埼玉伝統工芸会館

「カタクリとオオムラサキの林」を出て次に向かったのが今回のメインである「埼玉伝統工芸会館」です。
車ではホンの10分程度で、国道254号線沿いの「道の駅」としてオープンされています。
道の駅のインフォメーションは以下の通りです。

『都心からわずか1時間半。緑豊かな小川町は「和紙の里」として全国的にその名を知られている手すき和紙の産地です。ぜひ、一度、あなたも和紙すきのチャレンジに当道の駅にお越し下さい。』(道の駅オフィシャルサイトより)

小川町の伝統産業である和紙を前面に押し出したことが、小川町の「道の駅」の特色となっているようです。最近は単に休憩所や土産物というだけでなく、興味深い施設を併設した「道の駅」が多く侮れない存在に思えます。

常設展示室

車を止めてまずは「埼玉伝統工芸会館」に進みます。かなり広い敷地です。

手漉き和紙作業手漉き和紙作業中央のテントの後ろには大きな手漉き和紙作業をしている女性の大きな像が立っています。
和紙の里をシンボライズする像なのでしょうが、若干チープに見えるのはもしかしたら和紙で造られているからでしょうか。紙粘土…、一頃流行った牛乳パックを溶かして彫刻したといった感じのものです。
シンボリックではあるのですが、いまひとつインパクトにかける様な気がしないこともないのですが…


道の駅若干無駄に広い敷地ですが、広々として気持ちが良いのもそれはそれでよいことでしょう。


埼玉伝統工芸会館中央にあるのが「埼玉伝統工芸会館」のエントランスのようです。


紙の漉屋入館してエントランスの一番手前には「紙の漉屋」と書かれた模型の小屋のようなものが置かれています。中には和紙の原材料である楮が供えられているようで、まるで楮を祀った祠の風情です。小川町にとってはまさに楮(和紙)様様といった気持ちでしょう。


チケットチケット売り場入場料300円を支払って入館します。
受付の方からチケットとパンフレットの他にご自分で折った紙の小物入れをいただきました。
プチ嬉しいプレゼントです。


吊るし雛エントランスには一面の「吊るし雛」が飾られています。3月3日は過ぎましたが、3月中はずっと飾られているのでしょう。
昨年【岩槻のひな人形】で訪れた、雛人形の本場さいたま市岩槻区でも、これだけの大きさの吊るし雛は無かったような気がするほど見事なものです。


展示和紙また、エントランスの壁には、大きな和紙が飾られていて特色ある和紙が展示されています。
極端なエンボス加工ができるのも和紙ならではのものでしょう。


いただいたパンフレットによる「埼玉伝統工芸会館」の説明です。

『埼玉伝統工芸会館は、「生活に潤いと美しさを」という願いを込めて小川町が建設、(財)埼玉伝統工芸協会が運営、管理しています。
協会は次の三つの観点から、現代の私たちの生活と物のあり方について提案しています。
■伝統:伝統的技法の保存と継承者の育成
受け継がれてきた技法に、さらに磨きをかけ、次代へ手渡すことが大切です。また、ものを介して気持ちが通じ合う、ものづくりの原点を大切にしたいと考えています。
■創造:異業種交流と新製品の開発
伝統的手工芸品産業を軸とした異業種交流を通じ、素材の持ち味を生かして、暖かみや親近感のある製品をつくりだしたいと考えています。
■生活:工芸はもともと生活のもの
伝統的手工芸品は、造形的・実用的・価格的な面から、私たちの日常生活に素直に入って来ます。産地の協力による展示は素材を生かした工芸品の良さを見せてくれます。
常設展示室に展示されている埼玉県指定の伝統的手工芸品(20産地30品目)』(埼玉伝統工芸会館パンフレットより)

この埼玉県指定の伝統的手工芸品については、やはり昨年【加須の手がき鯉のぼり】で加須を訪れた際のレポートに詳しく記載したので、ここでは20産地30品目だけ記載しておきます。

①-1.岩槻人形(江戸木目込人形) 2.岩槻人形(ひな人形) ②-3.日部桐箪笥 ③-4.春日部押絵羽子板 ④-5.春日部桐箱 ⑤-6.小川和紙(細川紙) ⑥-7.鴻巣雛人形 ⑦-8.手がき鯉のぼり  ⑧-9.所沢人形(雛人形)、10.所沢人形(押絵羽子板) ⑨-11.秩父銘仙 ⑩-12.竹釣竿 ⑪-13.鬼瓦、14.武州磨き本瓦 ⑫-15.熊谷染(友禅)、16.熊谷染(小紋) ⑬-17.飯能大島紬 ⑭-18.越谷ひな人形、19.越谷甲冑 ⑮-20.越谷張子だるま ⑯-21.武州正藍染(武州唐棧)、22.武州正藍染(武州型染)、23.武州正藍染(武州紺織) ⑰-24.行田足袋 ⑱-25.秩父ほぐし捺染(着尺)、26.秩父ほぐし捺染(夜具地)、27.秩父ほぐし捺染(座布団地) ⑲-28.草加本染ゆかた(本染ゆかた) 、29.草加本染ゆかた(長板中型)  ⑳-30.本庄絣

