「裸のランチ」という小説のこと

裸のランチ

裸のランチ

「裸のランチ」の83ページに動くことを忘れたかのように、じっと佇んでいる”ブックマーク”がある。
かれこれ半年以上も前に購入したウィリアム・バロウズの「裸のランチ」である。未だに全てを読めないで、83ページで止まっている訳である。
バロウズの代表作ということで買っては見たまのの、まるっきり判らない、理解できない・・・内容が。
一体全体こんな本を読めるのか、もし読めるのなら読んだ人間の顔が見たい、と言う短絡的な思いでこの本の書評をネット上から集めてみた。

基本となる書評はこれかな、と思ったのが【ブックレビューサイト・ブックジャパン】というサイトに掲載されていた”朱雀 正道”氏のレヴューです。

『文学の世界には、誰も読まない巨匠三銃士ってのがいます。ジョイス、ピンチョン、バロウズです。
名前さえ知ってりゃじゅうぶんで誰も読みゃしないわけです。したがって、文学ファンはかれらの話題になったときには、誰しも、一般に流通している文学的キーワードを二言三言しゃべって、で、知ったかぶりをするわけだ。
けっこう話は合っちゃいます。ただし話が合っちゃうのは、実はおたがい読んでない者同士だからなんだよね。逆に、その話題をしてる人たちのなかに、誰かひとりでもしっかり徹底的に読んでる人がいたりすると、話はがぜん、突拍子もない、わけのわかんない方向に走り出しちゃいます。そういうものです、文学談義って。・・・(中略)

ちなみに読まない者同士がしゃべるときのバロウズのキーワードは、次の7つ。
1)ビートニクの作家たちのなかで、もっとも喰えない作家だよね。
2)カットアップって技法を使った作家でしょ。
3)すっごいジャンキーで、ありとあらゆるドラッグに手を出したんでしょ。
4)奥さんとウィリアム・テルごっこをして、撃ち殺しちゃったんだよね。
5)ランゲージ・イズ・ア・ヴァイルス(言語はウイルスだ)っていう歌詞を、ローリー・アンダーソンが歌って流行らせたよね。
6)ショットガン・ペインティングっていう手法で、アート作品を作ってたね。木片に絵の具塗ったくって、その木片を、ピストルで撃ち抜いて。
7)晩年はネコがどうしたこうしたっていうあまっちょろい作品を書いたらしいね。
ま、これだけ知ってりゃじゅうぶんです、これ以外試験に出ませんから。・・・(以下省略)』

参考:【ブックレビューサイト・ブックジャパン】 http://bookjapan.jp/search/review/200804/002/03/review.html

なかなか面白い切り口だなあと感心しきりです。
まあ、文学談義する訳にもいかないので、ここは一般庶民のレヴューを当てはめてみようか、とアマゾンのブックレヴューをサイトから拾ってみた。

1.ビートニク関連

『これは読む価値あると思う。
知りたくもない人には最悪かも。ビートって知ってるか?ビート・ジェネレーションはスピード、セックス、モダン・ジャズ、酒、マリファナなのかもね。
へミングウェイやフィッツジェラルドらのロスト・ジェネレーションの後のアメリカの小説です。ケルアックの「路上」とか読んだ人は読むべきだよね。今まで書店にはなかったからね。ギンズバーグを好きな人はもう読んでるかもしれないね。どこで手に入れたか聞きたいぐらいさ。
これは、麻薬の話なのさ。人の、人間ではない人の話なのさ。でもね、読もうぜ。ビートニクでない人もね。ギンズバーグな人は是非読もう。中毒者の話です。本当にあぶない小説です。』

『ビート・ジェネレーションを代表する、ものすごく有名な作品です。その知名度の高さは、前衛的なカット・アップ技法もさることながら、バロウズという人自身の逸話の数々もあるのではないでしょうか?それだけ強烈なキャラクターを持ち、色んな方面への影響力が強い人でした。
その破天荒な生活は自らの体験に基づく作品である『ジャンキー』などに表れてます。
・・・(中略)・・・
ただ日本語に和訳することによって、元の文章の持つ雰囲気や、ニュアンスが異なってしまっているとも感じています。
英語が理解度の高い人が、原本の文章が読めればまた大分印象が変わってくると思います。
原本の方がわかりやすいという話も… 』

2.カットアップ関連

『これぞ麻痺的美学。
「裸のランチ」を読まれた方は内容理解に苦しまれたことだろう。それはごく自然、というかあたりまえなのです。むしろわかった気になっている人が多いのでは。バロウズのバイオグラフィ、生い立ちを把握していればまだしも、いきなりあの訳ではせいぜいアングラ世界のなんたるかと体制・反体制の構図くらいのもので、あとは半信半疑の代物だったりする。その前にほとんど中身覚えてないんではない?確かに鮎川&山形氏の訳にずれはほとんどない?とみえる。ぜひ原文に目を通してみてほしい。スラングの多用によるダブルミーニングやカレイドスコープのような言葉の色使いが実に掟破り。「ホセリト」だっただろうか、明らかに『ライ麦畑~』を意識して書かれている。というか、彼のユーモアや皮肉で書き換えられているといってもよいのかな。
『裸のランチ』にはそうした一つ一つの言葉の訳的な限界があったのでは、と思ってしまう。彼の場合はとくに。あと一つ、カット・アップ自体がコラージュやモンタージュを指すのではなく、文の流れそのものにそういった手法が用いられていることに気づき、これも発見だった。いずれにせよ、たんなる反体制文学のイコンとは位置付けられない。バロウズこそ20世紀細大の作家である、と思う。ちなみに、カット・アップは訳より原文の方が全然意味が読み取れたりもする。。以上の理由から、『裸のランチ』では『ネイキッド・ランチの「文学的な良さ」がほとんど伝わらない、という残念なことに気づいた。 』

