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入谷朝顔まつり

はじめに

季節の風物詩として全国的に知られている「入谷朝顔まつり」に7月8日の日曜日に訪れました。
誰が言ったのか“恐れ入谷の鬼子母神”という入谷鬼子母神を中心とした言問通りで毎年7月6日~8日の3日間行われているものです。
オフィシャルサイトによると、この入谷の朝顔が有名になったのは江戸末期の文化・文政(1804~30年)の頃だそうで、現在の御徒町に住む下級武士であった文字通りの“御徒目付”が栽培したことが始まりのようです。何故武士が、という疑問が湧かないことも無いのですが。。。
しかし明治となり朝顔の栽培は、その御徒町から入谷に居た十数件の植木屋に伝わっていったようです。まあ、本職が作るのですからそれは見事な朝顔が出来上がったようで、明治中期にはこの朝顔をお金を取って見せるようになったのだそうです。
その当時の真骨頂が「変わり咲き」と呼ばれる朝顔で、ある時は“桔梗の花”、またある時は“牡丹の花”といったように様々な咲き方をする、まるで怪人二十面相(古っ!)のような朝顔だったのだそうです。そしてそのピークは明治24、5年で、入谷の通りは毎朝通行止めになるくらい人気だったのです。
しかしながら世情の変化もあり、大正2年にはすべての植木屋が廃業したため入谷から朝顔が姿を消し、いつしか変化朝顔も忘れられ、現在のような円形の朝顔が主流となったのです。
そして戦後の昭和23年、戦後の復興とともに入谷の朝顔が「朝顔市」として復活したのです。そういわれると彼是60年以上の伝統のある“まつり”といえるわけで、夏の風物詩といわれる所以となるのも頷けます。
ということで、下町情緒の残る入谷の夏の風物詩を初めて見ることになったのです。

朝顔市

7月6、7日と雨に降られ今年は雨中のまつりと思っていたのですが、何とか8日の日曜日は晴れとなりまつり日和となりました。
一番アクセスが良いのは日比谷線の入谷駅で下車するのですが、JRを利用することから鶯谷駅から向かうことにしました。
鶯谷駅の跨線橋を渡って言問通りに出るのですが、このあたりはついさっきまで雨が降っていたように路面がぬれています。
鶯谷駅の跨線橋
そして言問通りを東方向に進むと、目指す朝顔まつりの始まる“根岸1丁目”の交差点に到着です。
言問通り
写真の言問通りの右側が朝顔商の露店で、左側がいわゆる祭りでの露天商です。先に見えるスカイツリーも一部雲がかかってちょっと幻想的な光景を見ることができます。
“根岸1丁目”交差点 スカイツリー
早速、朝顔まつりに突入です。
朝顔市
6、7日が天気が悪かったことから、その分今日にされた方も多いのでしょうか、とにかく人、人、人の群れです。 一部には昨今のデジカメブームから写真の撮影をされる方も多くなっているので、余計人通りも多いのかもしれません。
実際に私も殆ど写真を撮る余裕も無いほどで、更に写真を撮ろうとするとNGを出すお店もありました。確かに写真だけ撮られて、本来の購入者が近づきにくくなっているので、お店の方の気持ちもわかりますね。

まずは一般的な朝顔らしい朝顔です。
あんどん作り
朝顔はそもそも現在から1,100年以上前の奈良時代に、中国から遣唐使によって伝来したといわれているそうです。当時は朝顔の種子が下剤として効果があったことから、漢方薬として重宝されたのです。最初は薬として伝わった朝顔が観賞用となったのは前述したように江戸時代からです。
そして朝顔の種のことを中国名で「牽牛子」(“ケンゴン”または“ケニゴン”)と呼び、和名を「阿佐加保」と書いたそうです。ここから後に朝咲く花であることから「朝顔」といわれるようになったのです。また、中国名の「牽牛子」が七夕の牽牛につながることから、この朝顔まつり(市)が七夕の前後3日間開催されるようになったのだそうです。
こじつけではあるのですが、実に下町らしい粋な演出です。

