現代、産業道路を移動する

浅間神社

「清浄院」からは中山道ではなく産業道路を北上します。
大正製薬 国道16号線の周辺にある工場が大正製薬の大宮工場です。

そして国道16号線を越えて左手に少し入ったところに「浅間神社」があります。

浅間神社 富士塚 「浅間神社」といっても実は富士塚で、この地区には3つ目の富士塚となります。

正式には「吉野神社」といいこれは地名(吉野町)から命名されたようで、しかしてその実態は「氷川神社」で、摂社として「浅間神社」があり、祭神は、全国の浅間神社がそうであるように木花開那姫命です。
この神社の例大祭は初山例大祭と呼ばれ、山開きと同じ7月1日です。
この例大祭は、富士山をご神体としている事から「初山祭り」といわれ、この年に生まれた子供は、母親に抱かれて「初めて山」に登り、額に朱印を押してもらい成長を祈るそうです。

さてこの富士塚は、ブロックと鉄柵で囲まれていて、高さ5.5m、方形16mx17mの規模で盛り土で造られています。

浅間神社 富士塚 フェンスから中に入ると「浅間神社境内」と刻まれた石柱があります。
恐らくこれが鳥居の代わりなのでしょう。

浅間神社 富士塚 浅間神社 富士塚 角行 食行碑 登山口の脇には石碑が立っています。

1つは浅間神社改修記念碑で、もう一つは参明登開山 角行・食行と刻まれています。 確かつつじヶ丘公園の富士塚にも角行・食行なる石碑がありましたが、どのような意味を持っているのか調べずにはいかないでしょう。
角行とは文字通り将棋の駒・・・ではなく、江戸時代に富士講を結成した人々が信仰上の開祖として崇拝した伝説上の人物で、1541年長崎生まれの俗名、長谷川左近藤原邦武と伝えられているそうです。
修験道の行者であった角行は、富士登拝や水垢離などの修行により「フセギ」や「御身抜」という独特の呪符や曼荼羅を授かり、特に病気平癒に効力を発揮する呪符である「フセギ」は、江戸で疫病が万延した際にはこれを数万の人びとに配って救済したという言い伝えから崇拝されることとなったようです。
なお、静岡県富士宮市にある富士山の噴火でできた溶岩洞穴の人穴は、この角行が最初に修行した場所として、富士講では聖地とされているそうです。

一方、食行とは本名伊藤伊兵衛で1671年三重県津市生まれの宗教家です。
元禄元(1688)年に江戸で富士行者月行に弟子入りし、油売りを営みながら修行を積んだ後、享保18(1733)年63歳の時、駒込の自宅を出立して富士山七合五勺目(現在8合目)にある烏帽子岩で断食行を行い、35日後にはそのまま入定しました。
これを現世に不満を抱く人々は救世主的な存在して熱狂的に受け入れ、新興宗教団体として「富士講」を誕生させたのでした。そしてその後富士山に登らずとも富士登山の功徳が得られるということで各地に富士塚が造られるようになったのです。
このような経緯から、富士講にとっては角行・食行は開祖として崇敬されているのです。
余談ながら、角行の広めた「フセギ」は、埼玉県内では現在も悪魔祓いの民俗事象として、秩父、川越、東松山、比企郡などで行われており、一部は文化財となっているものもあるそうです。

実際に富士登拝です。
浅間神社 富士塚 登山道である石段を上がると途中から右に折れる参道があり、その先に祠があります。

磐長姫命 祠には「磐長姫命」と刻まれています。

「磐長姫命」とは大山祇神の娘で、この浅間神社の祭神である木花開那姫命の姉だそうです。
この「磐長姫命」は、妹の木花開那姫命とともに天孫降臨した瓊々杵尊の元に嫁ぎます。これは天孫が岩のように永遠になるようにと磐長姫命を、そして花のように繁栄するようにと木花開那姫命を嫁がせたという意味を持っていたのですが、磐長姫命は醜かったので返されてしまったのです。
怒った大山祇神は磐長姫命を返したことで天孫の寿命が短くなるだろうと告げ、それが人間の短命(神に比べて)の起源となったのだそうです。
因みに瓊々杵尊と木花開那姫命の子の一人があの山幸彦で有名な彦火火出見尊で、その孫が神武天皇となるのです。
意外と日本神話は泥臭いところがあって、結構面白いのですよ。

浅間神社 浅間神社 頂上には当然「浅間神社」があり参拝をすませます。

この富士塚はかなり補修されていて、石段や頂上の手すりなど安全対策がなされているようです。

大正製薬 確かに下界を眺めれば眺めもよく、先ほど見てきた大正製薬の工場も見ることができます。

例大祭には多くの稚児達で賑わうのでしょう。まだまだ富士信仰は盛んなのかもしれません。

宮原の大ケヤキ

産業道路を更に北上し右折したところに吉野緑地公園があります。
吉野緑地公園 特に何も無い自然のままの公園で、どちらかといえば避難場所として確保してあるといっても良いかもしれません。

