いわき湯本温泉散策 #3 ~温泉通りから上町通りへ~

しら石「惣善寺」から10メートルほど歩くと左側に和菓子工房「しら石」というお店があります。
”かりんとうまんじゅう”というそそられる看板が有りましたが、まだ11:00頃なので別の機会に食べてみたいものです。


三函座この「しら石」の手前の細い路地を進むと、そこに「三函座」があります。


旧三函座(登録有形文化財)
明治30年代に建設された木造二階建てで、築後100年が経過している。屋根は正面が切り妻造り。背面が寄せ棟造りで、鉄板葺き。二階には袖見席があり、初めは芝居小屋として使われた。
日露戦役時には出従軍人を送る祝賀会にも使用されたり、明治39年に斎藤勝之助が写し出した「湯本絵図」には「三函座」が描かれている。興行が始まる時間になると、太鼓を打ち鳴らしていて、その情景が、野口雨情の詩にうたわれている。
明治末から映画も上映され、戦後は主に大映や松竹の邦画を扱っていた。湯本温泉街や炭鉱の盛衰など、その時代その時代の生活を反映させながら、湯本温泉唯一の娯楽施設として大衆文化を伝えてきた。
昭和40年代からテレビの普及や生活様式の変化によって、映画文化は衰え、昭和51年の常磐炭鉱の全面閉山もあって、昭和57年、惜しまれながら映画館「三函座」は閉館した。しかし、建物は現存し、湯本温泉街の貴重な宝物の一つとして、後世に残しておきたい大切な有形文化財となっている。
平成19年7月31日 登録有形文化財指定
所有者 しら石菓子店 白石廣司氏』(童謡館内解説パネルより)

菓子店「しら石」の所有なのですか。
明治期らしく右から書かれ散るのが、それらしい雰囲気を残していますが、夜見るとおそらくお化け屋敷でしょうね。
当然ながらかなり老朽化しています。結構メンテナンスが大変なのではないでしょうかね、文化財の場合修理するだけで大変面倒な手続きが要るようですから。
でも、ここも古きよき時代の温泉街の雰囲気が漂う場所なのです。

松柏館「三函座」からまた先に進むと同じ左側に歴史のありそうな旅館「松柏館」があります。
和風の落ち着いた感じの旅館ですが、近頃あまり見かけない”政府登録国際観光旅館”の記載があります。


この”政府登録国際観光旅館”とは1949(昭和24)年の施行された国際観光ホテル整備法に基づき、運輸大臣(現在は国土交通大臣)が登録を行った旅館やホテルのことで、現在は全国に旅館が1996、ホテルが1127あるそうです。
当然ながら、いくつかの条件をクリアしなければならないようです。
洋室の場合は、トイレは水洗式かつ洋式便器であること、外国語(主に英語)が話せるスタッフを雇うこと、ロビーが指定面積以上であること…などなど。
和室の場合は加えて、床の間、踏込み、クローゼットがあること、適当な冷暖房設備があること…とあります。
呼んで字のごとく、外国人にとっても居心地の良い施設であることが条件という至極当たり前のことです。
まあ、現在は余り宿選びの基準にする人もそういないでしょうね。

一方でこの「松柏館」はやはり歴史ある旅館のようで、遡ると江戸時代、1746(延享3)年、幕府の視察団に提出された「村差出帳」には、この旅館が本陣として記載されているそうですから、村の名主だったのでしょうね。

松柏館源泉賭け流し勿論、源泉賭け流しの温泉ですが、建物の角を曲がった横にはこんなところでも温泉を味わえるちょっとした趣向が凝らされているのも温泉街ならではでしょう。


カトリック湯本教会その近くに「カトリック湯本教会」がありますが、温泉街らしくなんとなく和風の教会も風情ですね。


「松柏館」の角の交差点から先は「上町通り」に変わります。
少し歩くと左側に「勝行院」があります。

成田山駐車場の横に「成田山」があります。縁起などは不明ですが、若干の極彩色のお堂がややキッチュです。


楼門また、駐車場の前には立派な楼門があります。


二対の白木像二対の白木像四脚門の左右には白木の二対の像が勇壮さをかもし出しています。


二対のキッチュ像二対のキッチュ像四脚門をくぐって中に入ると、白木の二対の像の裏側にオレンジと青の二対の像があります。
こちらは結構キッチュで、表裏で実に面白い対比をなしているようです。
言われてみれば若干迫力にも欠ける(手抜き!?)かも)


楼門を抜けると正面に本堂がありますが、その前に境内の右手には「釈迦堂」があります。

釈迦堂この建物はかなり古そうな感じです。それもそのはずでこの「釈迦堂」は文化年間(1804~18)に再建されたそうで、入母屋、瓦葺き、桁行き4間で、当時は朱色に塗られていたようで、釈迦堂は勝行院が戊辰戦争で焼失した時仮本堂となった建物で堂内には釈迦三尊を安置していたそうです。


そしてその釈迦如来坐像は県指定の文化財となっているようです。

『県指定重要文化財(彫刻) 木造釈迦如来坐像 一躯
指定 昭和五十一年五月四日
所在地 いわき市常磐湯本町三函三〇三
所有者 勝行院
南北朝時代(一四世紀)
像高 八五㎝

