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浦山ダム #2

「ダムサイト左岸広場」は休憩所だけですので、人もほとんどいません。
しばし休憩所で一休みして「ダム天端公園」を戻ります。

ダム提体内部

エレベータ入口「ダム天端公園」の中央付近にあるエレベータで提体内部へと向います。


エレベータ入口案内図によればこのエレベータで水面下121mの地点に下りるようです。


エレベータ階数表示エレベータの階数表示は「B1」と「1」の2階しかありませんが、間の通過点の表示が多いことにエレベータの長さが伺えます。また、「B1」には0m、「1」には132mとかかれています。
結構長いことエレベータに乗っていたような気がしますが、それでも30秒とか1分でしょうね。
いよいよ水面下121mの「B1」地点に到着です。
ここの案内板によればエレベータの一番高い地点が標高400.10m地点で、一番低い地点が標高267.50m地点にあるので、その差の132.60mがエレベータ昇降行程となり、エレベータ内の132m表示となるのです。


水圧実験装置エレベータホールには「水圧実験装置」なるものが置かれています。


これは水面下100mの水圧を体感する展示物です。スタートボタンを押すと加圧された水が1cm2の穴から吹き上がり、円形の10Kgの錘を押し上げるものです。
そして水が引いた後、ケースの外の支柱の白色の突起の部分を手で押したり引き揚げたりできるようにしてある体験装置ですが、ガラスケースのついた霧状の水滴で何も見えませんでした。きっと興味深いものなのでしょうが…

ここからが浦山ダム提体内部の展示ギャラリーです。

浦山ダムの姿まずはちょっと長めの階段を上ります。
車椅子用のリフトがついている、とってもバリアフリーな配慮です。家内は何か体験施設と勘違いして乗ろうとしていましたが、おいおい!
階段の壁伝いに写真パンルが展示していある「浦山ダムの姿」というコーナーで、様々な浦山ダムの表情が展示されています。


展示ギャラリー水平になった通路は「浦山ダムのできるまで」という展示コーナーで、浦山ダムの概要がパネル展示されています。


この浦山ダムは元々ロックフィルダムとして計画されたそうですが、事業費削減と地質調査の結果から重力式コンクリートダムに変更されたそうです。
ダムの形式は大きく分類すると土や砂、岩石を積み上げて建設される「フィルダム」と、コンクリートを主原料として建設される「コンクリートダム」の二種類に分類され、各々細分化された形式がありアルファベットの略号で表されているそうです。

●フィルダム
1.アースダム(E):台形状に盛り土を行って建設されるダム型式。
2.ロックフィルダム(R):土砂と岩石を主体として建設されるダム型式。遮水壁の位置・種類によって種類が細分化される。
●コンクリートダム
1.重力式コンクリートダム(G):ダムの自重と重力を利用して水圧を支えるダム型式。
2.中空重力式コンクリートダム (HG):ダムの堤体内が空洞になっている重力式コンクリートダム。
3.アーチ式コンクリートダム(A):河川両側の堅固な岩盤に水圧を分散させて支えるダム型式。
4.重力式アーチダム(GA):重力式とアーチ式の両型式の特性を備えたダム型式。
5.マルチプルアーチダム(MA):複数のアーチが連なるダム型式。
6.バットレスダム(B):水を遮る壁(遮水壁)を垂直に扶壁で支えるダム型式。
このような分類になるそうですが、これ以外にコンバインダム(GF):重力式と、アースまたはロックフィルダムが複合したダム型式と台形CSGダム(CSG):日本で近年開発されたダム型式といった形式があるようです。

前述されたように浦山ダムの高さは156mで日本で2番目とありましたが、世界で一番高いダムはタジキスタンの「ヌレークダム」といわれるアースダム形式のダムですが、堤高は300mあるそうです。ほぼ浦山ダムの2倍ですから恐ろしいほどの高さです。なお、同じタジキスタンのロックフィル形式の「ログンダム」は現在建設中ですが、完成すると堤高335mの世界一となるようです。これは東京タワーより2m高いという恐るべきものです。ダムマニアは見たいのではないでしょうかね。
因みに重力式コンクリートダムで世界で一番高いのはスイスの「グランド・ディクセンスダム」で285mあるそうです。これもまた恐ろしいほどの高さですね。

