アクアマリンふくしま #2

「アクアマリンふくしま」の最大の見所である潮目の水槽を堪能して次のコーナーに移ります。
次のコーナーは「ふくしまの海」です。
「潮目の海」が最大の見所なら、「ふくしまの海」は最もこの水族館らしい展示です。

『アクアマリンふくしまでは、水族館での飼育や展示が難しいとされてきた海洋生物の、調査研究に積極的に取り組んでいます。研究の対象は福島県の沖合に広がる海の生物です。ここでは、黒潮と親潮が出会い、また深さ数千mの日本海溝につながっています。このため、暖流域、寒流系、深海などさまざまな環境に適応したたくさんの生き物が生息しています。福島県は長い海岸線を持ち、たくさんの海の恵みを受けています。ここでは福島県で見られる多種多様な生物を紹介しています。』(アクアマリンふくしまオフィシャルサイトより)

それでは飼育や展示が難しいとされてきた海洋生物とは一体どのような生物なのでしょうか。

『飼育困難生物とは、
① 採集することが難しい
② 輸送することが難しい
③ 水槽環境に適応しない
などの理由により飼育が難しい生物をいいます。
主に外洋性生物や深海性生物などがこれに該当します。飼育が難しい魚=珍しい魚ではなく、魚屋さんでごく普通に売っていて食卓にのぼる身近な魚、サンマ、アンコウ、マルアオメエソ、ヤリイカ、スルメイカなども水族館ではなかなか見ることができない生物です。』
(アクアマリンふくしまオフィシャルサイトより)

そう、私たちが身近に食している魚を見ること自体が、実に滑稽でもあり、反面貴重な経験かもしれません。

さんまの飼育 そしてその代表が「サンマ」です。
これは開館した当時から話題になっていましたから、以前来たときにもしっかり見た記憶があります。


サンマの飼育と展示
世界で初めて飼育展示に成功
当館は、1997年3月よりサンマの飼育研究を始めました。2000年7月15日オープン以来サンマの展示を継続しており、水槽内繁殖によって8世代目まで継続して累代飼育または展示をおこなうことができました。現在は、自然卵から育てたサンマのほか、新たな試みとしておこなった人口受精卵からの育成や成魚の採集によって得られたサンマを展示しています。』(館内解説板より)

サンマは鱗がはがれやすくて網を使っての採集ができないそうです。さらにかなりナーバスな魚のため、ちょっとした刺激で水槽に壁にぶつかったり飛び出したりする気の小さい魚なんです。更に寿命も2年と短いので長期展示が非常に難しい魚でもあるのです。
このようなサンマだからこそ価値があるのだと知りました。

ベニズワイガニキアンコウその隣には「ベニズワイガニ」と「キアンコウ」が展示されています。
比較的身近で食するというより、ちょっと贅沢にという時に食するものですね。
特に「アンコウ」は北茨城~いわきにかけてが本場ですから。
秋には「サンマ」、冬には「アンコウ」・・・ そろそろ旬の季節ですね。


ミズダコ次は「ミズダコ」です。


『全長3m、体重20Kgに達する巨大種です。多くのタコ類の寿命は1年ほどですが、ミズダコは3~4年といわれています。冷水性で北海道周辺、関東地方以北の太平洋、日本海の水深100m~200mに分布し、タコかご漁や底引網漁で漁獲します。
いわき地方では、本種をアマダコ、近縁種のヤナギダコをミズダコと呼ぶことがあります。』(館内解説文より)

個人的にいわきに来るようになってから実に良く食べましたねえ。
結構美味しく酒の肴にはもってこいでしたが、最近はめっきり食べていませんね。

メヒカリその隣が「マルアオメエソ」ですが、そういわれてもピンと来ないはずで、通称「メヒカリ」です。


『メヒカリは、アオメエソ科魚類の地方名です。いわき市では、平成13年に「市の魚」に選定しました。
深海性の魚類である為、産卵生態、産卵場所、回遊経路、寿命など謎の多い魚です。
メヒカリは、底引網で漁獲されますが、これまで生きている姿を展示することはできませんでした。当館では、世界で初めて長期飼育に成功しました。』(館内解説文より)

底引網で漁獲されると他の漁獲物に押しつぶされる為、生きた状態の採集が困難だったそうですが、漁師の協力により何度も採集を試みて生存する確率の高い採集方法を発見した結果、飼育が可能になったそうです。これもまた飼育困難生物ですね。
それにしてもフラッシュで撮影すると目の光がより強調されます。これがメヒカリの由来ですからね。

