安行散策 #4

「ちい散歩」ですっかりメジャーとなった(!?)興禅院から「ふるさとの森」へ進みます。
天気も良く新緑の季節のなかで森の空気をたっぷり吸い込んでみることにします。

ふるさとの森

ふるさとの森への小道 「興禅院」から路地を進むと掲示板があります。

この台地の北側の低地には見沼代用水路の支線である赤堀用水が流れている。赤堀用水の管理に関し1750年(寛延3)に周囲の村落で争いが起きたが、関東郡代伊奈家8代・忠達がこれを仲裁したとの記録がある。
このあたりから南東の台地は、水はけや日当たりも良好で、植木の産地として発展してきた安行地区に続く。変化に富んだ起伏と豊かな緑はのどかな風景を見せてくれるが、常に水の問題を抱える地域でもあった。
川口市教育委員会
(現地案内板説明文より)

常に水はいつの時代でもライフラインですから、争いが起こることも当時は仕方なかったかもしれませんね。

ふるさとの森 生垣のある小道を進むと「ふるさとの森」の看板のあるところに出ます。

弁財天への道 草木供養塔 ここからは、弁財天の幟の立っている斜面を下るか、草木供養塔と刻まれた石碑のある斜面の上を行くか二者択一ですが、ここはまず弁財天に向います。

斜面に沿った階段を下りると小さな橋があり両側が池になっています。

放生池 霊水 池の一端に1本柱の屋根があり、その下に池の隅から竹竿が渡され竹竿から水が湧き出ています。

放生池と霊水
地球を絶えず浄化してくれているのは、海水と自然の植生であるといわれます。大昔、この辺りの大地一帯は原始林が繁茂していて、低地は古代東京湾が広がって出来たもので、その台地下の泉から豊富な地下水が渾渾と湧き出ていました。近世以来新田開発によって山林は畑として耕され、現代は宅地化が急速に進み、多くの泉が細る一方ですが、この霊水だけはどんな日照りでも枯渇することなく自然に潤いを与えています。
昭和14年頃、近隣の人々が悪病に悩まされたので、昭和15年(紀元2600年)に埋まっていた池を浚い、供養したところ以後、平穏が続くようになりました。なおこの霊水は、指呼の間にある安行東中学校の校歌にも「泉湧く」と歌われていて、現在では市内に数少ない処として大切に維持管理されています。
当山では樹木を保護し環境保全に努めていますし、池に棲息している魚類には、新潟県産のヒブナ・鯉等が寄贈されており佛門の戒めにより殺生禁断となっていますので、これらの維持のため皆様のご協力を、お願いいたします。
平成6年11月吉日 瑞龍山興禅院
(現地案内板説明文より)

この池は「放生池」というのですか。魚類などを生きたまま放流するというところからの由来でしょう。
そして、ここに湧き出しているのが霊験あらたかな霊水ということですね。
周りの環境も何やらそのような気配を感じてきますから不思議なものです。現代的にはパワースポットというものでしょうか。

楽器供養塔 「放生池」の隣には珍しい楽器供養塔があります。

音の根源は自然界の発するもので、そこから原始の叩く、打つなどの行動によって音を作り出し、その後楽器が生まれてくるのですが、それらの楽器はやはり自然界から生まれたものであるという観念から、世に無数に作られながら壊れ使用できなくなった楽器を供養するための…、ということのようです。
音楽の神でもある弁財天の祀られている地ということもあってこの地に建てられたのかもしれませんが、ちょっとは音楽をかじったものには何となく嬉しいですね。そういえば家のギターやトランペットはどうなっているのでしょうか。もう何十年と見ていませんが、もしかしたら供養した方がいい状況かもしれませんね。

弁財天 その先にあるのが「弁財天」です。

興禅院弁財天の由来
この弁財天堂は、瑞龍山興禅院付属のお堂として管理されています。弁財天がこの地にいつ頃勧請されたかは詳かではありませんが、寺伝によれば当寺四世の南巌龍昌大和尚は、諸堂宇と寺域の整備に尽力された名僧で、中興の祖と仰がれていることから寛文年間(1661から1672)頃に霊泉の傍らに小祠を建立したと思われます。当寺に所蔵されている寛政7年(1795)と同10年の記録に弁天講金云云とあり、以前から弁天講が成立していたことが分かります。
弁財天は、印度では古くから信仰され正しくは「大弁財天功徳天」と申します。始めは農業神として尊崇され五穀豊饒を願い、寿命増益、福徳円満の功徳を念じました。また、日本では音楽の神様としても広く信仰されてきました。また、この地には昔から白蛇の話や、大蛇にまつわる伝説が語り継がれております。弁財天堂も、往時の盛時が復活されつつあり弁財天の御誓願を深く信じて、益々幸福な生活が得られるよう一層のご信心をお勧めいたします。
弁財天年中行事 祭日 正月9日、5月9日、9月9日
弁財天別当興禅院
(現地案内板説明文より)