さてこの「重力式コンクリートダム」についてもう少し詳しく調べてみます。
主にコンクリートを主材料として使用し、コンクリートの質量を利用してダムの自重自体で水圧に耐える構造のダムです。したがって膨大なコンクリート量が必要で、基礎岩盤が強固な地点でないと建設できないものです。
ダムとしては最も頑丈な形式で地震や洪水に強いので、地震や降水量の多い日本ではもっとも適した形式と言われています。
近代以降では日本で建設されたダムではもっとも多く用いられた形式だそうで、重力式ダムの建設技術の発展がそのまま日本の土木技術発展の歴史でもあるといえるようです。そんな技術史の一つにこの浦山ダムが寄与しているのだそうです。 それは「ベルトコンベヤによるRCD工法」といわれる方法を採用したことだそうです。
これはダム本体建設に当たって原石山から採取する骨材、セメントなど全てをベルトコンベアで輸送し、超硬練りのコンクリートをブルドーザーで敷きならした後ロードローラーで水平に薄く何層も締め固めるという工法で、Roller Compacted Dam-Concreteの略でRCD工法といわれています。
この工法はコンクリートの量を少なく抑える他、ブロック工法のように継ぎ目を設けないので亀裂を起こさず、安定性と経済性で従来の工法よりも優れるそうで、この工法を世界で初めて本格的に手掛けられたのが1972年から施工された山口県の島地川ダムだったそうです。
そして浦山ダムではその工法による大規模ダム建設の有効性を確認し、更に超硬練りのコンクリートをベルトコンベアでの大量輸送が我が国で初めて行われたケースで、更なる経済性と工期短縮が図れRCD工法の完成がされたという意味で浦山ダムの果たした技術的な意義もまた大きいようです。
因みにこのベルトコンベアで運んだ原石山の採石場跡地は、ネイチャーランド浦山として整備され、デイキャンプやバーベキューなどが楽しめる施設となっているそうです。このあたりも「地域に開かれたダム」たる所以でしょうか。

展示ギャラリーまた、ここではダムの歴史についてもパネル展示されています。


浦山ダムの建設事業は荒川総合開発の一環として、建設省は昭和42年予備調査を開始し、昭和51年10月1日水資源開発公団に事業が承継され、滝沢・浦山ダム建設所として発足したものだそうです。
そして約30年の歳月を要して完成し、平成11年4月から管理を開始しました。その間の出来事です。

昭和42年04月01日 予備調査開始
昭和47年05月01日 実施計画調査開始
昭和49年12月24日 荒川水系を水資源開発水系に指定
昭和51年10月01日 水資源開発公団がこの事業を承継
昭和53年03月28日 水源地対策特別措置法に基づく「ダム指定」を受ける
昭和55年10月01日 付替県道工事に着手
昭和58年04月01日 浦山ダム建設所発足
昭和62年04月24日 損失補償基準妥結調印
平成02年12月03日 本体掘削開始
平成05年08月12日 付替県道工事竣工
平成07年04月10日 「地域に開かれたダム」に指定
平成08年06月25日 本体コンクリート打設完了
平成08年10月29日 試験湛水開始
平成11年02月23日 試験湛水終了
平成11年04月01日 管理開始

実に長い年月と相当な計画・準備が必要なことがうかがわれますね。是非はともかくとして計画・工事を中断・中止するのもそれなりの決意・責任は非常に大きいものがありますね。

浦山ダムと自然の恵みその先は「浦山ダムと自然の恵み」というコーナーで、ダム周辺の自然がジオラマ風に展示されています。


浦山ダムのオフィシャルサイトには「猿もダムから落ちる?」というタイトルで猿が150mを滑り落ちたエピソード(何事もいなく無事だったようですが)などが掲載されていましたが、そういったところにも自然や動物との関わりを示す事象でしょう。
こういった巨大な建造物の建設は、やはり自然とどう共生していくのかが昨今の建設における大きなポイントの一つですからね。

ダム下流広場

ダム下流広場の石碑提体内部ギャラリーを過ぎるとダム背面に出ることができます。
そこは駐車場と植林された植木にベンチのある「ダム下流広場」で、可愛らしい天使が乗っている石碑があります。建設に係わった方たちの顕彰碑のようです。