スルメイカそしてこのコーナーの最後が「スルメイカ」です。
これもおなじみの食材で、酒の肴に、小腹が空いた時に、また顎を鍛えるにももってこいの食材です。
意外と展示されると優雅で綺麗なものです。ちょっと「スルメイカ」を見直しました。


このようにこのコーナーではいわき(福島県の)の海で獲れるお馴染みの魚たちが展示されているところが醍醐味です。
いわきの沿岸では「ヒラメやカレイの仲間」「マダコ」「アナゴ」「アワビ」「ウニ」、沖合いでは回遊魚の「サンマ」「マイワシ」「カツオ」「マサバ」、そして水深100mより深い場所では「メヒカリ」「ヤナギムシカレイ」「アンコウ」「ミズダコ」が、更に水深500m付近では「ベニズワイガニ」などが漁獲される、とっても酒の肴に事欠かない辛党には嬉しい海なのです。

「タッチプール」「ふくしまの海」を出ると広々とした「タッチプール」と呼ばれるスペースがあります。


この「タッチプール」とは、福島県の潮だまりの環境を再現しており、この水槽の岩組は、いわき市内の岩場から直接、型を取って作成し、波動装置や干満装置を設置して波や潮の干満も再現しているそうです。結構、凝ったつくりのものなのです。
子供たちが夢中で遊んでいます。楽しいのでしょうね、掴んだ貝をガンガンぶつけていて、親はあせっていましたが。

ここから次の展示室に向かう途中の壁面に面白い展示がありました。
小名浜国際環境芸術祭「魚の自画像展」です。アクアマリンふくしまの安部館長が書かれた絵です。

ごあいさつ
ながいこと水族館では働いてきた。最初の職場だった上野動物園水族館は今はもうない。ここで19年間も飼育係をしていた。3日を置かず宿直があった。自由時間である。水族館が工房になった。川下りのカヌーを作ったり、店開きをすると朝まで片づけるのが大変だった。
魚の正面顔は宿直の晩に描く。魚はなかなか正面を向いてくれないので苦労した。ガラス越しに近づくと、すぐ、目をそらす。魚の眼は正面に死角があるので怪しい人影を片眼で確かめようとする。正面顔は死んだ魚をスケッチするより手はないのだが、これでは面白くない。しかし、深夜ときに油断して正面を見てくれる。
このたび、小名浜国際環境芸術祭に、昔の顔で参加させていただき光栄である。皆様の魚の観察の手助けになれば幸いである。
アクアマリンふくしま館長 安部義孝』(館内挨拶文より)

いくつか目をひいたものを挙げてみます。

アジの顔「アジ」:結構強面のアジです。


メヒカリの顔「メヒカリ」:やはり眼が命です。


マグロの顔「マグロ」:意外と情けない表情だったりする。


シーラカンスの顔「シーラカンス」:99.9%一般的に見たことない。


などなど、大変ユーモアにあふれた面白い展示です。館長もなかなかクリエイティブですね。
ちなみにこの絵の書かれた紙が「遠野和紙」だそうです。

遠野和紙について
このほど北京オリンピックでも紹介された様に、現在の和紙漉きの製法は、古くは中国で(西暦105年)編み出され、その後、日本にも伝わり、飛鳥時代には聖徳太子が全国の工人を集めて技術を修めさせたと言われています。
その後、和紙漉きの製法が、どの様な経路でいわき市遠野へ伝えられたのか定かではありませんが、文献には、享保19年(1734年)に、根本・入遠野地区272件の兼業農家のうち106件が紙漉きを営んでいた記録があります。その他の農家は、桑や煙草、蒟蒻などの栽培をおこない収入としていたそうです。
時は流れ、昭和33年にはこの地区の紙漉き屋といわれる軒数は40軒になり、この後、和紙はいわゆる洋紙といわれるパルプ材料の紙にシェアを奪われていき、紙漉き屋は衰退の一途をたどる事となります。
現在では、深山田に1軒が残るだけとなっています。』(館内案内板より)

これもいわき市の工芸品で、確かに「ら・ら・ミュウ」のミュウじあむに展示されていましたが、地元の工芸品を使うところが流石です。

いろいろ水族館順路に沿って先に進むと「いろいろ水族館」という子供の遊び場スペースがあります。
ですがここも一応魚の展示されていて、色々な水槽もあった(判らなかった)ようです。


プランクトンその隣には、プアランクトンを見ることができる顕微鏡が並んでいます。
面白いのは「小名浜港のプランクトン」(本日朝採集)というとっても新鮮なプランクトンです。
大抵「生シラス」などは午前中で売り切れとなるのですが、プランクトンですからずっと活きが良いのでしょうかね。


