歴史を尋ねる散策記。歴史の必然、偶然を楽しんでいます!!!!
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江戸から明治時代について巡ってきた散策ですが、最後は昭和、平成の現代の散策です。
東郷神社から原宿駅までは10分もかからない場所ですが風景は一変します。原宿を散策する前に、町の歴史を調べてみます。
江戸時代以前の歴史ですと鎌倉街道の宿場町として存在していたようですが、実際に村としての町が形成されたのは江戸時代で、隠田村と原宿村が記録にあるようです。
しかしながらその存在感を示し始めたのは明治時代で、1906年の原宿駅開業、そして1919年の明治神宮創建からといえます。神宮創建と共に表参道ができ、参拝客の増加により1924年に原宿駅が現在の位置に移動したそうです。そして1927年同潤会青山アパートが建設され住宅地として人口も増え始めたようですが、60年代前半までは地元住民が穏やかに暮らす閑静な住宅街を保っていたようです。
これが一変したきっかけが60年代中頃に明治通り沿いにできたドライブイン「ルート5」(跡地がラフォーレ原宿)で、これにより「原宿族」と呼ばれる若者がこの地に集まりだしたそうです。
そして70年代に相次いで創刊された「アンアン」「non-no」の影響で「アンノン族」が闊歩し始め、ファッションアパレル産業の中心地として全国区となったことから表参道から明治通り周辺が一気に活況を呈してきたのです。
80年代に入ると竹の子族の影響により竹下通りが発展し、80年代後半のタレントショップにより竹下通りが一気にブレイクするのです。その後も90年代の裏原宿系など、現在も「若者の聖地」として原宿は不動の地位は続いているようです。
ということでまずは5年ぶりくらいの「竹下通り」です。
相変わらず原宿駅竹下口から竹下通り周辺は人でいっぱいです。
もともとこの辺りが竹下町だったことから竹下通りの名称がついていたのですが、現在神宮前と住居表示は変わっても、この通り名だけは嘗ての町名の名残があるのです。
その竹下通りへ入る手前の壁面に「真実のくちぱっち」なる似非「真実の口」があります。
100円入れて口からおみくじが出てくるという他愛ないものですが、もともとは「たまごっち」のアニメから生まれたようです。
最近は子供もすっかり大きくなったので、家でアニメを見るということが皆無になってきましたので、情報にはすっかり疎くなりました。こんな機会でもない限り、一生知らないまま(知っていてもどうするんだ、という突っ込みはさて置き)過ごしてしまうのでしょうね。
久しぶりの竹下通りの入口です。バルーンアートのアーケードが設えてあります。
相変わらずの混雑振りです。
5年ほど前に仕事の関係で随分と竹下通りを通りましたが、混雑振りは全く変わりませんね。
結果から言えばオッサン、オバサンのでる幕は全くありません。飲食以外1店たりとも寄れる店舗は皆無です。逆に只の通りすがりで、しょうがなく通っているという顔をしておかないと恥ずかしい位です。
それでも薄れる記憶の中で嘗て仕事で訪れていた場所を思い出し、路地を入ってみました。
建物は多分ここだったと思いますが、1階の店舗がファッション関係に変わっていました。以前はちょっとしたライブもできるティールームだったはずなのですが・・・。
ま、結局通っただけの竹下通りでしたが、ホンのちょっとの青春(っていうと滅茶苦茶臭い!)・・・、をとりあえず感じたりした竹下通りでした。
昭和の時代の産物ですが、ここも昭和の匂いさえ無くなりつつあるのかもしれません。
そして今回の散策の最後が表参道通りの「欅並木」です。
表参道通り自体は先の歴史の通り1919年(大正9年)に作られ、昭和の時代に発展を遂げたのですが、再開発などにより竹下通りよりも、更に昭和の匂いが薄れ、まさに平成のシンボルの一つといっても過言ではない街に変貌しています。
イルミネーション点灯にはまだ若干早かったので、休憩の後にとりあえず欅並木を歩いてみることにしました。
最近は車で通ることがあっても、なかなか歩く機会が無いのでブラリ散策するにはもってこいです。そこでイルミネーション点灯まで欅並木の歴史をサクッと振り返ります。
冒頭の歴史にもある通り、1960年代前半までは地元住民と参拝客だけの実に長閑な住宅地だったのですが、それ以降は急速な発展を遂げたのは前述のとおりです。
それに伴いこの欅並木も商店街が形成されたことから、1973(昭和48)年、「原宿シャンゼリゼ会」として商店街会の前身が発足したそうです。そして1985(昭和60)年、商店街振興組合として法人化され、1991(平成3)年、最初の表参道けやき並木のイルミネーションがはじまったのです。従ってまさにこのイルミネーションは平成の産物といえるのです。
その後、SMAPの「夜空のムコウ」のPVの背景に使用されるなど全国的に知れ渡ったのが逆の結果を産み、周辺環境の悪化などから1998(平成10)年が最後のイルミネーションとなってしまったそうです。
その後、1999(平成11)年「原宿シャンゼリゼ会」は「原宿表参道欅会」へ名称変更し、2006(平成18)年には年末年始のイルミネーションが「表参道akarium(アカリウム)」という名称で復活したのですが、和のテイストの行灯の設置という地味で目立たないイベントだったため1回きりで終了してしまいました。
