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藤花園

牛島の藤のある「藤花園」は、電車であれば東武野田線の文字通り「藤の牛島」駅にあります。さすがに歴史のあるものだけに、そのまま駅名なのはさすがです。
車で行く場合は、国道16号線で春日部駅を越えてから藤の牛島駅入口という交差点を右折すると間もなくです。パチンコ店の駐車場が利用できるということで、そちらに車を停めて歩いて1分ほどで到着です。

「藤花園」の正門です。
藤花園
煌びやかさはありませんが、しっとり落ち着いた感じの入口です。やはり歴史を感じさせるのでしょうか、それとも天気が悪いからでしょうか、重々しさを感じますね(随分イメージ違うと思いますが…)。
入園料を払って入園します。
チケット
チケットを見ると正式には入園保存料となっています。
1000円というこの類の料金としては高いのでしょうが、管理・維持にもかなり掛かるでしょうから仕方ないですね。
チケットと一緒にパンフレットをいただきました。

由来微証伝説(現在高野山にあり)
当園は元真言宗連花院の境内なりしを明治7年当寺の住職藤岡好三氏其の筋へ出願なし、廃寺となり爾来所有者変わり現在にいたる、また、人々の言伝えによると1200余年前、弘法大師お手植えの藤とも聞きおよぶ。
(パンフレットより)

あくまで伝説ではありますが、明治以降廃寺のあと良くぞこの藤が残っていたもんだということになるでしょう。100年以上前の明治期であっても藤自体は立派なものだったのでしょうから、この藤を残すべく所有者が算段をした結果、現在我々がこうして見ることが出来るのでしょう。
その尽力に対して入園保存料1000円は実に安いものだと考えるべきですね(…今だにこだわっている)。
更にパンフレットには藤の説明があります。

特別天然記念物 牛島の藤
この藤は樹齢千二百余年で山藤に似ているがつるは右巻きで無毛である。
本州・四国・九州の山地にあるが、その最も優秀な園芸の変種で花房の長さは最も長いもので二メートルにもなり、根まわり十平方メートル、花色は美しい藤紫。
樹は根元から数本に分岐して藤棚の面積七〇〇平方メートルと同じものが三ヶ所あり、見頃は毎年,4月下旬~5月上旬花時の眺めは世界一と賞賛される。
(パンフレットより)

本書の説明でも触れていたところですが、10年経過して藤棚の面積は100㎡広くなったのです。
ここで藤について知っておかないと上記の内容がよく理解できません。
藤について調べてみました。
フジ属はマメ科のつる性の落葉木で、フジ(藤)と総称します。
フジ属には8種類前後の種があって日本、北アメリカ、東アジアに自生しています。日本固有種は「フジ(ノダフジ)」と呼ばれるものと「ヤマフジ」の2種類あるそうです。
とすると、この牛島の藤は「山藤に似ているが・・・」とあるので「フジ(ノダフジ)」ということになります。
この2種のフジはサイト「植物園へようこそ」によると以下の通りです。

◆フジ
学名:Wisteria floribunda
別名:ノダフジ(野田藤)
花期:春
普通は単にフジと読んでいますが,ヤマフジと区別するためにノダフジと呼んだ方がよいそうです。
庭や公園などに植えられているのがノダフジです。区別する方法はいろいろあるようですが,小葉の数を数えるというのが分かりやすいかも知れません。ヤマフジの小葉は 11 枚で,ノダフジはそれより多く 11 ~ 19 枚あるそうです。
野田というのは大阪府福島区の野田のことで,「吉野の桜,野田の藤」と並び称されたそうです。
藤の花房には 1 メートルにも達するようなものもあります。

※この野田藤に関する記事がYOMIURI  ONLINE【街中によみがえる「紫の雲」】に掲載されていましたので参考に。

◆ヤマフジ
学名:Wisteria brachybotrys
花期:春
山野に生え,大きな木に高く這い昇っているものに花がついていると壮観です。
蔓は左巻き(庭園に植えられるフジ(藤,ノダフジ:野田藤)は右巻き)。
なお,右巻きか左巻きかは定義の違いなので,同じ植物(たとえばアサガオ)が右巻きだの左巻きだのと論争が生じることがあります(たとえば,螺旋階段ですが,昇るときと降りるときは逆回りですね。その螺旋階段を右巻きとか左巻きとか言っても役に立つ議論とは思えませんし)。
結局の所は,よく知られている植物(アサガオなど)と同じ巻き方か逆の巻き方かと言った方が分かりやすいと思います。(サイト「植物園へようこそ」より)

この右か左かで結構ややこしいことになっているようですね。
更にややこしさに拍車を掛けるとこうなります。独立行政法人 森林総合研究所四国支所のサイトでのヤマフジの説明です。

