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「ウィルアム・バロウズ」という人のこと

「裸のランチ」、原題は”The Naked Lunch”。 ”Naked”と言われてイメージするのは、アル・クーパーの”Naked Song"。確か邦題は「赤心の歌」。
「赤心」と言う言葉の持つイメージって結構、好きなんですよ。でも、幕末とか明治維新とかの武士的なイメージを持たれ易いので表立っては使わない。オヤジがよりオヤジ臭く思われるからね。
最も「裸のランチ」というタイトルについても言えそうだ。
”The Naked Lunch”というタイトルは「人があるとき、自分が何気なく食べているものをハッと見直したときに、フォークの先にあるものがむきだしになって目に飛び込んでくるのだ」という意味だとバロウズ自身が言っていることから考えると、「赤心ランチ(赤心昼飯)」じゃ何のことか判らんし、インパクトが無いことも明白だね。それに「裸の・・・」と訳した方が、違う意味で買う人もいるかもしれないし。この辺、翻訳って本当、難しいし大変そうだね。
昔、スティーブン・セガールの”沈黙の艦隊”ってムービーがヒットして、次回作だったか、その次だったか忘れたけれど、”沈黙の要塞”ってのがあって見に行ったよ。でも要塞とは、石油コンビナートのことで、テーマはアラスカの環境問題だ。それなりに納得するものはあったけど、要は翻訳も重要なマーケティングファクターだってコトなんででしょうね。

そもそもバロウズを知ったのが約1年前だ。「オッサンが今頃知ってどうする・・・」と言われかねない状況ではあるが、そこは長い人生の一端としてのオジサンの精一杯のレボリューションでもあるのだから大目に見てくれ。
きっかけは”オーネット・コールマン”だった。
約1年前狂ったように聞き始めたオーネット、聞いていくうち様々な情報も知らずに増えてくる中で、「裸のランチ」の中でオーネットが演奏しているという情報は比較的容易に飛び込んでくるものだ。
映画の話ではあるのだが、このタイトル及び内容に興味を惹かれるのも時間の問題である。となれば当然、原作を知りたくなるのは人の常。ということで、その後、原作を読んだのだが、83ページの出来事は冒頭の通りである。
後に(学習効果の後に)思うのは”オーネット”と”バロウズ”の類似性だった。このことは別の機会にまとめて見たいと思うのだが、1点だけ、あえて言うなら、どちらも”ハーモロディクス理論”や”カットアウト”などという、判ったような、判らないような技法で世の中手玉に取ってしまったってことかもしれない。そこが一つの謎であり、人気の秘密なのかも知れない・・・などと独りよがりしているのである。

たかがバロウズ本

たかがバロウズ本

それではバロウズの何から理解すれば良いのか・・・とりあえずは「アンチョコ」が必要だ。ネットで調べれば、至極簡単である、「なんちゃってバロウズ本」・・・では無く「たかがバロウズ本」。これですよこれ。
著者はプロフィール他を見るにつけ、日本でのバロウズ研究第一人者の山形浩生氏。とりあえず、このバロウズ本でバロウズをことごとく知ってしまおうという魂胆である。
まずは素顔を知らなければと、バロウズのプロフィールからだ。

ウィリアム・S・バロウズ

ウィリアム・S・バロウズ

名前:ウィリアム・シュワード・バロウズ
●生年月日:1914年2月5日
●死亡:1997年8月2日:83歳 死因:脳溢血
●性別:男(ただし女役も可)
●職業:本業は作家。副業として画家、俳優
本籍(出生地):アメリカ合州国ミズーリ州セントルイス、パーシング通り

1914年といえば第一次世界大戦の始まった年、だからどうってこと無いけど、結構こうゆう年は憶えておき易い。
性別は女役も可とあるとおり・・・まあ、同性愛者だということはすぐわかる。職業はありがちな副業だ。往々にしてたいした名声はないのが常。
で、そもそもバロース加算機社の創設者がバロウズの祖父。バロース加算機社といっても判らないだろうが現在の”ユニシス”社といえば理解は早い。 理数系(も混じっている人生)の私としては、バロースといわれて名前だけは何となく聴いたことがあったような気が、それがどうした。
それでもって、祖父他界時に息子達は、バロース社の株をもらうが、遺産管理人に「計算機なんて将来性はないよ」と言われ、そのほとんどをすぐに売却したため、バロース社の株価高騰の恩恵はまったくなく、経営参画もしていないため、平均以上の裕福な家庭ではあったが、大金持ちでは無かったという境遇である。
特に特筆すべきは母親のローラ・リー・バロウズである。やたら次男のウィリアムを溺愛したがゆえに、バロウズの生き方をある意味決定付けた一因を持っている母親である。

