みなとみらい21

ここまで横浜開港と共に歩んだ街である日本大通周辺を散策してきましたが、一方では新しく開発されているエリアもあるのです。
それが「みなとみらい」です。
「みなとみらい」の発端は1965年、当時の飛鳥田一雄横浜市長により横浜市六大事業が提案されたことから始まりました。これは太平洋戦争によって荒廃した横浜市の中心部の再生と活性化を目的に始まった大規模な都市計画でした。

1.都心部強化(みなとみらい21造成)
2.金沢沖の埋め立て(中心市街地の工場の移転先と勤務する住宅の確保)
3.港北ニュータウン(スプロール現象防止のため、行政自らニュータウンを建設)
4.高速道路
5.高速鉄道(地下鉄の整備)
6.ベイブリッジ

以上の6つの事業が提案され、そのうち1.の都心部強化として三菱重工横浜造船所、国鉄高島線の高島ヤード(操車場)・東横浜駅(貨物駅)、高島埠頭の一帯を再整備し横浜駅周辺と関内・伊勢佐木町という二つに分断された横浜都心部を一体化させる「都心部強化事業」として、就業人口19万人・居住人口1万人を目標とした事業計画が打ち出されたのでした。
このコンセプトを基に1979年、「横浜市都心臨海部総合整備計画」基本構想が発表され、1981年、一般公募により事業名が「みなとみらい21」に決定したのです。
そして1983年、三菱重工横浜造船所の移転完了したことにより帆船日本丸の横浜市への移管が決定し、この年の11月に「みなとみらい21」の事業が着工されたのでした。

この「みなとみらい21」構想のエリアは、一番南は「赤レンガパーク」の隣にある“横浜海上防災基地”を新港地区の1街区とし、汽車道の17街区まで、更に中央地区の18街区のパシフィコ横浜から、新高島駅方面の67街区、そして横浜駅東口地区の68街区までの広大なエリアです。
但し、このように再開発するエリアは広範なエリアのですが、ある意味新しく開発をしようというエリアはもともとの埋立地の部分で、正式な地番でも「横浜市西区みなとみらい1丁目~6丁目」が地番で言うところの「みなとみらい」なのです。
エリアとしては1丁目がパシフィコ横浜あたりで、2丁目がランドマークタワー周辺、そして5丁目が高島駅周辺で、6丁目がマリノスタウンのあたりとなります。そこで、今回の散策の最後として、この「みなとみらい」エリアを散策することにしたのです。
横浜開港からの歴史を誇る「日本大通り」周辺から、一番歴史の浅いといってもよい「みなとみらい」を何故散策するかといえば、今回の横浜三塔のスピリッツが「みなとみらい」にも活かされているからなのです。
「みなとみらい」での三塔スピリッツを見つけに最後の散策です。

みなとみらい

みなとみらい線で「日本大通り駅」から「みなとみらい駅」へ移動します。
このみなとみらいエリアでの三塔スピリッツとは、「みなとみらい21中央地区計画」の中に明記されています。

地区施設等の整備の方針
安全で快適な歩行者空間のネットワークを形成する。
キング軸上の、主として歩行の用に供する空地を、オープンモールとし、通景空間を確保する。
桜木町駅前に、にぎわいを創出する歩行者空間として広場を確保する。
街区内の適切な位置に、公開性の高い空地を確保する。
(「みなとみらい21中央地区計画」より)

この「みなとみらい1丁目~6丁目」を結ぶ歩行者ネットワークとして「キング軸」「グランモール軸」「クイーン軸」を重要な都市軸として、歩行者空間を整備し、相互につなげることで、回遊性を高めようという計画なのです。
みなろみらい21 《図:(C) Ken Corporation Ltd.》

