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茶畑のある景観 #2

ちょっと立ち寄った「はら野子育地蔵」から次は「茶どころ通り」を離れて、こんどこそ入間の茶畑の頭脳とも言うべき「農林総合研究センター」へ向かいました。
正式名称は「埼玉県農林総合研究センター茶業特産研究所」という結構長い名称です。
埼玉県農林総合研究センター茶業特産研究所
ここが入間の茶業の司令塔と言ってもよいかも知れません。
正門横に案内板があります。

埼玉県農林総合研究センター茶業特産研究所
昭和3年入間市豊岡に埼玉県茶業研究所として発足し、昭和46年埼玉県茶業試験場としてこの場所へ移転しました。その後、県立農業関係試験研究機関の再編成により平成12年埼玉県農林総合研究センター特産支所となり、平成15年から現在の名称になりました。
ここでは。埼玉県の気候に適した茶の耐寒性品種の育成、環境に優しい茶園管理技術の開発、付加価値を高めるための製茶技術の開発などの研究をしています。

狭山茶について
狭山茶は比較的冷涼な丘陵地帯で栽培されていますが、特にここ金子台地は標高150m程度に位置し、現在では狭山茶の中心的な産地となっています。
狭山茶は仕上げの段階で「狭山火入れ」と言われる強い火入れを行うことにより生まれる甘く濃厚な味が特徴で、「味の狭山茶」として親しまれています。
(現地案内板説明文より)

お茶の栽培の北限は青森県ですが、商業生産の北限となると福島県あたりだそうです。したがって埼玉県の茶というのは比較的茶の栽培が難しい地であることをうかがい知ることができます。
お茶栽培の好適条件としては以下のものがあげられます。
気象条件
(1)年平均気温が12.5~13度以上であること。14~16度が適温。
(2)1日の最低気温が15度以上の継続日数(作物期間)が少なくとも80日以上、平均気温5度以上の日数(植物期間)が少なくとも210日以上あること。
(3)冬季の最低気温は低くても-11~-12度以上で-5~-6度以上が理想。 (耐寒性の強い品種でも-15度、1時間で葉枯れを起こします)
(4)年間の降水量は1,300~1,400mm以上で、生育期間の4~9月の降水量は1,000mm以上。
(5)台風、雹(ひょう)、晩霜の常習地でないこと。
土壌条件
(1)排水性、通気性がよく保水性も兼ね備えていること(茶園の土壌条件として最も大切なのは物理性で、特に排水性が茶樹の生育に大きく影響します)。
(2)根が生長、伸長できるような土壌(有効土層)の深さが最低60cm、理想的には1m以上あること。
(3)土壌中の礫(れき)や粘土の割合が高くないこと。
(4)土壌pHは一般的な作物の好むpH6~7より低いpH4~5程度になっていること。
以上の条件が望ましいようで、入間市は年間降水量は約1500ミリで比較的に雨が多く、関東ローム層により水はけが非常に良いのです。雨が多く、水はけの良い土地の条件を「上湿下乾」というそうですが、入間市はまさにお茶栽培に合致した場所なのです。
しかし、先の様にほぼ商用栽培の北限とも言える気候の埼玉県では、やはり耐寒性品種の育成が急務だったと言えるのでしょう。

特に守衛の方がいるでもなく、といっても門も閉まっていないので勝手に入らせていただきました。
埼玉県農林総合研究センター茶業特産研究所
例の夫婦道の幟があったので何となくオープンかなと勝手に解釈しましたが。で、勝手に駐車場に止めて所内にある施設案内板を見ると、当然建物は立ち入り禁止ですが、資料室だけは入れるようですのでまずは資料室に向かいました。
本館と呼ばれる中にあるようです。
本館が開いていません。仕方なく資料室はあきらめて、試験場を勝手に見学することにしました。
って、何でも勝手にしてしまって良いのでしょうか…。

建物から観て一番左手の手前に①の解説板がありました。
品種見本園 ①

品種見本園 ①
国内及び海外から茶樹を苗木・挿し穂・種子等で収集し、耐寒性・耐病性・摘芽の状態・品質・生育状態・開花結実習性などの調査を行い、優良な形質を持つものは交配母本として利用しています。
なお、この園内には150種類以上の品種が栽培されています。
(現地案内板説明文より)