こうした環境で誕生したバロウズは、就学前から病気がちで神経質、幻覚症、内向的という絶対に友達になりたくない性格で、案の定、中学では馴染めず、気味悪がれたそうだ。
高校時代に同性愛嗜好に気がつき、大学時代にセックスを知り、男娼買いと娼婦買いを覚える。中学、高校、大学、大学院と一貫して、他愛の無い理由で学校に馴染むことは無かったようだ。
最も、大学などは母親が行かせたがったから行っただけの様で、全くといって良いほど積極性は見られない。極稀に積極的であっても長続きのしないタイプである。
学校を卒業してからも似たようなものである。
軍(落第)を志望するのが始まりで、父親のコネでコピーライターに。その後、工場勤務、私立探偵、バーテン、害虫駆除会社を転々としたようだ。
一日平均勤務時間二時間。あとは競馬場などで油を売る生活を八カ月継続して、害虫の如く駆除会社を離れる。
そしてある意味、その後のバロウズの人生を決定する職業!?に就く。
故売屋、麻薬の売人である。
1945年、故売屋稼業のなかで手元にわたってきたモルヒネを使って見た結果、自分が中毒になり、自分の薬を買うために売人生活を余儀なくされるといった、因果をきちんとわきまえた職業に就いていたのである。

大まかに、この辺りまでが作家になる前の履歴であるが、疑問はひとつ。これで生活が成り立つのか、ということ。
この疑問にお答えするのが母親のローラである。ローラは我が子かわいいで、卒業と同時に毎月200ドルを渡していたそうである、しかも以後25年間も。
初期においては、これが現在の約30万円に当たるそうなので、アルバイト程度をしていれば男一人十分やっていける金額であった。だが、その後、インフレ率の上昇等により13万円程度の価値しかなくなってくる。必然的にリッチからボンビーに近くなる。
そうした時に始めたのが故売屋で、結果として先のようにドラッグに手を染めることになるわけである。そして更に、安いドラッグを手に入れるためメキシコでの生活を始めたが、結果は常に文無し状態だったようである。

この経済的破綻が次なる悲劇を呼ぶ。否、第三者にとっては喜劇に近い悲劇であろう。
1952年に起こった「内縁の妻・ジョーン・ヴォルマー殺人事件」である。
もともと、ジョーン・ヴォルマーは、ギンズバーグやケルアックと同じグループでバロウズに出あったそうだ。堕胎経験二回、既婚、娘が一人で、非常に知的な反面、不安定な部分も持っていて、覚醒剤の常用者。セックスの経験は豊富で、ケルアックとも寝ている。
バロウズとはセックスの面でも話題の点でもウマが非常にあったため、やがて同棲、妊娠。
1947年にウィリアム・バロウズ・ジュニアを生む。という内縁とは言いながらも、実質的な妻であったようだ。
事件をそのまま引用する。

『この事件は通常は、なにかパーティーの席上で起こったとされているが、実は宴会後で片づけをしていない部屋にバロウズが商談にやってきて、待たされていた時に起きたというのが正しいらしい。いたのはバロウズ夫妻のほかに三人だけで、しかもその一人は席を外していた。バロウズはお金に困っていて、自分の拳銃を売ろうとしており、メキシコシティの外人向け酒場のバーテンの紹介で、それを買いたいという人物に会うことになっていた。その場所が、酒場二階にあるそのバーテンのアパートだった。すでにバロウズはかなり飲んでいて、買い手がなかなかあらわれないので退屈して、ウィリアム・テルごっこをしようという話になった(ただし「ウィリアム・テル」ということばが出たかどうかは、バロウズ自身の証言も時代ごとに変わっているし、目撃者二人のうち一人はそのことばを記憶していない)。みんな酒が入っていたし、何よりもジョーン自身が率先してグラスを頭に乗せたりしたから、だれも止めなかった。』

というのが真相らしいが、バロウズ自身は有利な裁判の為に”事故”を強調したようである。
最終的に”過失傷害致死”となったので殺人ではなかったという結果ではあった。
この事件が一つの契機となり作家、小説家バロウズが誕生するわけだが、なんとも壮絶な誕生と言えなくも無いが・・・。

参考資料

たかがバロウズ本。

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