で一番歴史のあるのが、このシメイ(スクールモン修道院)なのです。
まさにベルギーを代表するベルービールの中のベルギービールといっても過言ではないビールなのです。

まずはベルギービールの歴史の奥深さを知りことから始まり、次なるはベルギービールの醍醐味を味わいます。 一気に出てきたのが次ぎのビールで、左から「Duvel」「Delirium Tremens」「La Guillotine」「Hoegaarden White」の4本です。
ベルギービール
今となってはどれがどんなテイストだったかはハッキリと覚えていないのですが、とにかく初体験のベルギービールのファーストインプレッションは“フルーティ”なことです。いわゆる果実のフレーバーと苦味のバランスの良い、実に爽やかな飲み口で、これこそがベルギービールの特徴であるテイストなのです。
更にこのベルギービール、その楽しみ方は味だけではない事を知りました。
それは写真でもお判りの通り銘柄毎のグラスと、銘柄ごとのコースターで提供され、味、色、形状、絵柄と幾通りの楽しみ方が出来るビールなのです。
「Duvel」「Delirium Tremens」「La Guillotine」「Hoegaarden White」 「Duvel」「Delirium Tremens」「La Guillotine」「Hoegaarden White」

また、それ以外にも銘柄に秘められた歴史、物語などを紐解くと更に面白いことが判明しました。
手始めにこの4本を紐解いて見ます。
一番左の「Duvel」(デュヴェル)」とは、ベルギー地方の方言では“悪魔”を意味していて、「世界一魔性を秘めたビール」と称されているのだそうです
何故そう呼ばれるようになったと言えば、当初、第一次世界大戦の終結にちなんで「ビクトリーエール」という名称だったものが、靴屋の友人がこれを飲んで「まさに悪魔だ(nen echten duvel)」と叫んだことから、「デュヴェル」と改名したのです。
では、その友人は何故悪魔と叫んだのでしょう。
それは非常にクリーミーな泡立ちと、口当たりの良いスムーズさと甘い香りに引き込まれて、ついつい呑み続けてしまうのですが、その反面かなりアルコール度数が高いのでかなりの酔いを伴うからなのです。
この「Duvel」(デュヴェル)」のアルコール度数は8.5%なのですが、日本のビールで比較的高いといわれて爆発的なヒットとなった「スーパードライ」が5%、更にサントリー「秋生」が6.5%、そして文字通りのネーミングであるアルコール度数の高いのを売りにしている「キリン ストロングセブン」ですら7%ですから、いかに8.5%のアルコール度数が高いかが伺えるでしょう。
口当たりの良さに度を過ごすと、とんでもなく酔ってしまうという事から「悪魔」と呼ばれたのですね。

その隣の「Delirium Tremens」もまた興味深いストーリーを持っています。
このネーミングの「デリリウム・トレメンス(delirium tremens)」とは、ラテン語で「震えの来るせん妄状態」という意味だそうで、アルコール依存症下での禁断状態によって引き起こされる激しい症状のことを表しているのだそうです。
こんな恐ろしいネーミングのビールのマスコットが可愛らしい“ピンクの象”なのですから実にミスマッチのキャラクターです。しかし、実はこれも決して可愛らしいキャラクターなのではなく、アルコールで酔っ払うと見えてくる幻覚を表したものなのだそうです。
アメリカでは一時期輸入禁止にもなった曰くつきのビールで、まさにドラッグと思われるほど(決してドラッグではありません)恐ろしいビールともいえるのです。
それもそのはずでこのビールのアルコール度数9%なのですから、幻覚も見えるというものです。。。

そして3本目の「La Guillotine」は文字通り「ギロチン」で、ギロチンの考案者である有名なフランスの医者、ギロチン氏に因んで名づけられたのだそうです。
ギロチン
ギロチンと命名した由来は定かではないのですが、瓶やコースターに描かれているのは紛れも無く「ギロチン」の絵なのです。
このビールも甘くフルーティな香りながら9%のアルコール度数なんです。

「Duvel」で呑みすぎて、「Delirium Tremens」で幻覚を見るようになったら、「La Guillotine」のように死んでしまうよ、と言った比喩なのでしょうか。それにしてもできすぎたチョイスです。
そしてトリは、これら過激な3本に比べ実にオーソドックスな「Hoegaarden White(ヒューガルデン・ホワイト)」ビールで、日本で一番人気のあるベルギービールなのだそうです。
フレッシュでフルーティ、そしてアルコール度数も4.9%とまさに日本人好みのテイストなのです。
先に前の3本を飲むと物足らない感覚がありますが、最初のチョイスとしては実に興味深いベルギービールで、薦めてくれたスタッフに感謝、感謝なのです。

