合角ダム

「塚越の花まつり」を見学した後は、先ほど薬師堂境内から見えた「合角ダム」に向います。
このダムは今回の散策の第2の目的と前述したのですが、それは秩父にある4つのダムで訪れていない最後のダムだからなのです。
プチダムファンとして「花まつり」以上に期待感が高まります。

合角漣大橋

米山薬師から見えるくらいですから、車で向うには10分ほどですが、途中「吉田元気村」に立ち寄ります。
いわゆるコテージやキャンプができるアウトドア施設なのですが、まだ8時を少し過ぎたばかりですから、何事も無いかのようにまだ静寂が支配しています。
「ハナモモ」でしょうか、こんな綺麗な光景を目にできました。
吉田元気村 吉田元気村
そして左側が合角ダムの放水路なのです。 子供やファミリーがキャンプするには良いところでしょう。
それでは合角ダムに向います。

合角ダムに到着し、まずは管理事務所に向いますが、まだ8時半過ぎなので管理事務所が開いていません。 仕方ないので先にダム湖周辺を巡ってみます。
ダム湖を反時計回りに進むと2つのトンネルを通ります。
トンネルにはそれぞれイラストが描かれており、「日尾峠トンネル」は“魚”、「昭和トンネル」は“花”です。
日尾峠トンネル 昭和トンネル
湖ならではの自然と生物を象徴しているのでしょう、ダムにもホスピタリティは必要ですから。
そしてダムの反対側に差し掛かると見事な吊橋にを渡ります。「合角漣大橋」です。
合角漣大橋
「合角漣大橋」といえば、4月に【権現堂堤の桜】で訪れた“外野橋”が斜張橋として珍しい橋だということを知り、その“外野橋”と同類の橋がこの「合角漣大橋」であるということを知りましたが、まさか、こんな早く実物を見る機会が来るとは思いませんでした。
以前は、写真でしたが実際はかなり大きな橋です。
橋脚には“魚”をイメージしたものでしょうか、彫刻がデザインされています。
合角漣大橋
こんなところもお洒落です。 そしてなんと言っても斜めに張られたワイヤーが印象的なのです。
合角漣大橋
さらに橋を渡り終わって振り返ったフォルムもまた美しい橋なのです。
合角漣大橋 合角漣大橋
ダム湖と樹木の緑に青い空の中であればなおさら映えるのでしょうが、今日は致し方ありませんね。
最後にダム湖に灌ぐ湧水なのでしょうか、自然溢れる光景も堪能できました。
滝
そろそろ9時近くなってきたので、ダムに戻ることにします。

西秩父桃湖

合角ダムに戻ってまずは天端周辺を散策します。 いつ見てもダムのフォルムは魅力的です。
合角ダム提体 合角ダム天端 合角ダム提体
中央にあるのが天端で、その横に「合角ダム」と「西秩父桃湖」と刻まれた石碑が並んでいます。
石碑
まず気になるのがダムの名称で、全国的に難読なダム名としても知られており、“かっかく”ダムと読むのです。
そして一方のダム湖の名称もいわくつきで、「西秩父桃湖」という名称は、土屋義彦元埼玉県知事の長女である市川桃子に由来するのではないかと憶測されているそうです。
改めて秩父のダム湖の名称を確認してみます。
三峯神社】で訪れた、一番最初にできた“二瀬ダム”は、1961年竣工という古い時代だったので、秩父宮妃より「秩父湖」と命名されたのです。 【荒川のそば】で訪れた二番目の“浦山ダム”は、1998年竣工で一般公募によって名称が募集され、春には湖畔に桜が咲き乱れることから“さくら湖”が第1位となり、この地域を表す“秩父”をつけて「秩父さくら湖」となったのです。 そして同じ【三峯神社】で訪れた“滝沢ダム”は2008年と一番新しく、やはりこちらも一般公募により、文字通り中津川などの周辺の紅葉が有名なことから「奥秩父もみじ湖」と命名されたそうです。

2001年に3番目として竣工したこの“合角ダム”もまた完全なる一般公募ではないのですが、一応地元の2町の命名委員会300名から165作品の応募を受けたのだそうです。その結果、2位10票の「西秩父湖」をダントツで離した「桃湖」が71通を獲得したのだそうです。
こういったことからこの“桃湖”は当時の知事の娘である市川桃子に由来するのではないかと憶測されているのですが、流石にこれは穿った話ではないかと考えられます。
先に見たように吉田元気村周辺は“ハナモモ”の里であり、更にダムから北上する道は「カイドウ街道」といわれるほど“カイドウ”という樹木が有名なのだそうです。
カイドウ
この“カイドウ”とは中国産のリンゴの仲間なので桃とは何の縁もありませんが、20年前に地域の発案で植えられたものでもあり、樹木自体はあまり一般的では無いこともあり、見た目がピンクであることから“ハナモモ”と一緒にして“桃”湖と命名し、町興しの一環として活用したとしてもおかしくは無いでしょう。
ここは純粋に桃の里と納得しましょう。