当然朝顔にも種類は沢山あるようですが、ビジネスとしてはこの様に販売されています。
価格表
「あんどん造り」とは先の朝顔にあった、円筒形に組んだ鉢に仕立て上げるモノのようです。
また、「ききょう咲」とあるのがこれのようで、文字通り“桔梗の花”のような形からのようです。
ききょう咲
これって、いわゆる「変わり咲き」の朝顔で、明治時代入谷で人気のあった朝顔ですね。
変わり咲きには他に「牡丹咲き」のほか、采咲き、台咲き、車咲き、獅子咲きなどがあるそうで、一般的に変化朝顔といわれています。しかしながら、これらの変化朝顔の中でも特に希少なものは“出物”と呼ばれ、種子が出来ない、或いは非常に出来にくいため、次の変わり咲きを育てるには、その遺伝子を持つ兄弟株の種を蒔いて、じっと出現するのを待つしかないのだそうです。品種を維持していくのは並大抵の努力ではすまないことから、主流が円形の朝顔に移行したのも判る気がします。

しばし、垣間見れる朝顔の数々を眺めていきます。
朝顔 朝顔

そのような中で非常に興味を魅かれた朝顔がこちらです。
団十郎朝顔
この渋い色を持った朝顔は「団十郎」という名の朝顔で、朝顔としては珍しい茶色です。
そもそも二代目市川團十郎が、歌舞伎十八番の内「暫」で用いた衣装の色が海老茶色であったことにちなんでつけられた名前だそうで、江戸時代では団十郎の茶色ということで一世を風靡したのだそうです。
しかしながら、この朝顔も種子の確保が難しいことから徐々に生産量が減り、戦後生産が途絶えたものだそうです。それゆえ“幻の朝顔”といわれたのですが、東京都農林水産振興財団で復活され、現在では東京のご当地朝顔として人気を博しているのです。
その団十郎の茶色がこちらです。
団十郎の茶 団十郎朝顔
撮影した写真では茶色がわかりにくいのですが、実際にはこの様な茶色のようで、まさに“団十郎”たる由縁を感じます。
ここからまた垣間見れる朝顔を眺めますが、いよいよ混雑もピークなのでしょうか立ち往生する時間が長くなってきました。
朝顔まつり 朝顔まつり 朝顔まつり

鬼子母神

まるで“牛歩戦術”のような歩みで先に進むと、右手に瓦のつけられた塀があり、その先の一画が「入谷鬼子母神」となります。
鬼子母神
それほど広くは無い境内ですが、さすがに今日は多くの参拝客が詰掛けています。
鬼子母神
山門脇には「福禄寿」が祀られており、ここは下谷七福神の一所であることを知りました。
福禄寿

入谷鬼子母神の由来(真源寺)
入谷鬼子母神は満治2年(1659年)静岡県沼津にあります大本山光長寺の第二十世高運院日融上人が、本山に勧請してございました一寸八分の御木像の鬼子母神様を持ち、江戸に出て、現在の地に仏立山・真源寺を建立し開基と成ります。この鬼子母神像と言いますのは大本山光長寺の開基である彫刻の名手、中老僧日法聖人が彫られ、師匠でございます日蓮聖人が開眼せられたと伝えられています。
またこの鬼子母神様は俗に「恐れ入谷の鬼子母神」と言われ、その由来については當山にあります縁起に、「さる大名家の奥女中が腰に腫れ物ができてしまい医者に見放されてしまったが、入谷にある鬼子母神が大変御利益があると言うので、21日間の願をかけ毎日お参りをしていたところ、満願の日の帰りに、橋でつまづき欄干のえぼしに腰を打ち付けてしまった事で、腫れ物の口が破れて膿が出てしまい、時をへずして全治した」とあります。
これを江戸の中期に活躍しました狂歌師でございます太田蜀山人が聞き付け、その御利益に恐れ入ったと言うことで「恐れ入谷の鬼子母神」と洒落言葉で言ったのが江戸っ子の間で流行になり現在までも使われています。
(朝顔まつりオフィシャルサイトより)

縁起もさて置き、洒落言葉についての由来も面白いものですね。
この洒落言葉は江戸時代当時は「地口」といわれ、駄洒落の一種の言葉遊びなのですが、発音が似た単語を使用するため、比較的簡単に創造性の富んだ「地口」が出来るのだそうです。 いくつかのパターンに分けてみます。