更に①の解説板の先にも解説板があり、奇妙な樹木があります。
交配母樹園 ②

交配母樹園 ②
品種改良を行うために有用な形質を持つ多くの茶の品種を収集し、10月に人工交配を行い、翌年10月に採種します。
普通の茶園と違って、製枝は行わないので、自然の状態の樹形になっています。
なお、この園内には100種類以上の品種が栽培されています。
(現地案内板説明文より)

確かに茶の木には見えない樹形です。袋をかぶせているのは交配・採種のためでしょうが、こういった光景はめったに見られません。
奥のほうにも解説板がずっと立っています。園内をグルッと廻って観れるようになっているのでしょうが、結構広いので今回はパスです。

よくよく考えると園内は回遊式でグルッと廻ってくるのですから①の右隣が最後となるのです(当たり前!)。とりあえず中抜けして最後の解説板へ進みます。
品種比較試験園 ⑬

品種比較試験園 ⑬
近年育成された緑茶用品種の中から特に優れている品種を選出し、耐寒性・収量・品質などの比較調査を行い、当地への適応性を検討するとともに、育種の基礎資料を収集しています。
品種は、やぶきた、かなやみどり、さやまかおり、おくみどり、とよか、おくゆたか、めいりょく、ふくみどり、しゅんめい、みねかおり、みなみかおり、ほくめい、おおいわせ、の13種類です。
(現地案内板説明文より)

残念ながらこれ以上の説明が無いのでサイトを調べてみると、埼玉県の奨励品種が掲載されていましたので引用します。
やぶきた(茶農林6号)<静岡県茶業試験場/昭和28年育成>
中生。日本茶を代表する品種で、全国の栽培面積は全栽培面積の8割弱を占めています(埼玉県では75%)。味はまろやかで、優雅な香りをもっています。
藪の北側に植えたお茶がおいしかったので、この名がつきました。
さやまかおり(茶農林31号)<埼玉県茶業研究所/昭和46年育成>
やや早生:埼玉県内では最も早く収穫されます。寒さに強く、収量が多い。しかも栽培が簡単です。
全国で3番目に多い品種で、濃厚な色と味が特徴です。
ふくみどり(茶農林36号)<埼玉県茶業試験場/昭和61年育成>
中生。寒さに強く、収量が多い。ふくよかな香りとまろやかな味が特徴。
高級茶向きの上品なお茶です。
ほくめい(茶農林43号)<埼玉県茶業試験場/平成4年育成>
やや晩生。寒さに強く、収量が多い。特有の香りと爽快な口当たりが特徴。微発酵茶(緑茶とウーロン茶の中間)としても注目を集めています。
お茶の北限に近い埼玉で生まれた茗(めい:お茶の旧称)ということからこの名がつきました。
むさしかおり(茶農林46号)<埼玉県茶業試験場/平成9年育成>
中生。寒さに強く、あまり大きくなりすぎない品種。柑橘系のさわやかな香りと温和なうまみが特徴。
高級茶向きの上品なお茶です。
さいのみどり(茶農林50号)<埼玉県農総研茶業特産研究所/平成15年育成>
やや早生。病気に強く、加工が容易。爽快感のある飲みやすい味と香りが特徴です。
このように、この研究所では・品種育成・茶の作況及び気象災害調査・香味を活かした特徴ある狭山茶製造技術の開発・新品種の製茶技術の確立試験、などを主な取り組みとしていて、様々な研究成果を残しているようです。

参考:【埼玉県農林部農林総合研究センター茶業特産研究所】 http://www.pref.saitama.lg.jp/A06/BQ23/01/top.html

恐らく社会科見学とかで市内の小学生あたりは、一度は訪れているのではないでしょうか。
5月23日には毎年恒例の「茶摘み体験フェスタ2009」として、茶摘み体験、お茶づくり実演、新茶・苗木の販売、展示などがあるそうなので、こういったイベント時期に行くのも一興ですね。機会があればまた訪れてみたいです。

時刻はPM2:30頃です。今日はかなり早くから出発したのでかなりしんどくなって来ました。完璧に年のせいでしょう。
まだまだ、見所は尽きそうも無い入間ですが、桜山展望台からの茶畑の景色を最後にしたいと思います。
ちょうど「茶どころ通り」を隔ててセンターとは反対側の加治丘陵にあります。車で15~6分でしょう。茶畑を南北に進みます。
加治丘陵が目の前に見えてくると小さく桜山展望台が見えます。