ヤマフジ (マメ科)
 つる性の落葉木本植物なので、造林地の大敵である。とは言っても、きちんとつる切りを実行しないからであってフジが悪いわけではない。ヤマフジの花の穂はあまり長くならないので花の時期が短く、花穂が長く伸びながら花を咲かし続けるフジ(ノダフジ)と比べて花木としての人気に欠けるが、山の彩りでは負けない。ヤマフジとノダフジは、つるの巻き方が逆になっている。牧野植物図鑑にはヤマフジの方が左巻きとされ、最近の図鑑類では右巻きと書かれていることが多い。植物の分野では、自分自身が植物となった視点で見て、つるの先端が左へ左へと伸びるものを左巻きとする習慣があった。ところが、横から見ると右ネジと呼ばれる普通のネジと同じように右上がりであって混乱していた。最近では、つるの伸び方もネジと同じように、外から見るようになって、ヤマフジの方が右巻きとされている。(垰田)
(「独立行政法人 森林総合研究所四国支所」サイトより)

完全に「ややこしや~」の世界ですね。
どうも上から見るのか下から見るのか、横から見た場合、何を根拠に左右を決めるかによって見解がいろいろあるようです。 ま、それも不思議発見ということで一興と考えましょう。
ついでにこの間TVで放映されていた「珍百景・・・」とかいう番組でブロック塀に巻きつく藤を取り上げていて、レポーターの岡本信人が藤を食していましたが、実際のところ食用について調べてみたところ、藤の成分には、ポリフェノールが含まれ、花粉症、動脈硬化、糖尿病、メタボリックシンドロームなど、現代の生活習慣病の改善や体質改善に有効な働きをするそうです。
つるはポリフェノールが含まれていて攪拌した粉をクッキーや煎餅にし、若芽は茹でで和え物等にするようです。花は湯がいて三杯酢や天ぷら、塩漬けにして「花茶」に用いるそうです。
結構、食用に使える樹木なのです。

前説が長くなりましたが、園内を歩いてみます。
すぐに「天然記念物牛島之藤」と書かれた比較的大きな碑が立っています。
天然記念物牛島之藤碑
この碑の左手に藤棚が見えます。
藤棚 藤棚
写真で見るよりはさすがに広大で荘厳な風情です。本書にもあったまさに「みやび」でしょう。
藤棚の左側に案内看板があります。

藤の花案内
昭和3年 文部省指定天然記念物
昭和30年 国指定特別天然記念物
平成元年 新日本名木百選選定
1.樹齢 約1200年
1.花房の長さ 最も長いもの約2メートル
1.豆科 九尺藤 野田藤
1.色 薄紫
1.肥料 酒粕・油粕・化学肥料等、年4回
(現地案内板説明文より)

昭和3年には天然記念物でしたが、昭和30年には国指定特別天然記念物に指定され直されています。
特別天然記念物とは天然記念物のうち、世界的に又は国家的に価値が特に高いもの、として特別に指定されたものをいうのですが、天然記念物自体が、その状態などによっては指定を解除されることがあるほか、比較的頻繁に指定が行われるため、その総数には変動があるそうです。
2008年5月現在、国の天然記念物は982件指定されていて、このうち75件が特別天然記念物に指定さされているそうです。
一方、新日本名木百選とは1989年読売新聞社が行った地域住民と共に生きてきた名木を470本の公募のなかから選定するというものです。埼玉県ではこの牛島の藤とさいたま市中央区(旧・与野市)の「与野の大カヤ」が選定されています。

ここから核心に迫ります。
藤棚を潜って幹の根元に向かいます。
藤の幹
さすがに樹齢1200年です。もう訳の判らないようなひねくれ方です。
【越生梅林の梅】や【北本の石戸蒲ザクラ】等もかなり古いのですが、その上をいく老木です。逆に言えば生きていること自体ミステリーです。
幹の近くに看板があります。

創業文化五年(1808)世界鷹小山家グループ小山景一氏経営の(秋田)北鹿(新潟)雪椿・越の日本櫻(埼玉)都鷹(茨城)賜杯櫻(伏見)世界鷹・京姫(灘)浜福鶴各銘醸庫より寄贈の酒粕を毎年寒肥として施肥しこの見事な花房の源泉となっております。
特別天然記念物 藤花園主 小島すい子
(現地案内板説明文より)

それで肥料に酒粕とあったのですね。
これだけの老木ですから、酒粕で酔って年忘れて…、なんてことはことは無いですね。
しばらく藤棚をじっくり眺めてみました。
藤棚
確かに若干花の色が薄いような気がしますが、でも十分きれいです。
ちょうど一年前に足利のフラワーパークの藤を見ましたが、景観的には譲るにしても、やはり歴史的な重厚さには勝りますね。
藤棚
自然の美と作られた美ですが、どちらもそれなりに良さがあるものです。
しばらく藤棚を堪能した後は園内を巡ってみます。
藤棚 藤棚 藤棚
様々な角度から見た藤棚もまた格別で、まさに藤三昧です。

