埼玉県中部にある坂戸市は、人口約10万人の町で、埼玉のベッドタウンとして発展しました。市内にはサンメリーやぎょうざの満州の本社があるほか、明治製菓やソニー、凸版印刷などの工場も誘致されています。
その坂戸市にあって田園地帯の一角に突如現れた「聖天宮」があります。噂には聞いていたのですが、一度も訪れたことがないので、10月18日(土曜日)、天気も良いこともあり出かけて見ました。
秋の暖かい一日、まさに坂戸の不思議体験です。

聖天宮

聖天宮は、儒教・仏教とともに中国古代三大宗教である道教の宮です。

全景

全景

スタッフのご説明によれば、寺院ではなく神社の意味合いだそうです。但し、仏教の派や神社本庁に属していない単立の宗教法人です。
狛犬 狛犬

狛犬の代わり!?

祭神は、道教の最高神である三清道祖(元始天尊、道徳天尊、霊寶天尊)が祀られています。

天門

この見事な「聖天宮」を建立したのが、台湾出身の康國典大法師と言う方で、若くして不治の大病を患ったのですが「三清道祖」に祈願し、7年の闘病生活を経て奇跡的に病が完治したのです。
大法師は感謝の気持ちを抱き、他の多くの方たちも同じように「三清道祖」にすがれるようお宮を建てることにしたのです。
そこで建立地を探していたところ、何故か生国台湾ではなく、何と日本国埼玉県坂戸市に建立するようお告げがあったため、同地に聖天宮を建立することになったのです。
名称や方角もお告げによって決められ、当時、台湾一流の宮大工を呼び寄せて、15年の歳月をかけて作られたのです。

天門 天門

天門

神社で言えば「一の鳥居」、寺院で言えば「山門」にあたるのが「天門」です。
ビビットな色と造りの印象的な建物で、特に屋根は神と皇帝の建造物しか使用することのできない黄色い屋根瓦です。
ガラスとタイルで造られた屋根飾りも見事です。また、細かく造られた彫刻も素晴らしい光景です。
天門の装飾 天門の装飾 天門の装飾

天門の装飾


このように台湾一流の宮大工の技術を早くも目の当たりにしたのです。

前殿

天門の先の広いスペースは、イベントなどが行われているそうで、太極拳や市場、よさこいなどが行われるようです。

前殿全景 楼閣

前殿全景

そしてその後ろの建物が「前殿」と呼ばれる建物です。
中央に拝殿があり、左右に楼閣が付けられている、こちらも見事な装飾の建物です。

九龍柱 九龍柱

九龍柱

前殿の中央には「九龍柱」と呼ばれる見事に彫刻の施された柱が立っています。
まさしく台湾一流の宮大工のなせる技で、台湾の観音山で取れる高さ5mある観音石の一本柱に施された彫刻です。
そもそも龍は鳳凰や麒麟といった神使いの中でも、最も力の強いものと言われており、更に「九」は永久の「久」に結びつく縁起の良い数字と言われることから、九頭の龍、いわゆる「九龍」は最高位の神か皇帝しか用いることのできないシンボルなのです。したがって、当時、台湾でこの九龍を無断で使用すれば、反逆罪として死罪になるほどのものだそうです。
ちなみに、この九龍の爪は5つあり、これも神・皇帝しか使用できないモノだったのです。因みに日光東照宮の泣き龍の爪は3つで、当時の中国明王朝に対しての配慮といわれているのです。

前殿の屋根の装飾龍 前殿の屋根の装飾龍

前殿の屋根の装飾龍

ここ聖天宮では。おおよそ5000以上の龍がいるといわれており、石に彫られたものや、タイルやガラスで装飾されたものなど、大変見応えのある龍なのです。

天井

前殿の天井

まさに宮大工の真骨頂と言うべきものでしょうが、更に前殿の天井も1000点以上のパーツを釘を使わず組み立てているのも必見です。

前殿の中央では、一風変わったおみくじを引くことができます。台湾では、おみくじのことを「聖籤(シンシャム)」といいます。

籤杯と55番の籤竹 籤杯と55番の籤竹

籤杯と55番の籤竹

まずは籤杯から籤竹(棒のようなもの)をひいて、そこに書かれた番号を覚えておきます。
神杯 神杯

神杯

次に太極図を2つに割ったような一対の陰陽を表す「神杯」を投げます。
そして「陰」と「陽」の組み合わせになったら、その番号のおみくじを引きますが、「陽」と「陽」の組み合わせは、もう一度神杯を投げ、「陰」と「陰」の組み合わせは籤竹からひきなおすという、「陰」「陽」の組み合わせにならない限り、ずっと神杯を投げ続けなければならないというものです。
おみくじ台とおみくじ おみくじ台とおみくじ

おみくじ台とおみくじ

今回一度目は「陽」と「陽」でしたが、二度目には「陰」と「陽」となったので55番のおみくじを引くことができました。
おみくじ結び おみくじ結び

おみくじ結び

なんと大吉をいただくことができ、大変気持ちの良い結果となりました。
本来、台湾ではおみくじはどんな結果であれ、家に持ち帰って日々の生活に役立てるですが、やはりここは日本式に祀って帰るようです。