1.有名な文句をもじったもの
・「舌切り雀」をもじって、「着たきり娘」
・「お前百までわしゃ九十九まで」をもじって「お前掃くまでわしゃ屑熊手」
2.韻を踏むことによってリズムをつけるだけで、特に意味のないもの。
・驚き桃の木山椒の木
・結構毛だらけ猫灰だらけ、けつのまわりは糞だらけ(映画「男はつらいよ」の寅さんで有名。)
3.掛詞の技法を使い、後に意味のない言葉をつなげたもの。
・恐れ入谷の鬼子母神
・そうはいかのキンタマ
・その手は桑名の焼き蛤
などがあるのです。
特に鬼子母神同様、地口で知られている寺社もいくつかあります。
・びっくり下谷の広徳寺(台東区から練馬区へ移転)
・情け有馬の水天宮(日本橋蛎殻町の水天宮)
・なんだ神田の大明神(千代田区外神田の神田明神)
などがあり、いずれも下町で庶民に親しまれている寺社が詠まれているようです。

閑話休題
鬼子母神といえば【雑司ヶ谷七福神彷徨】で訪れた雑司ヶ谷の鬼子母神を思い出しますが、この真源寺(入谷鬼子母神)は法妙寺(雑司ヶ谷鬼子母神)と法華経寺(市川市中山鬼子母神)とともに特に霊験があらたかということで江戸三大鬼子母神といわれているのです。
鬼子母神については雑司ヶ谷の鬼子母神を参照していただくとして、今日は特別の日ということでしょうか、本堂の前に鬼子母神が安置されています。
鬼子母神

本堂と福禄寿の中間に「入谷朝顔実行委員会」が設置されています。
入谷朝顔実行委員会
その前でインタビューが行われていました。
インタビュー
インタビュアーの背中には「ニッポン放送三宅祐司サンデーヒットパラダイス いま生放送中」と書かれています。 さすがに夏の風物詩で、注目度は高いようですね。
本堂の左手には朝顔のお守りが授与されていました。今回は小さな方のお守りを授与していただきました。
お守り授与 お守り
授与していただくときには、手目にある火打石を叩いていただけるのですが、タイミングが合わず写真が撮れませんでしたが、下町らしい粋な演出です。
最後にそして境内の左手ある朝顔を見ながら入谷鬼子母神を後にしました。
朝顔市 朝顔市

朝顔まつり

鬼子母神を後にして再び朝顔まつりに戻りますが朝顔の露店もあと僅かとなりました。
ここでも先のインタビューが行われていました。
インタビュー
またこんな色鮮やかな朝顔もありました。
オーシャンブルー
「オーシャンブルー」というハイカラなネーミングですが、沖縄生れの朝顔だそうです。
言われてみれば沖縄らしい空と海の色といえるでしょう。

そして今回は折角来たのですから朝顔を買い求めました。
朝顔「団十郎」
1つは前述した「団十郎」で、一般的にあんどん朝顔が2000~2500円のところ、一鉢3000円という奮発をして珍しく母に贈っておきました。
そしてもう一つは「紅ちどり」という品種で、何と1鉢1000円ながら秋まで咲き続けるという、打算的なとってもコスパに優れた朝顔なのです。
朝顔「紅ちどり」
これからしばらくは夏を楽しめるのでしょう。

最後まで朝顔を楽しんで、ここからは言問通りを横断して反対側の車線に移ります。
朝顔まつり
この辺りが地下鉄入谷駅に近いことから、ここに入場ゲートが設えてありました。
朝顔まつり
そして再び、食べ物の露天をとおって鶯谷駅方面に戻りました。
朝顔まつり
天気も回復し、再び“根岸1丁目”交差点から見るスカイツリーはくっきりと見ることが出来ました。
交差点でのスカイツリー
いよいよ夏本番を間近に控えて、一足早い夏を先取りする「入谷朝顔まつり」は一服の清涼剤として癒されること請け合いです。 夜は交通規制も行われ、盆踊りなども行われるようですので、更に楽しめるのでしょう。

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コメント

  1. keny72 | -

    参考になります^-^

    6月に雑司ケ谷の鬼子母神に行き、江戸三大鬼子母神を知りました。
    入谷の鬼子母神も行ってみたいと思っていたところでした^^
    参考になりました。ありがとうございます^^

    ( 12:26 )

  2. 薄荷脳70 | -

    keny72さん、コメントありがとうございます。

    参考にしていただき何よりです。
    私も後1ヶ所なので、最後の鬼子母神に行ってみようと思っています。
    また、よろしくお願いします。

    ( 06:26 )

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