合角ダム

まずはその天端を歩いてみます。
凡そどのダムでも同じなのですが、無機質さが良いのですね。
そしてダム提体を上から眺めるのもまた、建造物の大きさを実感する一つの儀式みたいなことです。
合角ダム
天端に埋め込まれた方向パネルが秩父3ダムや秩父郡の下久保ダムを指しています。
合角ダム
そして下流方向に先ほど来た米山薬師方面が、そして上流方向に西秩父桃湖と合角漣大橋を見ることができます。
下流方向 上流方向
また、天端の上流側の柵にはデザインが施されています。
手前から秩父市吉田の“龍勢まつり”と“塚越の花まつり”があります。
龍勢まつり 花まつり
更に中央から先には秩父郡小鹿野町の“鉄砲祭り”と“小鹿野の春まつり”になっています。
鉄砲まつり 小鹿野春まつり
流石に秩父市吉田と秩父郡小鹿野町をまたがる西秩父桃湖だけあって、両者の著名な祭りを表現しており、地元を大切にしたホスピタリティにあふれています。
このうち【鉄砲祭り】【龍勢まつり】と塚越の花まつりは訪れたわけで、是非機会があれば小鹿野春祭りにも行ってみたいものです。

合角ダム提体周辺を散策して、9時になったので管理事務所を訪れます。
こちらが合角ダム管理所で、1階が合角ダム展示室となっています。
展示室
まずは受付けで、この日の第2の目的である合角ダムの“ダムカード”をいただきました。
合角ダムダムカード
これで「浦山ダム」「滝沢ダム」「二瀬ダム」とゲットして、最後の4ダムカードのうちの1枚をゲットして、4枚すべてを集めました。
4ダムカード
この4枚を集めて「二瀬ダム」に持ち込むと“二瀬ダムオリジナル手作りダムカード”をいただけるのです。しかしながらこれから二瀬ダムに行くのは無理なので、一旦帰ってから郵送する予定です。
2009年11月に浦山ダムを訪れてから約2年半かかってやっと揃ったのですから、喜びもひとしおです。
その喜びもそこそこにして展示室にはいりますが、ダムカードと一緒に頂いた合角ダムのパンフレットをいただき見学させていただきます。
それ程広い展示室ではなく、休憩室も兼ねたといったほうが良いかもしれません。
展示室
先ほどこの合角ダムは多目的ダムといわれていましたが、改めて事業の目的を記載します。

事業の目的
合角ダムが建設された吉田川は、荒川水系赤平川の支川で、群馬県境の二子山(標高1,166m)に源を発して、埼玉県西部の西秩父を東に流れ、途中で支川の石間川、阿熊川を合わせて赤平川に合流する一級河川です。
流域面積78.8k㎡、流路延長25kmで、その流域上流部は小鹿野町に、下流域は秩父市と皆野町に属しています。
合角ダムは、吉田川総合開発事業の一環として秩父市上吉田と小鹿野町にまたがって建設されたもので、洪水調節、河川環境の保全及び上水道用水の新規開発という複数の目的を持つ多目的ダムです。
洪水調節
ダム地点において、460㎡/sの洪水に対し最大400㎡/sを調節し、吉田川下流の洪水被害の軽減を図ります。
河川環境の保全
流域の漁業、景観、動植物の保護などのため、渇水時においても維持しなくてはならない流量と、ダム下流の吉田川及び赤平川で取水しているかんがい用水・上水道用水のために必要な流量を確保します。
上水道用水の新規開発
水需要の増大化に対処するため、埼玉県・深谷市川本・寄居町・小鹿野町の水道用水として新たに1.O㎡/sの取水を可能にします。
(合角ダムパンフレットより)

1970(昭和45)年に実施計画調査が始まってから、2001(平成15)年の完成まで凡そ30年の年月をかけて造られたダムなのです。
展示室の入口付近に合角ダムのジオラマが置かれています。
ジオラマ ジオラマ
ダム付近をクローズアップすると、先ほどの米山薬師堂や吉田元気村などの位置関係が理解できます。
また、展示写真には興味深いダム工事前の写真なども掲出されていましたが、これについてはパンフレットにもその写真が掲載されているので、そちらをスキャンさせていただきました。
ダム工事前 ダム工事後 《写真:(C)埼玉県合角ダム》
よく判る写真ですが、それだけ大変な工事だったことも理解できますが、その分補償なども随分と掛ったようです。