藤棚から離れて園内をグルッと廻ります。
特に松ですかね、幹の色がまるでニスでも塗ったような、綺麗な茶色と光沢が一際映え渡っています。
松 松
そして何といっても形が素敵です。
松
盆栽を大きくしたような…、これを小さくしたのが盆…、まあ、とにかくカッコがいいです。
園内には樹木のほかに様々な花も咲いています。
庭園 庭園 庭園
5月ということもあってカラフルに咲き誇っているようです。

ちょうど園内を半周すると左手にも別の藤棚があります。
藤棚
こちらも結構大きく、幹も太く樹齢もそれなりに古いものなのでしょうね。
この他にも更に小さい藤棚があります。
庭園
そして「天然記念物牛島之藤」の碑の近くに戻ってくると案内の彫られた石碑があります。

国指定特別天然記念物 牛島の藤案内
この藤は、樹齢約千年といわれる古藤で、山藤に似ているが、つるは右巻きで毛がない変種といわれ、全国一をほこる。根のまわりは十平方メートルもある。明治のころは、三メートルちかい花房をつけていた。
藤棚は七百平方メートルの面積がある。国内にはおなじ藤が二本あるが毎年五月はじめに藤紫色の花をひらき美しいながめは関東一といわれている。昭和三年一月十八日国の天然記念物、昭和三十年八月二十二日文化財保護法により特別天然記念物の指定をうける。

藤の伝説
むかし、柳原で農家の娘が長い間病気で苦しんでいた。旅僧から娘の病気に生垣の中にある藤を寺に納めるとよくなるといわれたので、藤を寺の境内に移し植えたところ病気は治ったという。この寺は蓮花院といわれ今はないが、藤だけが残されてそのあとをしのばせている。
昭和四十七年三月 埼玉県教育委員会 春日部市教育委員会
(現地石碑碑文より)

まあ、ありがちな伝説と言ってしまえばそれまでですが、ということはこの藤は最初何処にあったのでしょうか。
すべては伝承ですから、そのミステリーさが何となく日本人好みのストーリーになっています。

そして近くには社があります。
祠
かつて蓮花院の名残の境内社か何かでしょうか。特に何の説明もないので判りませんが、社に立て掛けられた石板の一部のようなものは何を意味しているのでしょうか。
ちょっと興味をそそる社でした。
これでちょうどグルッと一周し終わったわけです。
今回は母と家内と長女と4人できましたので、記念に撮影をして「藤花園」を出ることにしました。

参考:【藤花園オフィシャルサイト】 http://www.ushijimanofuji.co.jp/

園を出て駐車場に戻る途中、明らかに一般家庭ながらこの時期だけ手づくりの飾り物を売っている家がありました。
樹木とか鳥やらを折紙で作ったものです。
創作
昔、母がタバコの空き箱で傘とか作ったものと基本同じようなものです。まあ、趣味でしょうが、それでもいくつか買っていく方がいらしたので結構驚きでした。
家内はつぼに嵌っていましたが。

「牛島の藤」素晴らしいものを見ることが出来ました。
やはり藤にはみやびな香りが何か日本人に訴えかけるものがあるのでしょうか。このふるさと自慢でもほかに「青葉園の藤」と「骨波田の藤」の2ヶ所が選定されているように、全国にも史跡として存在する藤が結構あるようです。

◆世界遺産
春日大社の砂ずりの藤(奈良県奈良市春日大社境内
◆国指定特別天然記念物
牛島の藤(埼玉県春日部市藤花園)
◆国指定天然記念物
藤島の藤(岩手県二戸郡一戸町仁昌寺)
熊野(ゆや)の長藤(静岡県磐田市行興寺境内)
黒木の大藤(福岡県八女郡黒木町素盞鳴(すさのう)神社境内)
宮崎神宮のオオシラフジ(宮崎県宮崎市宮崎神宮境内)
曼陀羅寺の藤(愛知県江南市曼陀羅寺境内)

国の文化財だけでもこれだけあるのですから、県・市・町レベルでいくと相当な数の文化財といえるでしょう。
そのような中でも藤の代表格とも言える「牛島の藤」に触れられたことは、ある意味大変贅沢なことなのかもしれません。
いつかは枯れる日が来るのかもしれませんが、その日まで多くの人に見てもらい語り継がれていくとよいですね。

いよいよこの後は【大凧あげ祭り】に向かいます。雨はなんとか午前中は持つようですね。

2009.5.15記

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