第1部 神保町編《前編》

神保町といえばなんと言っても古書の街です。平たく言えば古本屋ですね。
確かに昔から本の街といえば神田神保町といわれてきたのですが、何故本の街になったのかはトンと知りませんが、そのメカニズムは単純に多くの学生がこのエリアに住むようになったからなのです。
明治維新(1868年)後、多くの大学が神田周辺に造られたのです。多くはその後神田から移転したのですが、当時は東大、学習院大、順天堂大、お茶の水大、東京医科歯科大、東京理科大、専修大、明治大、中央大、一橋大、日本大などがあったのです。 それ故に関東大震災後、本を求める学生達が古本でも良いから、と欲しがったことから古本屋が出現したのです。
昭和になるとモノが沢山生産され、本の分野でも廉価な本が出版され大量の本が一般市民にいきわたったことから、古本がかえって古書市場に流入して古本屋の更なる発展をみることになったのです。
こうした特異な成り立ちの神保町で、どのようなjapan“Cool”が見つかるか楽しみなところです。

靖国通りの古本街-1

早速、その神田神保町古本街を歩きますが、神田神保町には大凡180軒くらいの書店があるそうなので、今回は“サブカルチャー”というテーマを中心として歴史・グルメなどをアクセントに散策してみることにしました。
スタートは九段方面から東方向にある靖国通りの“専大前交差点”からスタートです。
専大前交差点 神田神保町古書街
まず見えるのが「芳賀書店本店」です。
男性天国。。。!? 「芳賀書店」
意外とスッキリしたファサードですが、この名称をきいてピンとくる方は比較的通です、恥ずかしながら^^
ここは何を隠そう、いや隠していないので有名なアダルト専門の書店なのです。しかも全国でも珍しく書店・アダルトショップでありながら風営法許可店であることなのです。 これが何を意味するかと言えば、当然堂々と100%アダルト商品を販売できるというお墨付きをもっていることなのです。
元々は1936(昭和11)年、巣鴨のトゲヌキ地蔵通りから始まったそうなので歴史的にも見るべきところのあるなの店舗で始めは古書を扱っていたのだそうです。
大戦の空襲で焼け出され神保町に移転してからは、新刊本などの販売で繁盛し始め、1961(昭和36)年には出版事業を始め、当時無名だった団鬼六や篠山紀信などを輩出したのです。
この方向性の事業が成功したことから1979(昭和54)年に支店にアダルト商品をメインとした神田古書センターを出店し、これがまた成功したことから、以降、本店もアダルトに移行し現在のような100%アダルト書店となったのです。
売り場は3階で、1階はソフトアダルトDVD、2階はハード&マニアックDVD、グッズ、そして3階は雑誌・コミック・小説となっているのです。
知っていると何気に恥ずかしい・・・!?「芳賀書店」
ここは心を鬼にしてスルーしますが、男性にとっては実にクールな書店なのです。

ワンブロック先にあるのが「@ワンダー」です。
@ワンダー
SF、映画、ミステリーなどの絶版文庫書籍や映画ポスター・パンフレットなどを扱う趣味・芸術に特化した書店です。
映画関連がたくさん!
道路に面した売り場があるというのもまさにワンダーです。
これって絶景!?
確かに車に注意しないといけないでしょうがね。
確かに車に注意を。。。
その名の通り摩訶不思議な店舗なのですが、これが現在のjapan“Cool”の原動力といえるかもしれません。

さらに古書街を進みます。
さらに古書店街を進む
数軒先に「india」という店がありますが、ここにはかつては“澤書店”という書店があった建物で、昭和3年に建てられた木造3階建ての建物なのです。
現在は貴重な看板建築
注目すべきはこの建造物で、大戦で焼け残った数少ない神保町を特徴づける「看板建築」という大正末期から昭和初期にかけての商店の代表的な建築様式で、現在は千代田区の歴史的建造物となっている神保町の歴史では外せない建造物なのです。
したがって昭和初期の神保町では、このような建造物が軒を連ねていたのです。
看板建築を良く知りたい方は、お世話になっているkshun10さんのサイト【東京冒険紀行】で取り上げられていますのでご参考にご覧下さい。

その隣にあるのは「ヴィンテージ」で、ここは半券チケットからプレスシートまで、映画に関する印刷物に特化している書店なのです。
ヴィンテージ映画は不滅です!
現在は更に演劇やサブカルチャーまで幅広いジャンルを扱っているようです。
その先の「澤口書店」は、硬いものから軟らかいものまでをモットーに品揃えしている書店なのです。
古書街も佳境に 何でもありの「澤口書店」
店頭には“絶版マンガ始めました”の案内があるのも、この店の特徴なのでしょう。
絶版マンガ、はじめましたァ~♪
神保町の古書店も徐々にジャンルとしてのサブカルチャーを取り扱う店舗が増えだしているのかもしれませんね。