滑り出し快調でしたが、やはり悪魔に魅入られたようで、このような美味しそうなつまみを頼んだにも関わらず、これらのメニューを全く覚えていないのは、まさにベルギービールの魔術にまんまと嵌ってしまった経過のようです。
ツマミ
これ以降、泥酔状態で殆ど覚えていることが少ないのですが、根性で写真だけは撮っていたようです。

この渋いラベルのビールが「Duchesse de Bourgougne(ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ)」です。
「Duchesse de Bourgougne(ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ)」
1457年ブルージュで生まれたブルゴーニュ侯爵の娘メアリーにちなんで名づけられたもので、「ブルゴーニュの侯爵夫人」という意味だそうです。
グラスもなかなか色にあったようなシックな感じのグラスが素敵です。
ベルギーのレッド・ビールの傑作で、甘みとのバランスが良いビールだったそうですが、全くテイストを覚えていないのは残念の極みといえますね。

2つ並んで撮られた写真のビールは、それぞれ形とテイストに特徴があって薄らとした記憶が残っています。
左側のビールは「Pauwel Kwak(パウエル クワック)」です。
「Pauwel Kwak(パウエル クワック)」
何と言っても目に付くのがこの専用のグラスです。
奇を衒うようなグラスなのですが、これにもストーリーがあるのです。
醸造所と宿屋を営んでいたクワック氏は、毎日宿屋に立ち寄る馬車の御者が馬や乗客の為に手を放せず喉が渇いているのを見て、馬車に乗りながらビールを飲むことができるよう考案したのがこのグラスで、つまり持ちやすく、揺れにもこぼれ難いグラスと言うことなのです。
1996年度、世界ビールカップ国際コンクールで金メダルを受賞、2000年度飲料大会(シカゴ)の「ベルギー・ストロング・エール部門」にて90点を獲得といった様に、グラスだけではなくテイストも素晴らしいのですが、その素晴らしさの記憶が無いのが悲しいところですね。

隣の鮮やかなルビーレッドのビールが「Liefmans(リーフマンス)」で、わざわざ写真で撮ったように、とにかくフルーティを突き抜けたジューシー、いやシュースといっても良いビールなのです。
「Liefmans(リーフマンス)」 「Liefmans(リーフマンス)」
説明には「チェリーをベースに18ヶ月間熟成させた後、ストロベリー、ラズベリー、チェリー、ブルーベリー、ジュニパーベリーのフレッシュジュースをブレンドして造られたとてもユニークでフレッシュな味わいのフルーツ・ビール」とある通り、まさにジュース感覚のビールなのですが、それでもアルコール度数は4.2%ですから、一応要注意です。
瓶をアップで撮っていたくらいですから、よほどインパクトのあったテイストだったのでしょう。確かにそのジューシーさは“スパークリングワイン発泡強め”のような感じでした。
面白いのはこのビール、冬になるとなんとホットで呑むのだそうです。
銘柄は「リーフマン・グリュークリーク」という違う銘柄なのですが、テイストは、リーフマンスにスパイスを足したテイストだそうで、ヨーロッパでクリスマスに良く飲まれる伝統的なスパイスの入った温かいワイン“Gluhwein”に匹敵するビールで、45~60度程度で温めて呑むのだそうです。
実に興味深いビールですね。

すでに断片的な記憶しかない状況ですが、写真を見れば酒宴も終盤を迎えているのがわかります。
ベルギーといえばチョコというくらいですから、チョコレートにシャーベットでしょうか、軽く甘いものをオーダーしていたようです。
ベルギーチョコレート シャーベット
肉の後に更なるツマミをオーダーしていたのだと思いますが、写真には残されていませんでした。

