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塚越の花祭り #1

国道17号バイパスを北上し、圏央道桶川北本ICあたりで、薄らと夜が白みはじめました。
桶川北本IC
圏央道を進み鶴ヶ島JCで関越道に乗り換えますが、流石に時間も早いことからGW中の関越道と言えども渋滞は全くありません。それよりも見たことも無い位交通量が少ないのです。当たり前ですが。
しばらく進んで嵐山ICで休憩をとったときには完全に夜が明けましたが、それと同時に雨も幾分強くなり先行きの不安が一層広まっていきました。
嵐山PA

玉淀ダム

関越道を花園ICで下りて、秩父行にはお馴染みの国道140号、通称・彩甲斐街道をひた走ります。
そしていつもなら“末野陸橋”交差点の陸橋を上がってそのまま「皆野寄居バイパス」へ向かうのですが、なにを勘違いしたのか側道に入ってしまったのです。
仕方なくそのまま直進し次の“末野”交差点を左折して寄居折原ICから「皆野寄居バイパス」を走ることにしましたが、その途中、荒川を渡る大きな橋、「折原橋」があり、そこから右手に「皆野寄居バイパス」の末野大橋が見え、その先にダムのようなものが見えたので、折原橋で立ち止まって見てみたのです。
折原橋 玉淀ダム
一昨日からの大雨で荒川も増水し、6門のゲートのうち4門から濁流のよう放水されています。実に美味しそうなダムなので本来なら近くまで行きたいのですが、今日は流石に時間の問題もあるので調べるだけで終わらせます。
玉淀ダム 玉淀ダム
このダムは「玉淀ダム」といい、高さ32メートルの重力式コンクリートダムで昭和39(1964)年、東京オリンピックの年に完成した埼玉県営の多目的ダムなのです。

昭和22(1947)年のカスリーン台風による水害を機に、当時の建設省により荒川総合開発事業が開始され、上流に二瀬ダムが昭和36(1961)年に完成し、下流にこの玉淀ダムが完成したのです。
二瀬ダムについては【三峯神社】で訪れたダムです。
多目的とあるように一つの目的は農地への灌漑ですが、もう一つの大きな目的が水力発電なのです。
この水力発電については埼玉県の地方公営企業である「埼玉県企業局」が事業を行っているのですが、この聞きなれない埼玉企業局とは県庁内の一局なのですが、かなり事業範囲が広く主に4つの事業で成り立っていたようです。
その事業の内容です。

1.上水道
大久保浄水場、庄和浄水場、行田浄水場、新三郷浄水場、吉見浄水場の5つの浄水場で処理した水を送水。
2.工業用水道
地下水取水による地盤沈下防止のため、川の水を浄化して工場に送る柿木浄水場、大久保浄水場の2つあわせた南部工業用水道事業として、県南東部7市で約180の事業所に送水。
3.水力発電
昭和35年、県営初の水力発電所として大洞第一発電所が営業運転を開始し、以来二瀬発電所、大洞第二発電所、玉淀発電所、浦山発電所、滝沢発電所を建設し、年間約8,900万キロワット時の電力量を東京電力へ売電。
4.工業団地,産業団地分譲
川越工業団地・加須下高柳工業団地・羽生下川崎工業団地・騎西城南産業団地等の造成・分譲。

以上の4事業で成り立っていたと記載したのは、上記のうちの水力発電に関しては平成20(2008)年に東京発電株式会社に売却されたからなのです。この東京発電株式会社とは、東京電力100%子会社なので、いわゆる東京電力グループということになります。
そして現在この玉淀ダムには大きな課題が降りかかっているのです。
それは2008年に、自然本来の川を復活させようとする玉淀ダム撤去運動が展開されたことなのです。しかしながら埼玉県側では安全性のクリアや撤去費用等の問題で消極的になっているようです。
この問題について、以下のような興味深い記事がありました。

平成22年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (加藤裕康議員-自民)
これから質問させていただく玉淀ダムについては、私は廃止を促進する立場でございます。
それでは、私の行ったしっかりした事業仕分けに基づき、本当に役割を終えて必要がなくなったダムとはこういうものだとの思いを込めて、次の荒川の自然回復と観光振興に向けて、玉淀ダムの価値の見直しについてご質問いたします。
(中略)
しかし一方で、玉淀ダムは、日本の電力が火力発電や原子力発電が主力となる中、もはや電力施設としての役割は小さくなっていること、農業用水の面でも必要量は徐々に低下しているとの指摘がなされております。さらに、川の流れがダムでせき止められることにより、生態系への悪影響などの弊害が指摘されているところであります。
こうした背景から地元寄居・長瀞両町を中心に平成20年8月において玉淀ダム撤去促進期成同盟会が結成され、荒川の自然回復を求める運動が開始されております。ダム撤去を決断した先進の事例として熊本県の荒瀬ダムがあります。荒瀬ダムもまた県営の発電用ダムとして開設されましたが、川の水質悪化や漁業への悪影響を訴える地元住民の声を受けて、先ごろ県が廃止を決断したところであります。
(埼玉県オフィシャルサイトより抜粋)