常設展示室入口これらの工芸品が常設展示室として展示されているようなので、早速展示室に入室します。
入口は和風の華やかな中にもしっとり落ち着いた雰囲気です。


伝統的手工芸品がズラッと展示されています。
手書き鯉のぼり竹釣竿、越谷張子だるま長方形の常設展示室の左側の壁面沿いには加須の手書き鯉のぼりに始まり、竹釣竿、越谷張子だるまの展示です。

所沢人形そしてコーナーには所沢人形などが展示されています。

岩槻や鴻巣の雛人形岩槻や鴻巣の雛人形コーナーの先の左側壁伝いに岩槻や鴻巣の雛人形が展示されれています


武州正藍染武州正藍染と行田足袋フロアの中央には武州正藍染や行田足袋の数々が結構結構広いスペースに展示されています。

鬼瓦目を転じてフロアの右側を見ると、右側の壁の一番手前には中々強面の鬼瓦が鎮座しており、瓦は深谷市・小川町の特産です。


小川和紙そしてその先の右側の壁伝いに「小川和紙」の数々が展示されていますので概略を掴んでおきます。


『小川和紙の起源は、8世紀の頃と伝えられ「正倉院文書」の「図所寮解」(774年)や「延喜式」(924年)などの文献に紙を奉じた記録が残っています。
紙漉きが産業として栄えるようになった、文化・文政時代(江戸期元禄)には、江戸から最も近い紙の産地として、小川を中心に槻川流域の村々で、楮の樹皮を原料とした和紙が大量に漉かれ、江戸府内の需要に答えていました。
小川町と東秩父村では現在、当組合加盟の手漉き和紙業者12名が「細川氏」技術保持者として、伝来の家業に励むとともに、機械漉き業者4社が各種和紙の製造と加工を行っています。近年では、伝統的な和紙の生産に加え、自然素材を生かした環境に優しく、新しい機能を持つ製品の開発や、後継者の育成事業、海外での講演や実演など、日本文化を担う産地としての取り組みも進めています。
皆様に丈夫で美しい小川和紙をご愛用頂けるよう研鑚を重ねて参ります。

小川和紙を代表する紙:細川紙
細川紙は、約1200年程前、光仁天皇の頃から小川町・東秩父で作られている楮100%の未晒紙で、独特の技術と上品かつ素朴で丈夫な紙の資質から、国の重要無形文化財の指定を受け、小川を代表する和紙となりました。
紙質は、淡黄色の明るい紙色と光沢を持ち、地合の締まった、毛羽立ちが生じにくく、強靭で存在感のある風合いが特徴です。』(現地説明パネルより)

小川和紙展示品にはその和紙業者の漉いた紙が展示されていて、自由に触ることができるようです。
単に和紙といっても色や紙質など様々あるのを初めて知りました。概して丈夫そうな紙であることは一目瞭然ですが、意外と繊細な紙であることに少し驚きました。


反物や春日部箪笥そしてその先の左側には反物や春日部箪笥などが展示された和室がしつらえてあります。


世界遺産 雪の白川郷その反対側には「世界遺産 雪の白川郷」と題されたジオラマが展示されています。
人形作家の近藤洋子女史が作られたもので、すべての人形類は和紙で作られているそうです。
なかなか見事なものですね。


ここまでが常設展示室ですが、小川和紙のみならず埼玉県の伝統的手工芸品が一同に介しているということが実に貴重で大変勉強になる有意義な場所です。
何度も通うほどの情報量はありませんが、一度訪れてみる価値は十分あると思います。

常設展示室の先は企画展示室です。
蒔風の世界今日の企画展は「蒔風の世界」~森羅万象命の旅~というテーマのちょうど会館の開館20周年特別企画展です。

ユニークなデザインながらやはりタイトル通りスピリチュアルさが漂っています。
いまひとつ理解できないながらも、何となく絵画としてのコンポジションは嫌いではないです。

和紙工房

和紙工房展示室を出るとその隣に「和紙工房」があります。


和紙工房中に入るとまさに工房といった余り色のない空間です。

この「和紙工房」では伝統の手漉きの実演が見られ、更に体験として手漉きが実際にできるようです。お昼時間となって手漉きの実演はされていませんでしたが、体験はできるということで手漉き体験をしてみることにしました。
作成できるものはハガキ・色紙・短冊、そして一枚ものの和紙といった具合です。何となく1セットの枚数が多い(何処までも打算的)ハガキを作成をすることにしました。1セット8枚で840円です。