そして最後(であろう・・・)のビールは「Gueuze 100% Lambic Bio(カンティヨン グース)」です。
「Gueuze 100% Lambic Bio(カンティヨン グース)」
特徴はラベルにあります。
写真ではわかりにくいので、ラベル部分だけの写真を掲出します。
「Gueuze 100% Lambic Bio(カンティヨン グース)」
中央に小便小僧のキャラクターが配置され(それだけでも妙ですが)、その左手に赤い花が添えられています。
この花は“ケシの花”で、ケシの花は農薬を使っている土壌では上手く栽培されない植物ゆえに、このビールは無農薬認可済みの原材料で造られたものを著しているのです。
したがってネーミングにも“Bio”の文字が付け加えられていて、これは2003年に認可されたものなのです。
興味深いストーリーのビールですが、その味はというとやはり酸味の利いたテイストだったようです。
更にこのビールの興味を引くのが脇役達のようで、説明によれば色々なグッズもあり、ベルギービールのコレクションとして面白い存在だとかの説明があったようです。
そこで調べてみると、ビールのバリエーション。
「Gueuze 100% Lambic Bio(カンティヨン グース)」 Cantillon Kriek Cantillon Framboise Rose de Gambrinus
定番のグラス。
カンティヨン・グーズ グラス カンティヨン・クリーク/フランボワーズ・グラス
そして醸造所の案内本やTシャツなどが販売されているのです。
カンティヨンTシャツ カンティヨンTシャツ カンティヨン
このような楽しみ方もある、興味の尽きないベルギービールなのです。

こうしてほぼ泥酔状態で、不覚ながらどのように家までたどり着いたのか覚えも無いまま、何とか無事にたどり着き満足な気分で爆睡したのでした。
翌日、何とか起き出して仕事に向かわねばならない、悲しい宮使いの性。
仕度をしていると、カバンの中から沢山のコースターが出てくるではないですか(汗)。
ベルギービールコースター
もしかしたら酔った勢いでチョロまかせて来たのではないかとの不安も過りながら、済んでしまったことは仕方ないとばかりに、しばし混乱した頭でコースターを眺めてみました。
まずは最初に呑んだ「シメイ」と「ブルゴーニュの侯爵夫人」
「シメイ」と「ブルゴーニュの侯爵夫人」
そして何とあの「悪魔」「ピンクの象」「ギロチン」のまるで“悪夢の3兄弟”のようなコースターです。
「悪魔」「ピンクの象」「ギロチン」
そして記憶の無い2枚がこちらです。
「NELLO'S BLOND(ネロズ ブランド)」「サタン」
1枚は「NELLO'S BLOND(ネロズ ブランド)」とまさに“フランダースの犬”のビールとは恐れ入りました。
もう1枚には「サタン」と記載されていて、またまた悪夢を呼びそうな“悪魔”ということなのですが、「サタンとデビルって何が違うのかなあ」などと考えていると遅刻しそうなので、さっさと会社に出勤となったのです。
後に知ったのですが、このコースターの中に珍しい両面刷りのコースターがありました。
1枚はあの“ピンクの象”で銘柄の説明が書かれているようです。
“ピンクの象”
さらに“ネロズ ブランド”の裏には「PATRASHE(パトラッシュ」というフランダースの犬そのものが描かれているのですが、これは実際に「PATRASHE」という銘柄のビールがあるのだそうです。
「PATRASHE」
実にユニークなネーミングですが、そうなると昨晩呑んだのはどちらだったのでしょうかね。

会社に着いて部下達に聞いたところ、コースターは店の方のサービスで、皆にくれたモノだったのです。
どうやら昨晩呑んだもののコースターだったようですが、そうすると相当な量を飲んだことになるのですね。
ベルギービールの悪魔にすっかり魅入られかなりの二日酔いなのですが、昨晩の盛り上がりにしばし部下共々談笑で、徐々に失った記憶を取り戻していきました。
しかしながら、記憶を取り戻していくと、悪魔はビールだけではなくあの店にも居たことが判ってきました。
何と財布の中に昨日の領収証があり、金額をみれば何と42,280円也。。。
レシート
4人で、ビールで、まあ、美味しかったことは確かだし楽しませてももらったし、と自分に言い聞かせながら、「で、これって割り勘だったの?」と聞くと、「いえ、カードで払われていましたよ」と。。。
そして何と、「あっ、遅くなりましたが、ご馳走様でした!」と3人の部下の明るい笑顔・・・。
「お、奢りかよ(汗、汗、汗)」と、悪魔の化身は一番身近に居たことを痛感させられる一瞬だったのです。

様々な楽しみ方ができるベルギービールの世界へ、皆さんも機会があれば悪魔に魅入られに行かれてはいかがですか。
勿論、一切は自己責任で^^

2013.04.27記
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