平成22年のことですから2年前ということになりますが、現在全原発の停止状態のなかで、このような議論がまだ続けていられるのでしょうか。結局は原発による電力の安定供給の上での議論で、原発に問題が起った際に原発稼動に反対すれば、自然回復などといい続けるのも難しいでしょうし、原発稼動に賛成し、あくまで自然回復を行うのも難しい問題でしょう。
こういった場合は、一体どういった言動をするのか、非常に興味深いところです。

興味深いつながりで、原発に対する新しいエネルギーについても取り組んでいるようです。
現在の東京発電株式会社の事業としては、水力発電事業、火力発電事業、新エネルギー事業、マイクロ水力発電事業があるそうです。
新エネルギー事業は、風力などの文字通りの新しいエネルギーを開発することにあるのですが、特にこの新エネルギー事業の一環である「マイクロ水力発電事業」というのが非常に面白いので、少しクローズアップしてみます。
これは、最近メディアなどにも取り上げられ始めた水力発電で、小水力発電と呼ばれる制度上は200kW未満の小規模な水力発電のことなのです。そしてその施設は中小河川、用水路、更にトイレの洗浄水など、様々な水流を利用して発電を行うシステムで、ダムや大規模な水源を必要とせず、小さな水源で比較的簡単な工事で発電できることにあり、ビルや家庭も含めてマイクロ水力発電の未開発地は無限にあるところがポイントなのです。
東京発電のサイトに事例が掲載されていて、さいたま市の水道局に設置されたマイクロ水力発電が掲載されています。
これは上水道(浄水)を利用したもので、元々左のような配管に、右の写真の中央の黄色い部分の水車を取り付けることによって発電を行っているのです。
マイクロ水力発電 マイクロ水力発電 《写真:(C)東京発電株式会社》
これで、最大出力99kw、年間発生電力が約760MWhだそうで、最大出力4,300kw、年間総発電量17,805MWhの玉淀ダムには到底かないませんが、低コストでしかもクリーンなのですから、充分検討に値するのでしょう。
玉淀ダムの撤去の是非も大事なことですが、原発問題の勃発により、真摯に根本的なエネルギー問題と向き合う時代になったということを一つ実感したのでした。
道を間違えるのも、珠にはいいものですね。

熊野神社

はじめからドップリつかってしまいましたが、ここからは一気に秩父に向います。
すっかり夜は明けたのですが、上吉田辺りに入ったときにはどしゃ降りといっても良い程、雨脚が強くなってきました。やはり山間部ではまだ天候が安定していないのでしょうか。
それでも普段はあまり見られない幻想的な風景が見られるのも、こういった天候のおかげかもしれません。
下吉田
そして6時頃に会場付近に到着し、ちょうど居合わせた打ち上げ花火のスタッフの方にお聞きしたところ、今のところ打ち上げ花火の中止指示はないので、今日の花祭りは行われるのではないですかとのことで、付近の臨時駐車場に車を停めて出発点である「熊野神社」にまず向いました。
歩いて2~3分のところに「熊野神社」があります。 住宅街の一画に鳥居があり、その下に狭い参道が走っています。
熊野神社
鳥居の横には「米山薬師公園 5月4日塚越の花祭り 県指定無形民俗文化財 吉田町観光協会」と書かれた看板が立っています。
熊野神社

平成24年(2012)塚越の花まつり
本日は「塚越の花まつり」にようこそいらっしゃいました。
このお祭りはお釈迦様のお誕生をお祝いし、今から約226年前の天明6年(1786)の頃から当地、塚越地区の子ども達によって、代々引き継がれてきた伝統行事です。今年は主役の小学生7名とお手伝い役の園児・中学生、そしてこの地区の出身者の子供達18名の応募をいただいて午前7時より花火を合図に花まつりが行われます。
熊野神社の鳥居から米山薬師堂まで約30分、お釈迦様の誕生仏と花御堂の通る参道を子供達が花を撒きながら道を清めて行列は進みます。この花は子供達が2週間前から近くの野山や河原で積んだ椿の花、菜の花、桃の花、ツツジの花、ヤマブキ、モクレン、花だいこん、八重桜などです。みんなこの里で集めます。
お釈迦様の誕生仏を安置する花御堂の屋根は花の実がよく張り付くように、まず和紙を貼って乾かします。その上に赤松の新芽、いぬがやの新芽(へだま)、アオキの実、赤、白のツツジの蕾で一つ一つ丁寧に糊で葺いてゆきます。軒先の四隅にはやま藤の花、屋根の上には牡丹の花が飾られています。これも昨夜、子供達の手によって2時間以上かかって作られ、一晩、熊野神社で子供達がおこもり(寝泊りすること)をして護ってきたものです。(今年は残念ながら5~6年生が2人と少なく、大将が女の子の為、おこもりはできませんでした。)
以前は小学3年生以上の男の子だけで花まつりを行ってきましたが、近年、子供の数が減少してきた為に、昭和53年から4年生以上の女の子も加わり、翌年からは1年生以上の男女全員で行われるようになりました。平成16年から塚越地区の子供達が6名以下になった為、この地区の出身者の子供達の応援を得て花まつりを行っています。
花まつりの日も以前はひと月遅れの5月8日に行われてきましたが平成元年からは現在の5月4日(みどりの日)に行われるようになりました。
平成2年には埼玉県指定無形民族文化財に指定され、平成12年には埼玉ふるさと自慢100選にも選択されております。
現在まで数多くのテレビ放送局で紹介され、古くは昭和49年の「NHK新日本紀行」や今年(平成24年)2月には「NHK新日本風土紀」で紹介されました。
では、この素晴らしいお祭りをごゆっくりい楽しみください。
(現地案内パネルより)