行程は簡単です。
和紙工房まずは紙を漉くことから始まりますが、紙が溶かされている水槽が2つあります。これは単に2つあるのではなく紙の量が違うのだそうです。それは紙の漉き方に2通りあることからなのです。

一般的に知られているのは「流漉」(ながしずき)と呼ばれる漉き方で、和紙の原料に植物性粘液を混ぜた紙料液を、竹や萱でできた「簀」と呼ばれるものですくい上げ、全体を揺り動かしながら紙層を作り、数回すくい上げて厚さを調節した後、表面の液とともに塵などを流し捨てる方法で、TVや雑誌などでよく見かける漉き方です。これは薄くて粘り強い紙を漉くのに適していて、日本独特の製紙法なのだそうです。
それに対して中国古来の方法が「溜漉」(ためずき)と呼ばれる方法です。
これは和紙の原料を水とともに水槽にいれて十分かき混ぜた後、「簀」をはめた「漉桁」に上桁をはめたものを水槽に入れ留め、揺り動かして水を切り「漉桁」に紙の層を作る方法で、中国のみならず広く世界で行われている漉き方です。
手間がかからない変わりにかなり厚い紙となります。このように漉き方によって「流漉」用と「溜漉」用の2槽が用意されているのです。

今回のハガキは厚いので「溜漉」で作られます。
和紙工房和紙工房和紙工房早速始まりですが、いきなり「漉桁」を水槽に浸します。しばし浸した後に水槽からあげ若干揺らして厚さを均等にします。
今回は家内が実際に試しましたが、意外と重いそうです。

和紙工房凡そ均等になったところで上桁を外します。するともうきちんと8枚分のハガキの紙が漉かれているのが判ります。

和紙工房和紙工房漉かれた「漉桁」を一気に押し付け、「漉桁」から漉いた紙をはがします。

はがされたハガキの原型に生花を散らばせてデザインします。
花は用意されていて好きな花びらを取ってハガキに置いていきます。
和紙工房1枚だけ係りの方が見本として作っていただきました。手馴れていらっしゃるのでしょうが、なかなか素敵なデザインです。

和紙工房和紙工房残りの7枚は私と家内とでデザインしてみました。
ほとんどハガキとしての機能(文字を書くスペースが無い!)をなさないハガキデザインです。意外と思ったイメージ通りにはいかないものです。

和紙工房そしてできた8枚がこれです。

右下がお手本ですが、それ以外はやたら花や葉をふんだんに飾れば良い的なデザインが見え見えです。他の方のことを考えずに花をたくさん使っているところが、実に自己中バカ夫婦たる所以です。
旅の恥は書き捨てということでご容赦願おうと思っております。

作成はここまでです。この後乾燥させるのですが、時間がかかるので後日郵送されてくるそうで、住所などの手続きをして手漉き体験が終わりました。
この工房では様々な和紙製品も販売されています。
折角、ハガキを作ったので後日飾るために(ハガキとしてあくまで使うつもりがない…)、良さそうなものを見繕ってみました。
和紙工房まずはこの工房のお勧めであるハート型に漉いた和紙。
後で穴を開けて紐などで吊るすと良いディスプレイになるとか。

和紙工房それとちょうどハガキを飾るのによい飾り台。
家内が気に入っていたので2色購入してみました。

和紙工房そして、和紙そのものを2色購入しましたが使用方法は不明。
いずれ家内が考えるのでしょう。

以上、珍しくお土産を大量(!?…)購入して工芸会館を後にしました。後で送付されるハガキが楽しみです。

物産館工芸会館を出た後は同じ敷地内にある「物産館」に寄りました。

物産館ここでは「埼玉伝統工芸会館」でみた埼玉県各地の伝統的工芸品などが販売されています。
勿論、主は小川和紙ですが工芸品以外でも各地の名産品なども販売されていました。


そしてこの物産館の奥に【麺工房かたくり】という店舗が併設されていたので、今日はここで昼食を取ることにしました。
天付きうどん店舗お勧めの「天付きうどん」を注文しましたが、素朴ながら味も食感も良くリーズナブルという実にありがたいお店でした。
お腹も満たされて次は実際に和紙を製作されている工場を訪ねることにしました。



和紙はがき◆後日送られてきたハガキです。なかなか淡い色に変身していて上品な感じです。

和紙はがき和紙はがき購入した物に、送られてきたハガキをセットしてみました。なかなか癒される感じで、ディスプレイには非常に有効です。

実にお土産にはうってつけな和紙でした。

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