そしてこのブロックの角にあるのが「矢口書店」と「古賀書店」で、この建物も先と同じように千代田区の歴史的建造物の看板建築です。
こちらも堂々の看板建築
ここはかなり重厚でヒストリックな建物として残っているようです。
しかし見どころは建物だけではありません。
「古賀書店」はクラシック愛好家に人気の老舗音楽専門店で、とにかくクラシックを中心に楽譜、伝記、専門書や研究書、音楽家の資料などとにかくその方面御用達の店舗なのです。
クラシック音楽なら「古賀書店」
一方、お隣の「矢口書店」は映画・演劇・戯曲・シナリオといった分野の専門的な書店で、特に最近は上方落語に関する書籍が充実しているそうです。
シナリオに上方落語の「矢口書店」
とにかく建物も扱っている商品もクールな歴史的な書店なのです。

路地を隔てた先に「ブンケン・ロック・サイド」があります。
「ブンケン・ロック・サイド」イェ~ィ 「ブンケン・ロック・サイド」イェ~ィ ロケンロール、ヨロシク!
まさにサブカルチャーを扱うお店として、全国のロックンロールファンが訪れるお店だそうです。
もとは俳句の専門店だったそうですが、その店主の娘さんがサブカルチャーに特化したお店に変えたのだそうです。まさに店舗の生きざまも“That's so Cool”な店舗です。
その隣にある「原書房」は、易・運命学の書籍を扱っている書店で、女性誌の占い特集では取材が引っ切り無しのお店なのです。
当たっても八卦・・・「原書房」
その一方、浮世絵や版画も扱っていて海外からの問い合わせや注文も多いのだそうです。

そして、その先に比較的大きなビルで芳賀書店の支店である“神田古書センター”があります。
古書の巣窟!?「神田古書センター」 建物はきれいなんですよね^^
このビルの中には幾つもの小さな書店が入っていますので、いくつかの書店をピックアップしてみます。
9階建てにぎっしり
まずは一番上、9階の店舗から降りて見ましょう。
エレベーターが9階に到着し扉が開いた光景がこれです。
エジソンの時代からのレコード! 「富士レコード社」
この店は「富士レコード社」で文字通りレコードを扱っているのですが、並みのレコードではありません。われわれオジサン世代の親しんだEP盤、LP盤の世界の遥かかなたのエジソンの時代からSP盤と言われるまでのレコードを扱っているのです。
したがってそれを聞くハードもこちらのような蓄音器でなければ聞けない代物なのです。
いわゆる蓄音機ってやつですか
これがビジネスになっていることが、まさにクールです。

8階は言わずと知れた「芳賀書店 神田古書センター」です。
掛け持ちの「芳賀書店」
説明はいらないでしょうが、眼と鼻の先にある本店の支店なのですが、面白いのは本店と支店とを“はしご”する人たちが多くいるのだそうです。
それだけ品揃えが豊富というあかしなのでしょうが、それを丹念に探し回るファンこそがクールなのかもしれません。
ハーレム状態「芳賀書店」
恐るべしアダルトパワーです。

7階には2軒の書店が存在しています。
階段を下りるとそこには「文献書院」があり、ここはアイドルの超レアグッズやグラビアページのある雑誌のバックナンバーといった、アイドル関連グッズを品揃えとしている書店です。
アイドルの「文献書院」
所狭しと並べられた商品をぬって奥に進むと、何とその先にもう一軒の書店である「いざわ書林」があります。
カオスの「いざわ書林」
こちらの書店は何と医学書を扱っているというのですから、まさにカオスです。
このように「いざわ書林」から戻ると「文献書院」ということになるわけです。
戻ると「文献書院」
まさに古本屋街のクールな特徴といったことろでしょう。

6階にはテナントが無いので5階に移ります。
ここには3軒の店舗があります。
子供の本の古本屋「みわ書房」、古物・鉱物を扱う「薫風花乃堂」、そして「らくごカフェ」。
「らくごカフェ」は裏から回らないと入れないようですが、2軒のお店は丁度左右半分ずつに分かれています。
「みわ書房」と「薫風花乃堂」
「薫風花乃堂」の女性オーナーの方に写真撮影の許可を求めると「なんで?」って聞かれたので「特に意味はなく趣味で」って答えると訝しげに「へえ~、どうぞ」って言われて。。。で、それで撮影した写真ですが、要するに書店ではないのです。
まさにクール
店主のクールさに脱帽です。