ただでさえ少子化の傾向にある中で、地元の子供達を確保するのは確かに難しいことで、様々な工夫でこの行事を絶やさないための努力は、やはり伝統の重みを地元の方たちが重要なことと認識されているからでしょう。
熊野神社
そのような中でその伝統である男子だけという縛りを破り、女子も加えたことも仕方ないことかも知れませんが、やはり関係者の英断というべきでしょう。どこかの協会のように不浄なものとして未だ女性を土俵に上げないという時代錯誤よりもずっと先進的といえるかもしれません。
また、祭日の変化についても合理的な判断がされていて、そのことは「秩父の民俗」栃原嗣雄・著に以下のように記載されています。

花まつりの祭日の変化
花まつりと称されるこの行事は、第二次世界大戦までは旧暦の4月8日に行われたが、その後、新暦の月遅れの5月8日になり、平成元年から5月4日と変更になった。
この変更理由について聞き書してみると、
1.63年6月16日、80戸のうち67戸が参加して祭日につき投票した結果、4日が46名、8日が18名、5日が3名であった。
2.4日が新たに国民の祝日となった。
3.近隣の祭りも城峰山が2日が3日に、伊豆沢や塩沢の祭りも祝日や休日に変更した。
4.さらに祝日なら、学校が休みなので子供達の集合時間も遅らせられる。学校に行って居眠りも出ない。農家が減り勤め人が増えたので祝日の方が出やすい。村外からの見学者にも都合が良い等によるという。
(「秩父の民俗」栃原嗣雄・著)

合理的で現実に即した選択で、ある意味では迎合といわれるかもしれませんが、多くの人たちが見学できるのもまた事実ですし、参加者の負担も多少は軽減できるメリットは大きいはずです。
伝統は伝統としても、それを伝え続けるためにはギリギリの改善は必要でしょう。ただし、そのスピリッツは遺していかなければならないのでしょう。
同じ著書に4月8日の意義が記載されています。

4月8日と藤の花の節供
新暦の4月8日は、秩父地方では季節的には約1ヶ月遅れの5月8日を、シガツヨウカと呼びお釈迦さまの日とか藤の節供とか藤の花の節供などと称している。
4月3日を桃の節供、5月5日を菖蒲の節供、8月1日を生姜の節供と称するのと同様である。美しい呼び名である。
塚越でも藤の節供とか、藤っ葉節供と呼び、前日に山に入って藤の花を枝ごと採ってきて、神棚や仏壇・トボウグチ・井戸・納屋・テントウサマなどに供えている。かつては秩父地方のどこでも広く行われていた。
このように4月8日は山に入って、紙の依り代としての藤の花を採ってきて、家の神仏に供えたり、神祭りとして山遊びをする日であった。吉田町白岩耕地には、ヤドと呼ぶ当番の家に集って、酒を飲み、ごちそうを食べ、一日山歩きをして楽しむ風習が昭和10年代まであったという(竹内弥太郎氏談)。塚越の花まつりも、集落を見下ろす若葉匂う新緑の中で酒を飲み、楽しく語らう情景をみるにつけ、日本古来の習俗のまさに山遊びに思えてならない。
ちなみに地元の古老は、卯月8日のこの日をハルジマイというと語ってくれた。春から夏の農事の節目の祭りの日で、この祭りが過ぎると蚕の掃立てや麦刈りといった農作業が待つ束の間の休息日でもあったわけである。
(「秩父の民俗」栃原嗣雄・著)

古の時代から五節供や二十四節気など、人々は時間というよりは季節とともに生きてきたといえるのでしょう。そしてその季節を大切にすることで、仕事への気力を蓄えるといった大事な時だったのでは無いでしょうか。
分刻み、秒刻みの生活も仕方ないことでしょうが、たまには季節を楽しむのもまた必要なことといえるのでしょう。

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