展望台展望台内部展望台から見たマリンタワーここから展望塔に登ってみます。
総ガラス張りの展望台です。やはり360度パノラマで、例によってマリンタワーです。


「BIOBIOかっぱの里」と「蛇の目ビーチ」また、敷地内にある「BIOBIOかっぱの里」や「蛇の目ビーチ」が見えます。この後寄ってみようと思います。


お土産コーナー暫しパノラマ風景を楽しんで展望台を下り、特に何も買わずにお土産店を素通りして、先ほど上から見た「蛇の目ビーチ」に向かいました。


BIOBIOかっぱの里BIOBIOかっぱの里ビーチの途中は田圃や小川が作られた「BIOBIOかっぱの里」というスペースで、昔なつかしい里地の水辺の環境を再現しているそうです。
そのシンボルがこのカエルかな!?


蛇の目ビーチその先に「蛇の目ビーチ」があり、”磯・干潟・砂浜”の3つの自然が体験できるというのが売りの施設です。
小雨が降ってるので何か寂しそうな感じは否めませんが、暑い日なら子供たちはもっとはしゃいでいるのでしょうね。


BIOBIOかっぱの里来る時には気が付きませんでしたが、「BIOBIOかっぱの里」の小道には何気にオタマジャクシの変態の絵が書かれています。
細かいところにも遊び心・・・教育的要素が満載です。


3つの金魚の水槽館内に戻ると様々な金魚が展示されています。金魚も立派に成長するとまさに芸術品ですね。


シーラカンスの世界最後に特別展示の「シーラカンスの世界」を覗いてみます。
ここでは”よみがえれ!生きた化石 ~シーラカンスの謎に迫る~”というテーマで「アクアマリンふくしま」としてシーラカンスの生体調査を行っています。


シーラカンスの謎に迫る、アクアマリンふくしま
第二次世界大戦の前夜、1938年12月、南アフリカの沖合いで生きたシーラカンスが捕獲されたニュースが世界を駆け巡りました。「20世紀最大の生物学的発見」、「最も偉大な魚物語」、「恐竜が生きていたとしてもこれほど驚かない」と世界の生物学者を驚かせました。恐竜ともに6500万年前に絶滅したものと信じられていたからです。約4億年前、魚類から陸上四足動物への進化の謎を解く鍵をにぎっているのがシーラカンスです。
150mの深海に生き残り、21世紀の今日でもいまだに生活史の全容が明らかでありません。
アクアマリンふくしまでは2000年、開館の年からシーラカンスをテーマにして世界の研究者とともにその謎解きに取り組んでいます。生物進化からはじまる当館のシナリオの中で、シーラカンスは依然として「最も偉大な魚物語」です。
さあ、あなたも謎解きに参加してください。』(館内解説パネルより)

そしてこの研究活動が、これはアクアマリンふくしま「グリーンアイプロジェクト」と呼ばれており、その活動は2001年から行なわれているそうです。

『2001年3月:第1回シーラカンス委員会開催
7~8月:企画展「ザ・シーラカンス~シーラカンスの謎~」開催
2002年2月:国際シンポジウム「ザ・シーラカンス~シーラカンスの謎に迫る~」開催
2005年4月:インドネシア共和国スラウェシ島北部マナド海域において、ROV及び高深度潜水によるシーラカンス調査を実施、映像の撮影には至らず。
2006年4月:南アフリカ水生生物多様性研究所とのシーラカンス調査計画に関する相互協力覚書を締結
5~6月:インドネシア共和国スラウェシ島北部マナド海域において、シーラカンス調査を実施。延べ7個体の撮影に成功
2007年6月:インドネシア共和国スラウェシ島北部マナド海域において、1個体の撮影に成功
10月:アフリカ・タンザニア連合共和国タンガ海域において、延べ9個体の撮影に成功
11月:国際シンポジウム「ザ・シーラカンス~シーラカンスの謎に迫る~2007」開催
12月:インドネシアシーラカンス標本公開(2008年8月末まで)』

確かにシーラカンスの撮影に成功というニュースが一時期流れていたのは憶えています。それがここのプロジェクトだったとは知りませんでしたが。

シーラカンスエントランスを入るとまさにシーラカンスです。


シーラカンス裏側に回ると内臓や骨格が見られるようになっているのが非常に貴重なものだそうで、それは、そもそもこの魚の名前が、その椎骨の内部が中空となっているという解剖学的な特徴から「中空の背骨」を意味するラテン語「シーラカンス」から命名されたところから来るものなので、その椎骨の内部が見れる標本として貴重だということです。