ダム提体目を転じると下から見上げるダムは圧巻です。この迫力はそうそうないでしょうね。こう言った迫力にダムマニアの方々は惹かれるのでしょうかね。


洪水吐ちょうど中央にダムの水を放流する口が見えます。


正式には「洪水吐」(こうずいばき)というそうで、洪水の流入に対してダムと貯水池の安全を確保するために設けられた放流設備の総称で、河川管理施設等構造令では、ダムには洪水吐を設けることになっているそうです。
洪水吐は上流から、流入部、導流部、減勢工に区分されます。そして洪水調節を目的とするダムでは、常用洪水吐と非常用洪水吐を持つものが多いようです。
常用洪水吐は通常時に水を放流する際に用いる洪水吐で、非常用洪水吐はダムの設計洪水流量のうち、常用洪水吐の放流量を上回る部分を放流する洪水吐を言い、一般に越流式(水が堰や堤防の上端を上流側から下流側へ越えて流れること)の放流設備により構成されるそうです。
浦山ダムの場合は、常用洪水吐の上の「ダム天端公園」の下の部分です。
なお、洪水調節用のダムでは洪水吐と呼びますが、発電用ダムなどでは余水吐と呼んでいるそうですが、浦山ダムは洪水調整用ダムですから、やはり「洪水吐」です。

この浦山ダムの常用洪水吐は372.0mのところにあり、このEL=372.0mこのダムの基準となる数字なのです。
このダムの天端までの高さはEL=400.10mで、利水目的に使用するため、ダム湖に貯める事が出来る最高の水位である「平常時最高貯水位」はEL=393.3mです。これは渇水と洪水の時期以外は常時この水位に保たれるそうです。
また、一方、「最低水位」はEL=304.0mで、貯水池の運用計画上の最低の水位のことで、ダムの堆砂容量を水平であると仮定し、その堆砂上面の水位の事です。この堆砂容量とは、およそ100年間にダム湖に流れてくる土砂のためあらかじめ設けられた容量のことだそうですが、どうやって計算しているのでしょう。つまりいずれEL=304mまで土砂で埋まるということですが、一体100年後、以降はどうするのでしょうかね。
そして重要なのが「洪水貯留準備水位」と呼んでいるもので、一般的には「洪水期制限水位」といわれているようです。これがこの浦山ダムではEL=372.0mなのです。
浦山ダムのように洪水調節を目的としたダム(全てでは無いが)は、洪水期に洪水調節のための容量を大きくとるために、洪水期に限って常時満水位よりも水位を低下させる方式を採用しています。この設定された水位が「洪水貯留準備水位」なのです。当然ながら夏期がこの水位となるようです。

そして洪水時において、このダムの主目的である洪水調節が行われるのです。
この洪水調節の基本的な考え方は、通常ダム地点では河川の流入量と同量、或いは感慨などのため、それ以上の放流を行います。これはダムの無い場合の河川の流れとほぼ同じです。
しかし、豪雨などで河川の流入量が極めて増大したときには、洪水という災害が起きるわけです。したがって流入量が増大してもダムから下流にその流入量を下回る量を流し、一旦その流入量と放出量の差分をダムに貯めておけば、下流に置ける洪水や水位上昇を防ぐことができるという考え方です。

その一般的な方法は以下の通りです。
1.通常の降水時はダムの水位上昇量から河川流入量を計算し、流入量と同量となる(ダムの水位変動がない)ように放流量を制御する(貯水位維持のための放流)
2.雨量とダム水位変動および放流量を記したグラフなどにより、ダムに一定量以上の流入が見込まれる状態になったとき、関係機関および住民に洪水調節を行う旨を通知する。
3.ゲート操作などにより放流量を一定量以内に調節し、洪水調節容量内に水を貯留する(洪水調節の開始)。
4.雨が止むなどして流入量が減り、流入量が放流量を下回った時点で洪水調節の終了となるが、その後もダム水位が低下し、洪水調節容量内に貯留した水の量が0になる(常時水位までダム水位が低下する)まではそのままの放流量を保つ(洪水調節後におけるダム水位の低下のための放流)。
5.洪水調節容量内に貯留した水の量が0になったら、放流量を流入量と同量まで減らす(一連の操作の終了)。