宮原の大ケヤキ その公園の前にある大きな樹木が「宮原の大ケヤキ」です。

大宮市指定文化財 天然記念物 宮原の大ケヤキ
所在地:大宮市吉野町2-252-2 指定:昭和39年8月29日
ケヤキはニレ科に属する落葉高木で、本州・四国・九州地方にのみ自生するわが国特産の優秀良材です。なかでも武蔵野の材が最良のものとされ、江戸城築城に際しても武蔵野の材が使われたといわれています。
この「宮原の大ケヤキ」は、若木であるため幹には瘤起がなく、枝張りも四方に平均して伸び、豊かな枝振りが見られます。春、新しい葉とともに淡い黄緑色の細かな花を開き、こんもりと繁った雄大な樹形や、落葉樹の多数に分かれた枝の形は、ケヤキ独特の風情があり、良い環境で素直に成長してきたことを物語っています。
この大ケヤキは区画整理計画では伐採対象になりましたが、地元関係者の理解と努力によって、永くその雄姿をとどめることになりました。
樹齢:推定約350年、樹高:30メートル、幹回り:4.58メートル、根回り:9.80メートル
平成10年3月 大宮市教育委員会
(現地案内板説明文より)

結構遠くからのアングルでないとフレームに収まらない位、見事な枝ぶりでしょう。
ケヤキは東アジアの一部には自生しているようですが、ほぼ日本特有と言っても良い樹木のようです。
木材としては木目が綺麗で、磨くと非常に美しい光沢を出し、堅くて磨耗に強いことから家具・建具、建築用材として古くから使用されていたことから、神社仏閣などにもかなり使われたようですが、現在は高価となったため庶民の住宅には使いにくいようです。
木材以外にも街路樹や庭木としてよく植えられています。
高さが20、25m位の大木になるため巨木が国や地方自治体の天然記念物になっているものもあり、またケヤキをシンボルとしている自治体も多いようです。

宮原の大ケヤキ 「宮原の大ケヤキ」は樹齢350年ながら若木といわれていますが、確かに山形県東根市の国指定特別天然記念物「東根の大ケヤキ」は樹齢1500年ですから、350年はまだまだお子様ですね。

シンボルとしては、何といっても埼玉県の木がケヤキですから、「ケヤキにはちょっと煩いよ」といったところでしょう。市町村としては県下では熊谷市、鴻巣市、越谷市、蕨市、入間市、朝霞市、桶川市、富士見市、小川町がケヤキをシンボルとしているようです。また、さいたま市から所沢市を通る国道463号線は約17kmに渡って続く日本最長のケヤキ並木もあります。
その様な環境化での「宮原の大ケヤキ」ですから、更に年月を重ねて成長して日本を代表するケヤキになって欲しいものです。

産業道路はこの先で国道17号線と合流します。

大宮卸売市場 その合流するデルタ地域にあるのが「大宮卸売市場」です。

この市場は青果販売の大宮総合食品地方卸売市場と水産販売の埼玉県水産物地方卸売市場が隣接していて、業者だけでなく、週末は一般客も来場が可能な市場です。
大宮総合食品地方卸売市場は昭和45年、埼玉県水産物地方卸売市場じは昭和46年に開設されていますので、若田氏が子供のころにはもう存在していた市場です。

大宮卸売市場 正門にも2つの看板が掲げられています。

大宮卸売市場 正門を入った左手に守衛室があり、その隣には昨日9日の水産物の卸売価格が記入された黒板があり、いかにも卸売市場の風情です。

大宮卸売市場 大宮卸売市場 広い駐車場を奥まで進むと建物の中央に通路があり、その入口に水産と青果と書かれています。
中央に通路は日曜日ですので、閑散としていますが、平日は活気にみちているのでしょう。

大宮卸売市場 敷地の左側には築地などでよく言う場外の店があります。一度食してみたいものです。

ある意味では非常に楽しめる施設といえるかもしれません。

この少し先からが埼玉県上尾市となり、今回の散策もこれで終了となります。

浦和高校を卒業した若田氏は、前述の通り九州大学から日本航空、そして宇宙飛行士と世界の若田となり、1996年には大学時代に知り合ったドイツの留学生シュテファニーさんと結ばれたのですが、結婚式は大宮の氷川神社で挙げられたそうです。
世界の若田であっても故郷は忘れていないことが他人ながら非常にうれしいことに感じます。

その若田氏の生まれ故郷がこんなに身近であり、更に自然と歴史があふれる意外と興味深い街であるとともに、古代、中世、近世、現代、そして未来が交錯するとても魅力的な町でした。
現在さいたま市北区の名所といえば、どうしても盆栽村が世界的にも有名ですが、北区西側も侮れない街です。

2011.4.14記

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