4階は「梓書房」と「ブックパワーRBS」という書店が入っています。
「梓書房」と「ブックパワーRBS」
こちらも左右二つに分けた店舗構成です。
特に「ブックパワーRBS」は、スポーツやファッションなどのサブカルチャー系古書店の草分け的書店だった“ブックパワーRB”という書店が閉店したことから、2007年にその店のスタッフが主に格闘技関係の商品を引き継ぎ末尾に「S」をつけてオープンした店舗なのだそうです。
まさに他を圧倒するパワー
とにかく雑誌のバックナンバーだけでも2万冊以上あるとのことですから半端ない書店なのです。
3階は動物や植物などに特化した「鳥海書房」、そして2階は漫画中心の「中野書店 漫画部」といった塩梅で、この辺りは精神的に疲れ果てて写真を撮ることすら忘れていました。
写真取り忘れたので書店名だけ
特に「中野書店 漫画部」では、戦後漫画の漫画を扱い、絶版漫画というジャンルを確立し、手塚治虫・水木しげる・藤子不二雄などの人気作家の作品は全て揃えると言う拘りがあるそうです。

最後の1階には武道・謡曲・料理というよくわからないコンセプトの「高山本店」があります。
武道・謡曲・料理というわかったような判らないコンセプト!?
とにかく創業明治8年と言われては、その存在感に圧倒されるばかりです。
創業明治8年の「高山本店」
ちょっと後でネットで調べてみると、こんな本まで有るのを知りました。
恐れ入りやの・・・、「秘伝」ですって!?
こんな世界もあるのかと知らされた、実にクールなコンセプトを持った店舗なのでした。
恐るべし神保町、そしてカオスがクールな神田古書センターでした。

古書センターカオスから抜け出した先が「神保町交差点」です。
神保町交差点 神保町交差点
この角には現在も「岩波ホール」があり、1968年に開業した220席のミニシアターです。
岩波書店 「岩波ホール」
開業時から硬派な作品が上映されるので、ついぞ20年神田に勤務していた頃、一度も訪れたことはありませんでした。
そのミッションステートメントを聞けば、まさにクールと言わざるを得ないのです。
●日本では上映されることの少ない、アジア・アフリカ・中南米など欧米以外の国々の名作の紹介。
●欧米の映画であっても、大手興行会社が取り上げない名作の上映。
●映画史上の名作であっても、何らかの理由で日本で上映されなかったもの。またカットされ不完全なかたちで上映されたもの。
●日本映画の名作を世に出す手伝い。
といった塩梅ですから、フランスのカンヌとかの潮流なのでしょうかね。
エンターテイメント性はありませんが、やはりサブカルチャーの街だからこそ、その存在感は一層際立っているのでしょう。
次回は古本街の続きと神田すずらん通りを散策します。

2013.07.13記
(第1部 神保町編《後編》につづく)

関連記事
スポンサーサイト


コメント

  1. 四季歩 | ipmCGEIo

    すごい!!

    私は、大学に入る前、水道橋の研数学館にお世話に
    なったものですから・・・・・
    神保町は懐かしいです。
    ほんとは、こんなこと言ってはいけないのです(汗)
    すっかりアマゾン族になっちゃって。
    田舎から出てきて、カルチャーショックの最たるものでした。
    そして、当時はまだエロはそんなに出回っていなかったので、
    若造には、目の毒過ぎました(笑)
    強烈でしたね。
    なにかと、若い頃にはお世話になった街なので、
    この記事、すごいなと・・・・脱帽

    AKBには、どのようにして到達するのか・・・・
    すんごい楽しみ(笑)

    ( 20:38 [Edit] )

  2. マヤリモ | -

    こんばんは!

    芳賀書店、10年ほど前に古本屋めぐりを友人としていてアダルト系とは知らずに間違って入ってしまったコトがあります。
    間違えて入った割りに、店から出るのが遅いという(笑)

    久しぶりに古本屋めぐりしたくなりました!

    それにしても芳賀書店が、そんなに由緒あるエロ本屋だとは知りませんでした!(笑)

    ( 23:15 )

  3. 薄荷脳70 | -

    四季歩さん、ありがとうございます。

    20代くらいで訪れると、地域はどこから来てもカルチャーショックを受ける場所ですよね。
    私も高校の頃、初めて行きましたが当時は難しい本ばかりといった感じでしたね。
    四季歩さんも色々と想い出がおありな様で、その想い出を思い出される一助になったなら売れしいです。
    良ければ続きも読んでいただければ幸いです^^

    ( 05:36 )

  4. 薄荷脳70 | -

    マヤリモさん、ありがとうございます。

    確かに佇まいを見れば誰もアダルトとは思わないでしょう。
    時代とともに変化していくからこそ、今でも古書街として賑わっているのでしょうね。
    是非由緒あるエロ本屋を再び訪れて、感傷に浸ってみてください^^

    ( 05:38 )

コメントの投稿

(コメントの編集・削除時に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)


トラックバック

Trackback URL
Trackbacks