弁財天と宇賀神 宇賀神 境内には祠が2社あり正面は弁財天を祀った祠ですが、左側の祠には蛇を彫った石仏が祀られていました。

くりはし八福神】でも参拝した宇賀神です。
インドの弁財天と日本古来の神である宇賀神が習合したものなので、弁財天あるところには宇賀神も祀られるということになるのです。恐らく宇賀神から白蛇の話や、大蛇にまつわる伝説が生まれたのではないでしょうかね。

十三仏 「ふるさとの森」には弁財天のほかに、森沿いに十三佛が祀られています。

十三仏は、十王をもとに日本で考えられた、冥界の審理に関わる13の仏で、十三回の追善供養(初七日から三十三回忌)をそれぞれ司る仏様としても知られているものです。
この十三佛については。栗橋での【定福院の羅漢と石仏】で良く調べましたのである程度は理解していました。

最初と最後だけ写真をアップしておきます。
不動明王 虚空蔵菩薩 左が最初の初七日を司る不動明王で、右側が最後の三十三回忌を司る虚空蔵菩薩です。

千手観音菩薩 但し、こちらの十三佛の場合、最後の虚空蔵菩薩の後に千手観音菩薩が祀られています。

これはどんな意味があるのか調べてみたところ、この十三佛のうち八佛は、十二支の守り本尊になっているようで、 初七日・不動明王:酉年生、三十七日・文殊菩薩:卯年生、四十七日・普賢菩薩:辰年と巳年生、一周忌・勢至菩薩:午年生、三回忌・阿弥陀如来:戌年と亥年生、十三回忌・大日如来:未年と申年生、三十三回忌・虚空蔵菩薩:丑年と寅年生という具合だそうです。
そしてこれを見ると実は子(ネズミ)年生まれが抜けているのですね。そこで子年の守り神がないのは不味いだろうとばかりに祀られたのが、子年生まれの守り神である千手観音菩薩ということのようです。

本来の十三佛の意味合いとは違ったところでしょうが、やはり気にする人は気にするかもしれませんからね。

台地の上通路 ちょうど十三佛を巡ってくると斜面の上に戻るようになっていて、ここから台地の上を通って興禅院へ戻ることにしました。

イチリンソウ自生地

「ふるさとの森」の散策を終えて次に向かったのが「イチリンソウの自生地」です。
「ふるさとの森」の斜面沿いを更に1kmくらい歩けば「赤堀用水沿いふるさとの森」となりそこに自生地があるのですが、車を興禅院に駐車してあるので、再び戻るのも疲れるので車で直接向かうことにしました。

程なくイチリンソウの自生地に到着です。
10台くらい止められる駐車場にかろうじて1、2台の空きがあったので車を止めさせていただきました。

万葉植物苑 まず駐車場の横には「万葉植物苑」があります。

恥ずかしい話で個人的にはこの「万葉植物苑」がどういった意味を持った植物園なのか良く知らずに、単に草花を愛でて素通りしてしまいました。
一般的には「万葉植物園」と記載されるほうが多いようですが、植物園の一種ながら万葉集に収録される歌に詠まれる植物の鑑賞を目的とした植物園なのだそうです。
万葉集の歌は4,500首以上あり、詠まれる草木は150種におよぶといわれているそうで、詠まれる草木の頻度の多いものでは、ハギ141首、ウメ118首、コウゾ・ヌバタマがそれぞれ81首があるそうです。反対に少ないのはカタクリやシキミなどで当然1首です。
そして多くの植物園では植物の和名の呼称と共に詠まれた歌を掲示してあり、鑑賞・観察しながら当時の詠み人を偲ぶことができるという、大変風雅な植物園なのだそうです。
そのような主旨での植物園ですから、主に地方公共団体や社寺が維持運営しているケースが多く、日本各地にある万葉植物園に中でも、春日大社の「萬葉植物園」が最古のもので、宮城県黒川郡の「昭和万葉の森」は総面積23ヘクタール(東京ドーム約5個分)の広さを持つところもあるそうです。因みにこの「万葉植物苑」は、川口市が買収した民有地で平成21年4月にオープンしたのだそうです。

万葉植物苑 万葉植物苑 といった「万葉植物苑」でしたが、折角の説明板もろくに読まずに素通りしてしまいました。
実に残念なことをしましたね。

機会があれば再度じっくり鑑賞してみたいです。

水芭蕉 赤堀用水沿いふるさとの森 「万葉植物苑」を先に進むと、ちょうど水芭蕉が咲いている池を通り過ぎたところに「赤堀用水沿いふるさとの森」の標柱があり、ここから先がイチリンソウの自生地となっているようです。

案内所 今年は何処でもそうですが震災の影響により多くのイベントが自粛なり、このイチリンソウ自生地で毎年行われている一輪草まつりも基本的には中止だそうですが、ささやかに案内所が設けられています。