補償概要
土地:宅地5.2ha、畑21.3ha、山林69.8ha、その他4.7ha 合計101.0ha
移転世帯:水没72戸、付替道路3戸 合計75戸
家屋:家屋及び工作物220棟
付替道路:県道藤倉吉田線2.5km、小鹿野町道4.9km、吉田町道3.4km、吉田町林道0.5km 合計11.3km
(合角ダムパンフレットより)

また、同じパンフレットには水没地域の歴史として巨岩のことが記載されています。

伝説の巨岩「天狗岩」
昔、日照り続きで吉田川(藤倉川)の水が枯れ、村人が水争いを始めたとき、怒った天狗が山の上から岩を投げ落とし、水の大切さを村人に教えたという伝説が伝えられています。
故郷の思い出を残すためにと、保存の声が上がりましたが、あまりの大きさに実現しませんでした。
(合角ダムパンフレットより)

その天狗岩の写真がこちらです。
天狗岩 《写真:(C)埼玉県合角ダム》
今ひとつ大きさはわかりにくいですが、灯籠のようなものもあり、地元の方からは親しまれていたのでしょう。
無くなってしまったのは残念でしょうが、こうして伝承だけはキチンと残されているのですから、これからも語り継がれていくのでしょう、町の民話として。
奥にはもう一つダムの種類の模型が展示されています。
ダム種類ジオラマ
中央が引き出せるようになっていて、ダムの内部の構造がわかるようになっています。

ダムの種類
ダムには大きく分けると三つの形があります。造る場所の地形や地質によって、一番適したものを選んで造ります。
重力式コンクリートダム
コンクリートの重さで水を支えているダムです。最近ではこの形のダムが最もたくさん造られています。
アーチ式コンクリートダム
水の圧力を両側の岩盤で受け止められるように、形を弓なりにしたものです。このため、重力式コンクリートダムよりコンクリートの量を少なくすることができます。
フィルダム
土や石を積み上げて造るダムです。
●ロックフィルダム:石を積み上げて造るダム
●アースダム:土を積み上げて造るダム
(合角ダムパンフレットより)

重力式はここ合角ダムや秩父・浦山ダムなどがあり、アーチ式には秩父・二瀬ダムがあります。またロックフィルには飯能・有間ダムがあり、埼玉県で一通りのダムが見られるのです。
こうしてダムの知識も少しながら吸収し展示室を後にしました。

展示室を出ると薄らと陽射しもでてきて、雨も止みそうな気配となってきましたので、ダムを見下ろせる展望台に上がってみました。
こちらが左から元気村・米山薬師方面、中央がダム提体、左が西秩父桃湖・合角漣大橋です。
元気村方向 ダム提体 西秩父桃湖
陽がさしてきたので靄が立ってきていますが、クローズアップするとこの辺りの赤い屋根が米山薬師堂のようです。
米山薬師堂
更に東側には名称不明ながら赤い橋が掛っており、その先のトンネルが先の昭和トンネルです。
昭和トンネルと橋
いつ見てもこの巨大な建造物はその付帯施設と共にいくら見ても飽きないものです。
こうして久しぶりの大型ダムを堪能して、合角ダムを後にしたのでした。

最後に集めた4ダムカードを5月6日に郵送し、5月8日にオリジナル二瀬ダムカードをいただきました。
二瀬ダムオリジナルカード 二瀬ダムオリジナルカード
非常に貴重な写真を使用したカードなのだそうです。
現在、合角ダムには“合角”=“ごうかく”=“合格”という読みから、受験生のお守りとして求めてくる方が、多いとか少ないとか・・・。
受験生の人も気分転換にダム巡りも良いかもしれませんね。勝手ながら…(汗)

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コメント

  1. ばっきぃ | -

    初めて聞いた!!!!

    こんにちは!

    …な、なんだってー!?
    お恥ずかしながら、『合角ダムのダムカードが受験生に人気とかそうでもないとか』という話は初めて聞きました!
    これは自分トコのネタになりそ…いえ。なんでもないですw

    ちなみに合角ダムカードは自分が初めて手にしたダムカードで思い出が結構あるんです☆
    あ。明日は飯能界隈まで溜め池巡りに行こうかと思っております♪(…これはどうでもいい話ですね(汗))

    ( 19:45 )

  2. 薄荷脳70 | -

    Re: ばっきぃ さん、ありがとうございます

    是非ネタに使用してください。その際は(C)をお忘れなくw
    ばっきぃさんの原点のような合角ダムということですね。
    飯能は3度ほど行きましたが、良いところですね。名栗湖の有間ダムとかですかね。楽しみにしています^^

    ( 04:53 )

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