「グランモール軸」については追ってその意味がわかるのですが、基本的に「ジャック軸」の考え方なのです。

その最初が「みなちみらい駅」が位置する「クイーンズ・スクエア横浜」なのです。
「クイーンズ・スクエア横浜」は、3棟の超高層オフィスビルが連なる「クイーンズタワー」やショッピングモール・シティホテルで構成される複合商業施です。3棟のオフィスビルは、みなとみらいの景観の稜線の中で“波”を表していることは先に知ったことです。
そしてパシフィコ横浜、及びランドマークタワーとも直結していて、まさに歩行者専用の空間「クイーン軸」なのです。

早速、みなとみらい駅からエスカレーターで上がったところが、すでにクイーンズ・スクエアです。
クイーンズ・スクエア

名前の通りここが「クイーン軸」となっている歩行者用空間です。
モールとなっていて両側にはレストランやブティックなどが並んでいます。
反対側のクイーンズ・スクエアを出た先がパシフィコ横浜です。
パシフィコ横浜

まずはクイーンズ・スクエアをランドマーク方面に向かって歩きますと、インフォメーションのコーナーがあり、この辺りがクイーンズ・スクエアでも中心となる「クイーンズイースト」や「アット!」といった大型店舗のあるファッション街です。
クイーンズ・スクエア クイーンズ・スクエア

歩行者空間はクローズドですが採光が施された天井ですので明るく開放感があります。
クイーンズ・スクエア

しばらく歩くとクイーンズ・スクエアは終わり、一旦外に出ることになります。

クイーンズ・スクエアを出た先には、まさにジェットコースターのようなモニュメントがそびえています。
モクモクワクワク ヨコハマヨーヨー

高さ17mの巨大なモニュメントで、タイトルは「モクモクワクワク ヨコハマヨーヨー」というなんとも楽しそうなネーミングで、“もくもく湧く雲”に“ワクワクする”という気持ちを掛け、“前途洋々”という意味が込められているそうです。
作者は横須賀市生まれの最上壽之氏で、抽象的な作風が特徴とされる彫刻家だそうです。
元々はランドマークタワーのビル風を緩和するために考え出されたものなのです。
工芸の世界では「用の美」という言葉があるのだそうで、外観が美しいように感じられる器でも、使用に不都合があるものは美としないとうことだそうで、一言でいえば“美と備”という要素を表現した作品と言えるのでしょう。

このモニュメントを抜けて真っ直ぐ進むとランドマークタワーですが、ここを右折して進みます。
振り返ればモニュメントがこのような形状に見えます。
グランモール モクモクワクワク ヨコハマヨーヨー

そしてそのモニュメントの左側にはクーンズタワーと右側にはランドマークタワーの“波と灯台”を間近に見ることができます。
クイーンズ・スクエア ランドマークタワー

再び直進をしますが、ここが「グランモール軸」となる「グランモール」です。
グランモール

左手には大きな建物がありますが「横浜美術館」です。
横浜美術館 横浜美術館

1989(平成元)年3月に横浜博覧会のパビリオンとして開館し博覧会終了後同年11月に正式開館したものです。開館当初から、写真部門を設けており、写真の収集・展示に力を入れている美術館だそうです。

館の前には奇妙な彫刻が並べられています。
横浜美術館

12体の中の一つには「ウーゴ・ロンディニーネ 月の出、東、4月」と記載されています。
横浜美術館

てっきり横浜美術館としての彫刻なのかと思っていたのですが、実はこれ、8月6日から開催された「ヨコハマトリエンナーレ2011」という企画展での出品作品だそうで、スイス生まれの作家であるウーゴ・ロンディニーネ氏の暦の月をあらわすものだそうです。
となると一番左側の工事中の柵も作品の要素なのでしょうか。
この「ヨコハマトリエンナーレ2011」はオノ・ヨーコ、横尾忠則など78名/組の現代アーティストの作品が展示されているそうで、非常にそそられるのですが今日はパスです。