道標の通りに進むと「入間市農村環境改善センター」にたどり着きます。
入間市農村環境改善センター
ここは多目的ホールや会議室、更にテニスコートなどがあり一般に貸し出している施設のようで、公民館的な意味合いの施設でしょう。
取り合えずというか、勝手に車を停めさせてもらいました。
ちょうどこの建物の裏手から展望台に上がるようになっています。
喉も渇いてこれから多少なりとも展望台まで上るので、飲料の補給にと飲み物を購入しました。それが建物の横にあった自販機です。
狭山茶振興自販機
「この自動販売機は狭山茶振興の為に置いています」と書かれています。折角なので1本購入しました。
ボトルを捨ててしまったので何処のメーカーなのかわかりませんが、恐らく隣に日本コカコーラの自販機があるので、コラボかもしれませんが、入間市ならではの光景と言えるでしょう。

お茶の珍しい自販機を見たからではありませんが、お茶商品について興味深い記事を見つけました。
これは「農業を変えていく伊藤園のお茶畑」と題して2009/5/9に日経ビジネスオンラインに掲載されていた記事です。

国産茶葉の供給が追いつかない
伊藤園の「お~いお茶」
緑茶飲料市場では各社が新製品を次々と投入し、熾烈な競争を繰り広げている。その中で伊藤園の「お~いお茶」は、シェア35%と圧倒的な強さを誇る。強さの一因となっているのが、味、香りもさることながら、伊藤園が「茶葉を自分たちで育てている」ことだろう。食の安全が叫ばれる中で、伊藤園のお茶へのこだわりを消費者は認め、信頼する。それが「お~いお茶」の強いブランド力に結びついている。
飲料メーカーの中で、茶畑をゼロから造成し、茶葉の生産に取り組んでいるのは伊藤園だけである。なぜ伊藤園は茶産地育成事業に着手したのか。
(日経ビジネスオンラインより)

ということで「お~いお茶」は確かに一般の認知度・浸透度、そして購買度は高いですね、私も結構購入しますから。
そして現在ではそれ程珍しいことではないメーカーの産地育成参入ですが、伊藤園のお茶もとは知りませんでした。
記事は続いています。

茶産地育成事業が描く「年収1000万円」農家への道
なだらかな坂道を車で登っていくと、広い畑が目の前に開けてきた。小さな葉が茂った、腰の高さほどの木が、何列も整然と連なっている。ここは宮崎県の南西に位置する都城市。山あいの丘陵地に広がっているのは、お茶の木の畑である。
「苗木を植えてからちょうど6年目の畑です。昨年、初めて摘み採りを行いました。現在は、今年4月の一番茶の摘み採りに向けて、きれいに刈り込んだところです」(茶畑を管理する農業生産法人、アグリセンター都城の白尾静昭専務)
この畑は、もともと野菜や家畜用の飼料を育てていた土地だ。農家の後継者がいなくなって耕作放棄地となりかけていたが、伊藤園が進める「茶産地育成事業」によって、お茶畑に生まれ変わった。
宮崎県都城市の茶畑。かつては家畜用の飼料や野菜を育てる畑だった
伊藤園は2001年より都城市の農業協同組合(以下、農協)と共同で、緑茶飲料製品向けの茶葉を育てる茶産地育成事業を進めている。具体的には、農協の子会社であるアグリセンター都城が茶園の造成、栽培管理、荒茶加工を行う。一方、伊藤園は品種を選定し、栽培や加工に関する生産技術を提供する。畑で収穫された茶葉は伊藤園が全量買い取り、緑茶飲料製品「お~いお茶」の原料に使用する。
都城市では、2001年よりお茶の苗木の植え付けを開始。2006年に100ヘクタールの畑で植え付けが完了した。宮崎県内では都城市のほかに、小林市の30ヘクタールの畑でも、伊藤園向けの茶葉が育てられている。
また大分県、長崎県、鹿児島県でも、地方自治体や現地の農業生産法人と共同で茶産地育成事業を進めている。2007年からの栽培に向けて、各県で畑を造成している最中だ。伊藤園はこの事業によって、2014年までに九州を中心に全国で1000ヘクタールの茶畑を造成、確保する計画である。
(日経ビジネスオンラインより)

こういった取り組みによって、減少傾向の農業にも多少の歯止めが掛かるのかもしれませんし、産地保証の商品でより商品の差別性をアピールし、一括買い入れなどでコストダウンが図れるという、一石二鳥…、否、一石三鳥位の効果が期待できるのかも知れません。
今後の茶業のあり方も進化していくのでしょうかね。