川口市指定天然記念物 安行原イチリンソウ自生地  平成14年3月22日指定
イチリンソウ(一輪草)は、本州・四国・九州の山裾の草地などに生育するキンポウゲ科の多年生の草本です。根茎は、細長く白色を呈しており、地中を横に這い、茎は、根茎の上部から伸びます。葉は、複葉で三方に大きく分かれ、成長の過程で放射状に2回分裂します。葉柄と縁には、細かな毛が生え、裏面は青紫色を呈しています。
花は、両性花で花弁(花びら)は退化し、表面が白色から薄紅色を呈する五片の萼が花弁状に広がっています。この萼は、毎日開閉するたびに大きくなり、最大で直径5cmほどになります。また、蕊は、複数の雄蕊と雌蕊からなっていることから多心皮と呼ばれ、原始的な構造をしています。
通常、3月中旬に葉が伸び始め、4月中旬から下旬にかけて開花し、5月下旬には地上部分は枯れて地下茎は休眠期に入ります。
かつては県内各地に広く分布していましたが、現在はその数が減少し、「埼玉県準絶滅危惧種」に分類されています。この指定地は、県東部における数少ない自生地のひとつです。川口市教育委員会
(現地案内板説明文より)

全国的にはポピュラーな植物なのでしょうが、埼玉県では準絶滅危惧種ですから貴重なといわざるを得ないでしょう。やはりベッドタウンとしての開発により徐々に植物が減ってきたといった歴史ゆえでしょうか。
因みにイチリンソウの仲間に、ニリンソウ・サンリンソウがあるそうですが、イチリンソウが1本の茎に1つの花しか咲かないのに比べて、ニリンソウは2つの花、サンリンソウは3つの花を咲かせるという大変分りやすい分類のようです。(勿論レアケースもあるようですが)

早速、そのイチリンソウを見学しようと先に進むと、大変ショッキングな立て札がありました。

お知らせ
今般、この「ふるさとの森」において、極めて重大かつ遺憾な事態が発生しました。
あろうことか、県の準絶滅危惧種であり、川口市が天然記念物に指定している「一輪草自生地」に何者かが侵入、かなりの量の「一輪草」が持ち去られてしまったのです。
私たちは、直ちに市に報告、協議の結果、被害届を提出し今後を司法の手に委ねることにしました。
15年前の平成7年に実施された植物調査の際、偶然に「一輪草」の生育が確認されたときは、「点」としての存在でした。以来、本会員を中心とした奉仕活動と惜しみないご支援をお寄せ頂いた地域の方々の善意が実を結び、年を経るごとに「点」から「面」へと着実な広がりを見たのです。
その結果、平成18年には「第1回一輪草祭」を開催するまでになり、近年においてはNHKテレビを始め、新聞各紙にも大きく取り上げられるようになりました。今では川口市内はもとより隣接市町村をはじめ近隣都県からの方々も含め、1ヶ月足らずの開花期間中には20,000人を上回る「野の花愛好者」が訪れるようになっています。
此の度の「盗掘」という許し難い犯罪行為は、これまでの発展に逆行するものであり、川口市が他に誇る稀少かつ貴重な財産を損壊しようとする悪意に満ちた行為に対し、厳に抗議するものであります。
平成22年8月 安行みどりのまちづくり協議会
(現地案内板説明文より)

桜の枝を折って捕まった僧が、桜の木に縛り付けられたまま「この春は花のもとにて縄(名は)付きぬ(尽きぬ)、烏帽子桜と人や見るらん」という歌を詠んだそうです。その歌に感動した花見の一同は罪を許して一緒に花見の宴を始めたという「花盗人」という室町時代の狂言から、花泥棒は罪にならないという意識が生まれたといわれています。
美しいものを愛でて欲しくなった人を責めることはできないという喩えなのでしょうが、現実は花一輪でも罪は罪なんです。情状酌量はあるにしても、それは元々罪を問われているのです。
まして、天然記念物に指定されているものを盗むという行為はまさに言語道断です。まさにハマカーンいうところの「下衆の極み」とはこのことでしょう。

こういった輩には是非小さな声を聞いて欲しいものです。

一輪草からのお願い
安行の一輪草も皆様のおかげで、4月に入ると「一輪草もう咲いた」と聞かれるようになりました。
今年は、昨年より1週間遅く4月11日が初花でした。温暖化といっても今年は、天候が不順でとても大変でした。
私たちのような小さな花でも、皆様の心のいやしになってくれればと思っております。
安行みどりのまちづくり協議会
(現地案内板説明文より)

関係者のみならず、我々見学者も気分の良くない思いを感じます。とにかくつまらないことは止めましょう。
という事で気を取り直してイチリンソウを見学です。

イチリンソウ 残念ながらイチリンソウの花はとても少なく、「盗掘」にあった影響によって・・・、ではなくて今年はまだ早かったようで満開までまだ1週間程度掛かりそうとのことです。

イチリンソウ ということで、テーマは「一輪のイチリンソウ」というとてもダサい写真です。

イチリンソウ ところどころにはイチリンソウが咲き揃っています。

本来はキュートな花なのでしょうが、何となくメランコリーな花に見えてしまいました。

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