「横浜美術館」を通り過ぎて次の信号の先からのグランモールは、ビジネスゾーンとなります。
グランモール グランモール

ビジネスゾーンの中央にはこのように本来は水が流れているのでしょう、水路のような歩行者道となっています。
左手にはやはりオブジェが置かれていますが、内容は不明です。
グランモール

しばらく進むと水路はグリーンベルトに変わり、その左手にまたもオブジェが置かれています。
グランモール グランモール

「叩いてみよう太鼓石」とあり、叩くと反射によって音が出るオブジェです。

そしてその先の信号を抜けるとショッピングゾーンとなります。
中央にはウッドデッキの付いたグリーンベルトに代わっています。
グランモール

ビジネスゾーンと代わりここからはカラフルな色合いのモールとなります。
そしてその両サイドにある建物が「横浜ジャックモール」という複合商業施設です。
ジャックモール ジャックモール

衣・食・住・遊をテーマとした、大型専門店とレストランから構成されるショッピングモールで、グランモールの両側にイースト棟とウエスト棟(各2階建て)が配置され、オメージキャラクターはトランプの精「ジェイくん」というそうで、当然横浜三塔に由来しているのです。
このことがグランモールが「ジャック軸」のモチーフを持っているわけなのです。
グランモールの先に進んだ歩道橋のから眺めたグランモールです。
グランモール

このように「クイーンズ軸」であるクイーンズスクエアまで歩行者専用道路が続いているのです。

ここまでがグランモールで、この先は「GENTO YOKOHAMA」という、ライブハウス、映画館、ブライダルホール、アミューズメント、ショップ・レストランをもつエンターテイメント施設です。
GENTO YOKOHAMA GENTO YOKOHAMA

そして「GENTO YOKOHAMA」を抜けると突き当たりのT字路となり、正面に日産本社ビルが視界に飛び込んできます。
日産本社

左手がみなとみらい線の「高島町駅」で、右手は真っ直ぐ伸びた道路が続いていて、先には高層ビルが見えます。
高島町駅 キング軸

実はこの道が「キング軸」なのです。
「クイーン軸」「グランモール軸(ジャック軸)」と続くなかで、現在「キング軸」は一番開発が遅れているエリアで、基本計画では15m幅の歩行者空間が「キング軸」のコアとなるそうです。

現在はまだ路地のようなものでしかない道路ですが、やがて「クイーン軸」や「グランモール軸」のような発展をするのでしょう。
とりあえず「キング軸」を散策してみます。
左手に見えるのが「マリノスタウン」で横浜マリノスのトレーニングセンターです。
マリノスタウン

その先にあるのが高島中央歩道橋で、この上からはかなり眺望がききます。

歩道橋の先の東側には「高島中央公園」があり、その真ん中を15m歩道が走っており、かなり見事な景観です。
高島中央公園 高島中央公園 高島中央公園

これは2007年に開園した公園で、右側(南側)は芝生広場で、右側(北側)はイベント広場となっているそうです。そしてこのまま真直ぐ進むと臨港パークとなり横浜港となります。
来た方向である西側を振り返ると、まだそこは未開発のキング軸を見ることができます。
キング軸

そして南の方向を見ると写真の一番右側に低いビルの「横浜ジャックモール」があり、左側のビルとビルの間に「クイーンズ・スクエア横浜」を同時に見ることができます。
クイーンとジャック

いずれは「横浜ジャックモール」は埋もれてしまうかもしれませんが、みなとみらいの「キング」「クイーン」「ジャック」のビルが同時に見られる時代がくるかもしれません。
横浜開港と同時に花開いた横浜三塔文化とも言うべき明治の文化は、現在のみなとみらいで平成の文化として花開くのでしょう。
5年、10年後が(見られるかなあ…)が楽しみな横浜です。

横浜開港の地をメインに散策をしましたが、見所はこれの何十倍もありそうです。
いくらでも散策のしがいのある街とでも言いましょうか、まさに老若男女、多くの人が楽しめるであろう横浜の街を、いつの日か再び散策を続けたいものです。

2011.09.01記

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