浦山ダムのオフィシャルサイトに洪水調節が実際の事例として記載されています。
それは平成17年7月の台風7号での洪水調節効果で、7月26日9時現在の流入量は42?/Sで、17時では87?/Sまで流入量が増えたのですが、下流へ流す水の量は、12?/Sに抑えられたそうです。
また、平成19年9月の台風9号では、最大流入量が328?/Sに達し、最大放流量68?/Sの放流を行い、最大毎秒317?/S及び貯留量13,176千?の調節効果を発揮したとあります。
文字で書くと非常に簡単そうですが、様々な予測や計算、そして準備など実際には大変な作業があるようですし、これらのことに備えた検査・テストなども常に怠れない日々の研鑽の結果なのでしょうね。

アーチ型のデザインちょうど天端の下側はアーチ型の橋のようなデザインが施されているのですが、これは秩父市内の文化財である「秩父橋」をイメージしたものだそうです。細かいところにも地元意識を高揚させる仕掛けが練られているようです。


両サイドから階段そしてアーチ橋の両サイドから階段が作られています。階段の高低差は124.5mだそうで、点検も含めて職員の方はこの階段を毎日のように上り下りしているそうです。
地獄の特訓のようなもので、まして、私にとって昇るなどということはまさに自殺行為に等しいものです。


提体内ギャラリーの出入り口そして階段下には先ほど出てきた提体内ギャラリーの出入り口があります。


減勢工「ダム下流公園」のすぐ右手には、上から見ていたときから美しいコバルトグリーンの水を湛えた放水路が見えます。


綺麗な宝石のような水を湛えたこの部分も実は放流には重要な施設なのだそうです。
ダム(洪水吐)から流れ落ちる水のエネルギーはとてつもなく大きいものだということは如何に素人でも推測できます。もしそのまま流した場合、様々なダム施設は勿論のこと、ダム下流の路や橋、或いは人家などにも被害が出る恐れが考えられます。
そこでこの膨大な流下する水のエネルギーを弱める働きをするモノが必要となります。それがこのコバルトブルーの水が溜まっている場所で、ダム用語では「減勢工」というそうです。所謂、落下してきたものを受け止めるクッションのようなものですね。
この「減勢工」にも種類があるようで、ダムのタイプや、地質、地形・環境などに適合するよう考えられています。
●跳水式
最も一般的な形式で、導流部に連続して設けられた減勢池の水叩き上で跳水を発生させ、エネルギ-を減勢する方式。
減勢池の水位を上げるために下流端に副ダムを設けることが多く、洪水吐の減勢方式として最もよくみられる形式です。
●スキ-ジャンプ式
スキ-ジャンプ式は、流れを空中に放散し構造物から離して落下させ、それによって出来たプールで発生する跳水現象を利用するものです。
ダム下流の河床の洗掘をある程度許容できる地点で、洪水の放流が人家や公共の施設に支障を与えない場合に適用します。
●自由落下式
アーチダムのように、流れをなめらかに導くことが困難な場合に利用するもので、ダム下流の空中を自由落下させた水脈のエネルギ-を、下部にある水のクッション効果により急速に減衰させます。
という種類があるそうですが、浦山ダムの場合は「跳水式」だそうです。そうなるとこのコバルトブルーの水が溜まっている場所が減勢池ということですね。

副ダムまた、この先にある段差の所が副ダムなのでしょうかね。あえて副ダムということで写真を撮ったわけではないので違っているかもしれませんが。


いずれにしても様々な形で人やモノや環境に与える影響が強いダムだからこそ、細かいところまで計算しつくされた設備・体制が組まれているのですね。

当たり前のことでしょうが、実際に目の当たりにすると驚きは隠しえませんし、何となく感動すら覚えてしまいそうです。
以前に見た「下久保ダム」以上に魅了されたダム散策で、これは特に浦山ダムが「地域に開かれたダム」であることが余計身近に感じられたからでしょうか。
まさに静と動を感じさせるダムで、改めてダムの持つ魅力を存分に感じさせられました。

ダムカード最後に「うららぴあ」に寄って貰い忘れた「ダムカード」をいただきました。
下久保ダムでいただいた記憶があったので聞いてみたらやはりここにもありました。2枚いただき浦山ダムを後にしました。

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