勝行院の開山円鏡は寺の近くに釈迦堂を建て、堂内に釈迦三尊を安置した。この釈迦堂は寛政十年(一七九八)に火災に遭い、文化年間(一八○四~一八)に再興した。しかし、勝行院が戉辰の役で焼失したため釈迦堂を移し、一時勝行院の本堂とした。
釈迦如来坐像は寄木造りの漆箔(しっぱく)で、玉眼(ぎょくがん)を入れ、肉髻(にっけい)は低く小さく、うずまき型の螺髪(らほつ)の線が額正面の生えぎわで軽くカーブする、面貌は鼻すじがとおり、口元は引き締まる。
両肩から腹部に流れる衣文(えもん)の彫刻、腹帯をのぞかせ、定印の指の爪先を長く伸ばすなど、中国宋風の影響を強く反映した、鎌倉末期から南北朝時代にかけての特徴を示している。ことに特徴的なのは、両袖先と裳裾(もすそ)の先を幅広く長く垂れる、垂下様式(すいかようしき)になっていることである。
垂下様式は中国宗画の後期宋朝様式の影響を受けて、禅宗高僧の肖像画、彫刻に影響をあたえ、特に鎌倉を中心に制作された。両袖先と裳裾を直接垂下する様式が古く、ついで台座の上で矧ぎ合わせた裾先のみを裳懸座(もかけざ)風に垂下する新しい様式が発展した。
先行形態のものには光厳寺(東京都あきる野市)の釈迦如来坐像(康安二年・一三六二、法印運朝銘、像高五一・五㎝)、来迎寺(神奈川県鎌倉市)の地蔵菩薩坐像(応安四年ヵ、絵所宅間掃部法眼浄宏作、像高一〇二㎝)などが見られ、勝行院の釈迦像は前者に勝るとも劣らない。
光厳寺の釈迦像同様猫背で胸幅は広く、量感も充分で堂々としており、南北朝時代を下らない製作年代と思われる。飛天透し彫りの光背、台座も中国宋風を模倣した同時代のものである。
地元の伝承では、運慶の作と伝えられてきた。』(いわき市教育委員会発行「いわき市の文化財」より)

本堂本堂は新しそうですが立派です。
正式名称は「三函山勝行院法海寺」といい、例によって大同年間徳一大師により創設されたそうです。
地元では通称「中の寺」と呼ばれていて、先ほど訪れた「惣善寺」が「下の寺」と呼ばれているようですが、当然「上の寺」もあるのでしょうが、どこの寺でしょうかね。
参拝をしていると、この寺では何か気の引き締まるような雰囲気が漂っています。綺麗に整備された境内がよりずしりと重そうな何かを伝えているようです。
建築物からの威圧感があるのかもしれませんね。


三重塔と鐘楼本堂の横から鐘楼と三重塔へ行けるようです。
どちらも新しいもののようですが、煌びやかで、それでいて荘厳な雰囲気を醸し出しています。


勝行院からの眺望ここからの眺望も良く、「石炭・化石館」も良く見えます。


キッチュな白衣観音三重塔の横には「白衣観音」と書かれた観音像が立っていますが、この緑色がはっきり言ってキッチュです。


荘厳な雰囲気に包まれたキッチュな寺院として実に興味深かったです。色々な意味で一見の価値ありです。

上町通り「勝行院法海寺」を出て上町通りを先に進みますが、残念ながらこのあたりはかつての温泉街を思わせる活気を見つけることはでき無さそうです。


いわきミュージックしばらく進むと右側に「ライブハウス いわきミュージック」とかかれた派手な赤い塗装の、それでいて妙に和風の建物がありました。
既に人気のない温泉街にライブハウスとは…と思ってよく見ると、どうやら元はストリップ劇場だったような雰囲気です。
表には開演時間があり、入口には18歳未満は入場不可の注意書きがありますから。


興味深いサイトがありましたから引用します。

『SMの女王、一条さゆりをはじめの、白石ひとみ、桜木ルイなど、多くのAVスターが舞い、一世を風靡した、いわき市いわき湯本温泉街のライブハウス【いわきミュージック】が、レンタルスペースとして使用可能となりました。ステージと約30名程の客席があるイベントホールです。
演劇や踊りの発表の場、また、ミニコンサート、カラオケ大会、寄席など、使い方は自由自在!!料金も基本1時間1000円からと、リーズナブルです。
詳細は、お気軽にお問合せ下さい。』(いわき湯本温泉といわき市の観光・イベント・地域・歳時記サイトより)

なるほどそうゆうことですか。温泉街の登録文化財ですね、一条さゆりが出演していたくらいですから。
まあ、それはそれとしてレンタルスペースにするのは良いと思いますが、せめて18歳未満お断りくらい消したほうが良いのではないのでしょうか。
それとも怪しい演劇でもやるのでしょうかね…アハ。

かつての活気ある温泉街の名残をみて一旦温泉神社に戻りました。
ここからは湯本駅方面に向います。

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