自販機からセンターの建物の裏に廻ると桜山展望台への道標と綺麗に整備された庭園があります。
桜山展望台桜山展望台
ここから整備された木を埋め込んだ階段を登っていきます。
桜山展望台
木々に覆われて森林浴にはもってこいのスチュエーションです。
暑い夏の日にはちょっとひんやりした気分も結構な風情ではないでしょうかね。ま、真冬は止めておいた方がよさそうですが。
10分くらいでしょうか階段を登りきると桜山展望台が現れました。
桜山展望台
ここにも入間市景観50選 No.24の案内板がありました。

桜山展望台と眺望
桜山展望台は、加治丘陵の四季折々の自然を楽しめる施設として昭和62年(1987)に開設しました。
展望台からは360度の大パノラマが・・・丹沢、奥多摩、秩父の山並み。そして南方には一面の茶畑が広がり、茶どころ入間を象徴する眺めがご覧になれます。
(現地案内板説明文より)

なるほど入間の良いとこ取りのできる場所って事ですね。などとニンマリしていると何故自転車でここまで来る人がいるのだろうと、不可思議なものを見るような目つきで、ついチャリンコを見てしまいました。
決してきつい階段ではないですが、チャリンコ担いでくることも無いだろうと…。
で、あとで調べたらそもそもこの展望台のあるところは旧サイクリングロードだったそうです。ですからラクラクとチャリンコで来る人がいたのです。
険しい山をやっとの思いで登ってみたら裏から舗装された道路があった…、的な笑い話にもならないことでした。

展望台も階段を上がっていく形式です。施設概要です。

施設概要
建物の名称:入間市桜山展望台
所在地:入間市大字下谷ヶ貫925番地8
標高:海抜190.0m
着工:昭和61年10月6日
竣工:昭和62年3月25日
高さ:20m
建物延べ床面積:231.31㎡ 1階:56.25㎡
2階:56.25㎡
3階:118.81㎡
主体構造:鉄筋コンクリート3階建
この展望台からは、富士山、秩父連山をはじめ新宿副都心の高層ビルなど360度の眺望が楽しめます。
入間市
(現地プレートより)

展望台自体でも20mの高さがあるようです。
竣工:昭和62年3月25日とありますので、正に昭和の遺産かもしれません。といっているうちに頂上です。
360度の眺望とは確かにその通りです。各方角には写真に主要な建物や景勝地名を入れたパネルが壁にかけられています。
まずは南東の方角の金子地区の茶畑です。
金子地区の茶畑
景色も天気も大変良いのですがデジカメの性能が…。
ということで掲載した写真の10倍は眺めの良いところだと想像してください。
更に東南の方角には西武ドームが見えます。
西武ドーム
そして南西の方角が富士山の方面です。
天気は良いのですが、富士山を眺めることは出来ませんでした。
富士山の方面
北西には武甲山や赤城山も見えるようです。
天覧山と書いてありますので飯能方面ですね。
飯能方面
【飯能まつり】を思い出します。
そして北東には筑波山やさいたま新都心が…、って、全く何も見えません。
筑波山やさいたま新都心方面
竣工してから早20年以上、周りの環境が変わるとともにこの展望台周辺の木々が育ってしまったのでしょう。木々に隠れて北東の眺望はゼロです。
ま、伐採するわけにもいかないし、かといって展望台を高くすることも無理ですから、270度の大パノラマですね。それも又良いでしょう。

しばらく休憩を兼ねて展望台の眺めを堪能しました。
昨年10月の【ジャンルB「入間万燈祭り」】以来2度目の入間市訪問でしたが、祭りとは違った一面を見ることが出来ました。
激動の中でというよりは、面々と連なった歴史の中で行われてきた茶業が、このような形でいま埼玉で誇れる産業・景観として存在しているということだと思います。
確かにランキング第1位として…、ということでいえば(すべてを巡ったわけではないのですが)、この時点でも完全に納得できたわけではありませんが、順位は特別関係なく考えても良いのでしょう。
あくまで埼玉ふるさと自慢としては立派に誇れる入間の茶畑であったことは、十分認識できたと思いますので。
今回はあまり史跡などを巡りませんでしたが、別の機会にもう一度散策したいものです。

2009.5.13記

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