いずれにしても日本の神社にはない、珍しい異国文化のおみくじを体験することができました。

楼閣

聖籤のあとは楼閣に登ります。

縁起の良い置物

縁起の良い置物

向かって右側の楼閣の1階にはかわいらしい置物があります。
中国では古くから桃は仙木・仙果(神仙に力を与える樹木・果実の意)と呼ばれ、不老長寿を与える植物として親しまれていたことから、このような置物があるようです。おそらく中央は七福神の一人の「寿老人」でしょう。

2階に上がると天井に太鼓がつるされています。

陰鼓

陰鼓

こちらの西側の楼閣は「陰鼓」と呼ばれる太鼓が吊るされており、東側の鐘楼には「陽鐘」と呼ばれる鐘がつるされています。
これは「陰陽」「始まりと終わり」を象徴しているそうで、毎日AM8:00、PM3:00に交互に12回鳴らされるのだそうです。
このことから西側は「鼓楼」、東側は「鐘楼」と呼ぶのです。

その下には赤い燭台がしつられています。

紅寿燭

紅寿燭

この「陰鼓」の下では、「陰」の力が「生きる・打ち勝つ」の力に変わることから、ここで蝋燭をともす行為は物事の順調と延寿のご利益があるのだそうです。
特に蝋燭は紅色で、これには「授かる」の意味があることから「幸福・良縁」、そして「子宝・繁栄」が授かるのです。
ちなみに台湾では白い蝋燭は葬式にしか使用しないそうです。

ここからの眺望も見事です。

前殿の彫刻 前殿の彫刻

前殿の彫刻

寿金亭

寿金亭

傍らにあるのが「寿金亭」と呼ばれるものですが、実はトイレです。ある意味では荘厳なトイレってことになるでしょうか。

次は東側の「鐘楼」の1階に移ります。

陽紅布

陽紅布

こちらには「陽紅布」と呼ばれる陽の赤い帯が祀られています。
お判りの通り、こちらは「陽」の力が強く、この赤帯に書いた言葉に「陽」の気を宿し、赤色は同じように「授かる」意味があることから、願い事を帯に書いて奉納するのだそうです。
陽紅緒台

陽紅緒台

その奉納は2階の「陽紅緒台」に掛けるのだそうです。
こうして陽紅布は、1年間飾られ、1年を過ぎた春夏秋冬の節目にお焚きあげされるそうです。

ここでも異国情緒豊かなお参りが体験できるのです。

本殿

最後は「本殿」で参拝で、台湾では「拝拝」と云うそうです。

見事な回廊の装飾 見事な回廊の装飾

見事な回廊の装飾

前殿から美しい回廊を廻って奥の本殿に向かいます。

本殿の前には九龍柱と同じような彫刻が置かれています。

九龍網 九龍網

九龍網

これは「九龍網」というもので、柱と同じように一枚の岩から彫られた九頭の龍です。
こちらも見事な彫刻です。

そして参拝をいたします。

本殿の本尊

本殿の本尊

ここでは当然、参拝方法が違いますので、スタッフのかたに教えていただき参拝します。
台湾の参拝の方法は、基本的に日々の報告をしながら沢山の願い事をこと細かにするとご利益があると言われています。つまり、商売繁盛を願うには、商売の内容やお客のことなど、事細かにお願いするのが普通なので、大変時間がかかるのです。
拝拝線香 拝拝線香

拝拝線香

その際、線香をお供えするのですが、願い事の時間が長いことから、台湾の線香は日本の線香に比べ3,4倍長いのです。
線香をお供え終わると、今度は本殿の本尊に参拝します。
この際は、日本の神社の二礼、二拍手、一礼とは違い、合掌、拝礼を12回繰り返すのです。
本殿縁にある台に膝を乗せる

本殿縁にある台に膝を乗せる

この際、本殿の縁にある台に膝を乗せて合掌と礼拝を繰り返すのですが、拝礼時に男性は手のひらを裏にし、女性は表にして拝礼します。
これらは、十二支と陰陽に基づいていることは云うまでもありません。

こうして参拝が終わると、お供え物を持ち帰ります。
台湾では、お供えした供物を持ち帰るのが独特の慣わしで、特に食べ物を供えるのが一般的だそうで、台湾の学生たちは昼休みに弁当を供え、参拝後にその弁当を公園などで食べるのだそうです。
一般的には食用油などが備えられ、持ち帰ってそれを自宅で使用するのだそうです。

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天門

このように建物も習慣も全く違う、聖天宮で、異国情緒を味わうのも一興かもしれません。
また、少し前にはTVドラマ「西遊記」やEXSILE・ATSUSHIのPVのロケ地にも使用されており、更に昨今では中国系のコスプレの舞台としても使用できるそうです。

機会があれば、是非一度、台湾体験をされてみてください。

2014.11.9記
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