『カッティングという手法で色々な不可解な話がまぜこぜになっている本書です。Junkyを読んで面白かったので購入しましたが、結果は読み切らずに途中で諦めました。ケイオス(CHAOS)がすきな方にはお勧めできると思います。カッティングというスタイルをとっている以上は英語の原文を読んだ方がバロウズが目指したものに近づけるのではと思いました。
ケルアックの路上やジム・キャロルの本とは全く違うライン上にある本だといえます。あまりにも意味不明で話も綺麗なものではないので、読んだ後には綺麗な風景で目の保養をした方がいいような疲れる本です。 』

3.ジャンキー関連

『識の変容によって、全体的に歪み、謎めいている 。
がしかし、物質社会に対するアンチテーゼは忘れない。作品としては、三分の二以上は意味不明な展開だ。バロウズの作品において、しばしば、『裸のランチ』以降の作品は独自の手法が多用されていくために、非常に読みにくくなっているといわれる。それは、これらの作品にプロットというものがないからだ。だから、さほど小説っぽさを感じない。ただいえるのは、時代を感じさせないという点である。実はその点がとくに重要な点である。本書は、ビートニクのなかでもいち早くドラッグの意義に気づき、あらゆる依存に警告を発した、バロウズの代表作の一つとして知られている。』

4.ウィリアムテルごっこ

『射撃の名手。妻殺し。
全てが奥さんとつながってしまう。バロウズは結局死ぬまで秘密を明かさなかった。真実はわからないいまま。不思議な男である、この本の中身も。何度も読み返すがそれだけである。変わった創作の仕方をするそうだから、文の内容に脈略がなくたっていいのだろう。原文で読んだことはないのでなんだが、原文で読めば何かわかるのだろうか。 』

5.ランゲージ・イズ・ア・ヴァイルス

『そうとう気合い入れて読まなければ、途中で投げ出す可能性もあり。でも、これを読み込めば、バロウズのすごさがわかる。
言語をウィルスと見なした彼は、そこから、あらゆる邪悪な存在が外部から我々を乗っ取るという陰謀を思い描き、それに対してできる限りの抵抗を示したのではないか。
でも、それだけではないことも確かで、この作品に込められた暗号は読む人それぞれに語りかけてくるだろう。感受性のメーターを最大限に引き上げ、本書を読むことをお勧めする。きっと、すさまじい衝撃を受けるだろう。』

『ちゃんと読みました、最後まで。
10年前に読んだ時は、「バロウズの代表作」を読んだ自分が誇らしかった。内容については、さっぱり分からなかった。10年後、読み返してみた。やはり内容は、何が言いたいのか、書きたいのか、分からない。途中、素晴らしいと思える文章はあります。しかし、それは孤高のロックスターが叫ぶ歌詞と変わらないのでは?と感じています。賞賛の声は多々あることは承知していますが、ぜひ読んで欲しい一冊、とは言えない、というのが正直な感想です。』

その他

『げんなり
原書で読んでみたが、途中で断念。あまりに意味不明です。従い、レビューを書いてはいけない気もするが、あまりにいらいらしたので書く。 インテリぶった(インテリなんだろうが)おじさんが仲間を喜ばせるために言葉遊びとか内輪ねた(多分たくさんあると思われる)を駆使して書いた小説でしょう。高等遊民のお遊びですね』

『フリージャズ
理解しようと努力しなくてもいい、するべきではない。この本は読むのではなく感じるものです。フリージャズをマイルスデイヴィス、オーネットコールマン以外、誰が理解しているでしょうか?これは音楽でも文学でもなく”音学”です。どんな凡人の方でも、どれだけ気狂いの方でも感じようと努力してください。アンディーウォーホールのポップアートがそうであったように、パンクロックがそうであったように、バロウズもジャンキーの阿呆ども、インテリのチャラ男、興味本位で見ただけの自称読書愛好家、だけでなくすべての人々に感じて頂けるはずです。バロウズはあなたの隣にある狂気を、嘘偽りなく赤裸々に表現することができる数少ない作家の一人です。
最近映画化やドラマ化で流行っている”読者を感動させる本”こそ偽りそのものです。
書いているバロウズ自身は『この本を書いた記憶はない』と言っているのですがそんなことは関係ありません。感性で描かれたものを感性で受け止めてください。 』

などなど・・・

こんなに一致するとは思いませなんだ。これはあくまで「裸のランチ」のレヴューなので、6.7については出にくいかとも思われる。
勿論、この人たちが読んでいるのか、読んでいないのかをここで追求するのではなく、大抵の人が読んでも似たり寄ったりの感想となるのかなあ、と感じることです。後はボキャブラリーや文筆能力で一見した表現は違うが、本質は同じというところなのでしょう。
(※なお、引用は勝手に使っていますので、物凄く怒った人はご連絡下さい。早急に削除しますので・・・スイマセン)

バロウズって言うのは、概して理解不可能なものであるのは一般的な認識であるらしい。にもかかわらず、その奥なのか、裏なのか判らないが、評価に値する何かが隠されているような気がする。
私自身としては挫折したのだけど、その謎なり、秘密なりを見極めて見たいものだと考えたのです。
バロウズの作品とは・・・そしてバロウズとは、一体。私なりの理解を書くき留めて置くつもりである。

参考資料

裸のランチ (河出文庫)

裸のランチ [DVD]

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