そして昨年の2009(平成21)年、「表参道H.I.S.イルミネーション ベルシンフォニー」としてイルミネーションが11年ぶりに復活され、復活後の2回目となるのが今回の「表参道イルミネーション2010」と題されたイベントなのです。
その欅並木を散策していると、まだ薄暮ではあるのですがイルミネーションが点灯し始めました。
そしてイルミネーションの街路樹に90の数字が書かれたペナントが下げられていて、表参道90周年の意味だそうです。
何を持ってして90周年かと言うと明治神宮鎮座90周年なのだそうです。と言うことは明治神宮鎮座と同時に欅並木が作られたわけですから、表参道も90周年と言うことになるわけです。
そして、その街路樹の右側の建物が、今や、平成の代名詞でもある表参道ヒルズです。
まだ入館したことがありませんでしたので折角の機会とばかりに、完全に日が暮れるまで表参道ヒルズを散策します。
建物を見ているとあの特徴的なロゴマークを見て取ることができます。
そのロゴの付いている建物部分は嘗てここにあった同潤会青山アパートを復元したもののようです。
同潤会青山アパートは、1926(大正15)年に建設された多機能のアパートで、当時としては最新鋭のアパートだったのです。建設を推進した同潤会とは、大正12年に発生した関東大震災の翌年に内務省社会局に設立された財団法人で、今の都市機構(旧:住宅都市整備公団)の原型にあたる法人です。
そんな最新鋭のアパートでも老朽化は避けられず、2003年に取り壊され、跡地にこの「表参道ヒルズ」が建造されたのです。しかしこの「表参道ヒルズ」は昨今の何でも高層のコンセプトではなく、同潤会青山アパートの雰囲気を引き継ごうと、高さを大幅に抑えたり、青山アパートのうち1棟を復元したりと、当時の歴史と美観を受け継いでいるのです。
実に立派な心がけです(って、偉そうに云えた義理もありませんが)。
中に入ると、そうです、世の中はもうクリスマスシーズンで、吹き抜けの中央にクリスマスツリーが飾られて多くの人たちが楽しんでいるようです。
吹き抜けが大空間を作っているので、入った瞬間はそれなりの感動を味わえるかもしれません(最初だけです)。
吹く抜けをグルッと廻る文字通りのスパイラルスロープで下りてツリーに向ってみます。
美観上高さを抑えた建物なので、地下3階、地上3階の6階建ての建物なのです。従って1階から入るといきなり下に大吹き抜けが現れるのです。
そしてクリスマスツリーもシンプルながら綺麗なシルエットを演出しています。
このツリーのあるひな壇の両側には、有名パティシエの作ったクリスマスケーキが並べられています。
さすがに綺麗なケーキで、目の肥やしといったら下品ですかね・・・。
あの超有名なパティシエのケーキも展示されていました。
そう、あのワインで有名な女優のご主人です。独創的な形状にただただ恐れ入る限りです。
そうしているうちにツリーの色が変わるのも今気がつきました・・・。
帰りがてらウィンドウショッピングをして表参道ヒルズを後にしました。
これで土産話の一つもできたようです。
ヒルズを出ると外はすっかり暗くなりイルミネーションが綺麗に輝いています。
ここからはイルミネーションを見ながら原宿駅方面に向かいます。
あの「夜空のムコウ」のPVではありませんが、考えることは人間一緒のようで、歩道橋で見ようと思うのが極当然の帰結です。しかし敵も然る者(って、誰が敵!?)と、歩道橋は横断禁止となって封鎖されています。となれば横断歩道の中央の分離帯部分でと考える輩が出てくるのもまた当然の成り行きですが、ここでも敵は然る者(って、誰、敵って!?)で、横断歩道の中央に立ち止まらないようにスタッフを配しているのです。
嘗ての環境悪化を懸念しての対策でしょうが、結構面白い光景です。
しばらくイルミネーションを楽しみながら歩いていくと、やがて神宮前の交差点となります。
交差点の先のビルが原宿発展の原点ともいえる、かつてドライブイン「ルート5」のあったラフォーレ原宿です。
そのラフォーレ原宿の前のツリーにもイルミネーションが綺麗に飾られています。
若干ツリーの格好があまり良くない為、派手な覆面レスラーのように見えてしまうのは私だけでしょうか・・・。
神宮前の交差点を渡ると表参道の名前の通り参道に灯籠が立っています。
灯籠とビルとイルミネーションの取り合わせは、まさに明治から平成の融合といえるべき風情です。
現在の表参道の欅は戦災により殆どが焼失し戦後再び植樹された樹齢60年ほどのものなのですが、この明治神宮前駅(この通りあたり)には1921(大正10)年の神宮の杜の造園と共に植えられた初代欅が10本ほど残っているそうです。
どれかは判りませんが樹齢90年ということです。
原宿駅に近づいた最後に、原宿駅前の歩道橋(この歩道橋は渡れるようです)からの眺めを堪能して家路につきました。
室町・江戸の近世から明治・大正の近代、そして昭和・平成の現代の歴史をなぞる贅沢な散策でした。
現代の最先端をゆく街だからこそ、返って歴史が面白いのかもしれません。
2010.12.22記
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