シーラカンス自体を見る機会もほとんどないなかで、骨格や内臓まで見れるということは必見ですね。

このシーラカンスは「アフリカシーラカンス」で、2007年3月26日、アフリカのコモロ諸島で捕獲されたもので、全長1198mm 体重28Kgです。
かつてシーラカンスは世界中に分布していたそうですが、現生のシーラカンスは2種類しかいません。
1種類目は「世紀の大発見」といわれた1938年南アフリカ南東部のインド洋のカルムナ川河口付近で捕獲されたもので、見慣れない魚を捕獲した漁船から連絡を受けて調査したのが南アフリカのイースト・ロンドンの博物館員のマージョリー・コートニー=ラティマーという女性でした。様々な調査の結果、新種のシーラカンス類として発表されました。この時点で調査員ラティマーにちなんで、属名をラティメリアとし、種小名を発見地のカルムナ川から取り「ラティメリア・カルムナエ」=「シーラカンス」と命名されたのです。
したがって正確には”シーラカンス目”-”ラティメリア科”-”ラティメリア属”-”シーラカンス(ラティメリア・カルムナエ)”という分類となるそうで、これを簡単に”(アフリカ)シーラカンス”といっているそうです。
2種類目は1997年9月、新婚旅行のためインドネシアのメナド・トゥア島を訪れていたカリフォルニア大学教授マーク・アードマンが市場で見慣れない魚を見つけたのがその発見となったそうです。
これは先のラティメリア属の別種と確認されて、メナド・トゥア島のラティメリア(=シーラカンス)の意味より、「ラティメリア・メナドエンシス」といわれ、こちらは”インドネシアシーラカンス”と言っているそうです。
現在、”インドネシアシーラカンス”は東京葛西臨海水族園に液浸標本があるそうです。

マウソニア・ラボカティその先には世界最大のシーラカンスといわれる「マウソニア・ラボカティ」が展示されています。
勿論こちらは化石で頭に部分だけ発見されたもので、ここにあるのはそのレプリカです。
種別としては先ほどの例に置き換えると、”シーラカンス目”-”マウソニア科”-”マウソニア属”-”シーラカンス(マウソニア・ラボカティ)”ということになるのでしょうね。


このマウソニア・ラボカティは、1963年にモロッコの白亜紀前期の地層から発見されたシーラカンスです。そのとき発見されたのは下顎の一部の骨だったそうですが、その後、アルジェリアとモロッコから頭の骨が発見されたそうです。
そしてモロッコで発見された化石の中にシーラカンスとして世界最大のものがあり、ブラジルで発見された同じグループの全身骨格化石をもとに復元したところ、全長3.8mであると判明したものです。
4mもあると鯨と同じくらいの大きさです。まさに化け物・・・ が相応しいでしょう。

ROV一番奥には、その姿を撮影したROV(遠隔操作による水中探査機)が展示されていました。結構大きいのですね。
このような調査・研究によって一つづつ謎が解明されていくのでしょう。


なお、この展示室内にはお土産コーナーがあり、その横では奇妙な名前のアイスクリームが売られていました。
”シーラカンスアイスモナカ”「ごんべあいす」という奇妙なアイスで、1ケ250円です。

~こだわり~
「ごんべあいす」という名称は、シーラカンスが発見されたアフリカ・コモロ諸島でのシーラカンスの呼び名「ゴンベッサ」に由来します。このコモロ諸島ではアイスクリームのバニラの栽培が盛んであることにヒントを得て「ごんべあいす」を作りました。アイスには、海洋深層水を用い、ほんのり塩味が効いています。また、モナカはもち米を使用し、香ばしく仕上がっています。モナカの原型は、当館館長が作製したオリジナルです。』
(館内バナー文より)

ごんべあいすごんべあいす買ってみました。これです。
確かにモナカはシーラカンスの形をしていますね。ここでも館長、クリエイティブです。


さて味は・・・ 美味です。昨今、塩キャラメルが流行っていますが、そんな感じですが、意外にサッパリして美味しいですよ、これは。
モナカは香ばしい感じはしますが、パリッとした感じがないですね。
トータルで考えれば、一度食べてみても損は無いといったところでしょうか。話のネタとしてもいけますし、美味しいからいいと思います。
色々考えるモノですね。

これで、アクアマリンふくしまは終了です。2度目といえどもかなり新鮮で興味深かったです。
年間パスポートを買うことはありえませんが、しばらくしてからまた訪れても良いかもしれません。
とりあえず楽しかったですね。

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